クリーンルーム気流解析 — トラブルシューティングガイド
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トラブルシューティング
クリーンルームCFDで計算がうまくいかないとき、どう対処すればいいですか?
よくある問題をパターン別に整理しよう。
よくある問題と対策
1. 収束しない・残差が振動する
特に定常計算で残差が下がらないケースが多いです。
考えられる原因と対策:
- Boussinesq浮力と圧力補間の不整合: 浮力項があるときはPRESTO!またはBody Force Weighted圧力補間を使う。Standard圧力補間だと残差が振動する
- 多孔質ジャンプの設定値が極端: FFUの抵抗値が大きすぎると圧力場が不安定になる。初期は小さい値から始めて段階的に増やす
- Under-Relaxation Factorの調整: 圧力を0.2、運動量を0.5に下げて試す
圧力補間がPRESTO!でないとダメなのはBoussinesq近似特有の問題なんですね。
2. DPMの粒子が壁に全部トラップされる
症状: 粒子がリリース直後にほぼ全て壁面に捕捉されて、評価点まで到達しない。
対策:
- 壁面のDPM境界条件がTrapになっていないか確認(ReflectまたはEscapeに変更)
- ブラウン力をONにしているか確認(微小粒子はブラウン運動で壁から離れる)
- 粒子の初速度が気流速度と一致しているか確認(0で放出すると重力落下する)
3. 温度分布が室内でほぼ均一
装置発熱を入れているのに温度差が出ないケースです。
対策:
- 離散化スキームを確認(First Order Upwindだと数値拡散で温度がなまる)
- メッシュが粗すぎないか確認(装置近傍で最低20mm以下のセル)
- 装置発熱量の単位を確認(W vs. W/m² の間違い)
4. 実測との乖離が大きい
実測の風速やパーティクルカウントとCFD結果が合わないときはどうすればいいですか?
確認ポイント:
| チェック項目 | よくある問題 | 対処 |
|---|---|---|
| FFU実風量 | カタログ値と実際の差 | 実測値でBC更新 |
| リーク | ダクト接続部からの漏れ | 漏れ風量を追加 |
| 装置排気量 | 実際の運転状態と異なる | 実測値確認 |
| 床下プレナム | モデル簡略化の影響 | 開口率・配管障害物の精度向上 |
| 人体モデル | 動的発塵を無視 | 非定常+DPMで再計算 |
FFUの実風量がカタログ値と違うことが多いんですか?
フィルタの目詰まり、ダクト圧損、FFUファンの経年劣化で実際の面風速は新品時から10〜20%低下していることがある。可能な限り実測値を使うべきだ。
Fluent特有のエラー
Fluent固有の注意点はありますか?
DPMのIncompleteは粒子が室内を延々と漂っている状態ですよね。最大ステップ数を増やすか、タイムアウトを設定するのがいいと。
そうだ。Physical Time Limitを設定すると、一定時間後に強制的に打ち切れるから、解析時間の予測がしやすくなる。クリーンルームの換気回数から滞留時間を見積もって、その3倍程度に設定するのが目安だ。
「FFUの圧力ばらつき」が引き起こす謎の不均一流れ
クリーンルームCFDのトラブルシューティングで頻繁に遭遇するのが、複数のFFU(ファンフィルタユニット)間での流量ばらつきです。各FFUは独立した電動ファンを持ちますが、隣接ユニット間の静圧バランスが崩れると一部のFFUが「逆流モード」に近い状態になることがあります。シミュレーション上では全FFUを均一流量条件で設定したのに実測値と合わない、という場合はこのばらつきを疑いましょう。各FFUの静圧—流量特性(P-Q曲線)をモデルに組み込んだ連成解析を行うと、現場の不均一流れを再現できることが多いです。
トラブル解決の考え方
「解析が合わない」と思ったら
- まず深呼吸——焦って設定をランダムに変えると、問題がさらに複雑になる
- 最小再現ケースを作る——クリーンルーム気流解析の問題を最も単純な形で再現する。「引き算のデバッグ」が最も効率的
- 1つだけ変えて再実行——複数の変更を同時に行うと、何が効いたか分からなくなる。科学実験と同じ「対照実験」の原則
- 物理に立ち返る——計算結果が「重力に逆らって物が浮く」ような非物理的な結果なら、入力データの根本的な間違いを疑う
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