このソルバーが解析解と一致することを、ページを開くたびにブラウザ上で実行して確認しています。 計算コードは GitHub で公開しています。
電子機器の冷却設計や電池の熱設計では、3次元CFDを回す前に「ジャンクション温度は何度まで上がるか」「ヒートシンクの熱抵抗はいくつ必要か」を素早く見積もる必要があります。この道具はそのための1D熱ネットワーク(熱回路網)ソルバーです。熱抵抗・熱容量・発熱源・対流・放射を回路図のように繋ぐと、各節点の温度が即座に求まります。
熱伝導は電気回路と同じ数学構造を持ちます。温度差が電圧に、熱流が電流に、熱抵抗が電気抵抗に対応し、節点でのエネルギー保存はキルヒホッフの電流則に対応します。したがって解法も同じで、節点方程式を組んでニュートン法で解いています。
| 物理量 | 電気回路 | 熱回路 |
|---|---|---|
| 断面変数(ポテンシャル) | 電位差 V [V] | 温度差 ΔT [K] |
| 貫通変数(流れ) | 電流 I [A] | 熱流 q [W] |
| 抵抗 | R [Ω] | 熱抵抗 Rth [K/W] |
| 容量 | C [F] | 熱容量 Cth [J/K] |
各節点でエネルギー保存を課します。定常状態では
Σ qout(T) − Pin = 0
過渡解析では熱容量による蓄熱項が加わり、後退Euler法で時間積分します。
C (Tn+1 − Tn) / Δt + Σ qout(Tn+1) − Pin = 0
後退Euler法は無条件安定なので、電子部品(ミリ秒)と筐体の熱容量(時間オーダー)のように時定数が何桁も離れた剛性の強い系でも、時間刻みを大きく取って発散しません。放射は T4 の非線形項なのでヤコビアンに 4εσA T3 を寄与させ、ニュートン法で解いています。
| 部品 | 式 | 用途 |
|---|---|---|
| 熱抵抗 R | q = ΔT / R | 伝導、接触熱抵抗、TIM |
| 対流 h·A | q = hA·ΔT | 自然対流・強制空冷・液冷 |
| 放射 ε·A | q = εσA(T₁⁴ − T₂⁴) | 自然空冷時の放射成分 |
| 熱容量 C | q = C·dT/dt | 過渡応答、熱時定数 |
| 発熱源 P | — | チップ損失、発熱体 |
| 固定温度 T | — | 周囲温度、冷却水温度 |
この道具は集中定数(1D)の熱ネットワークを解きます。部品内部の温度分布や、流れ場そのものは扱いません。逆に言えば、系統設計・熱収支・感度検討といった「3D解析を回す前の判断」には十分で、しかも一瞬で答えが出ます。3次元の温度分布が必要な段階に来たら、熱解析の記事や有限要素・CFDのツールへ進んでください。
v0.1 beta です。部品の追加(流体枝・電気枝)、大規模モデル向けの疎行列ソルバー、英語・中国語UIを順次追加していきます。ご要望はリクエストフォームへお寄せください。