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電磁気工学

アンテナ利得・指向性シミュレーター

アンテナ種別・周波数・送信電力・距離を変えてフリス伝達方程式と自由空間伝搬損失をリアルタイム計算。極座標放射パターンで指向性を視覚的に確認しよう。

アンテナ設定
アンテナ種別
周波数 f (MHz)
MHz
送信電力 Pt (W)
W
距離 r (km)
km
波長 λ
アンテナ利得 Gt
FSPL
受信電力 Pr
リンクマージン
計算結果
利得 (dBi)
FSPL (dB)
受信電力 (dBm)
リンクマージン (dB)
放射パターン(極座標)
受信電力 vs 距離
理論・主要公式
$$P_r = P_t G_t G_r \left(\frac{\lambda}{4\pi r}\right)^2$$

FSPL = 20·log₁₀(4πrf/c) [dB]
ノイズフロア仮定: −100 dBm

アンテナ利得・指向性シミュレーターとは

🙋
アンテナの「利得」って何ですか?数字が大きいほど良いアンテナなんですか?
🎓
大まかに言うと、電波を「どこに向けて強く飛ばせるか」の指標だね。基準は全方向に均一に飛ぶ理想の「等方性アンテナ」。例えば、このシミュレーターで「等方性」を選ぶと、極座標のグラフが真ん丸になるよ。ダイポールや八木宇田アンテナは特定方向に電波が集中するから、その方向では等方性アンテナより「利得」が高くなるんだ。上の「アンテナ種別」を切り替えて、グラフの形がどう変わるか確かめてみて。
🙋
え、そうなんですか!「八木宇田」の「素子数N」を増やすと、グラフが細長く尖ってきました。これが「指向性が鋭い」ということですか?
🎓
その通り!素子を増やすと、アンテナがより遠くや特定の方向とだけ通信するように設計できるんだ。実務では、テレビの屋根上アンテナが典型例だね。でも、指向性が鋭すぎると、少し方向がずれただけで通信できなくなるから注意が必要。シミュレーターで「周波数」や「距離」も変えながら、受信電力がどう変わるか確認してみよう。
🙋
「送信電力」を大きくしても、遠くに行くと受信電力が一気に減っちゃいますね。これが「伝搬損失」ですか?
🎓
そう、電波は距離の2乗に比例して広がって弱くなるんだ。これが「自由空間伝搬損失」だ。例えば自動車の自動運転で使うミリ波レーダーは周波数が高いから、この損失が大きくて雨の影響も受けやすい。シミュレーターの計算は「フリスの伝達方程式」に基づいていて、現場ではこの式を使って基地局の配置や必要なアンテナ利得を決めているんだよ。

よくある質問

いいえ、このシミュレーターでは放射パターンはアンテナ種別ごとに固定された理論形状を表示しています。周波数や送信電力を変えてもパターンの形は変わりませんが、利得の数値や計算される受信電力・伝搬損失はリアルタイムで更新されます。
利得は数値入力欄に無次元(倍率)で入力してください。例えば5 dBiは約3.16倍です。シミュレーター内部では自動的にフリスの伝達方程式に適用され、受信電力が計算されます。dBi換算が必要な場合は別途計算してお使いください。
受信電力が1W未満になると、dBmやdBW単位で表示される場合に負の値になります。これは物理的に問題ありません。フリスの式では距離が大きくなるほど受信電力は減少し、自由空間伝搬損失が増加するためです。
あくまで教育・理解用のツールです。実設計では、アンテナ周囲の反射・回折・障害物の影響や、インピーダンス整合、偏波損失などを考慮する必要があります。本ツールは自由空間という理想条件での基本特性を直感的に把握するためにご利用ください。

実世界での応用

移動通信(5G/6G基地局):都市部ではセルを小さくし、高周波数帯(ミリ波)を利用するため、高いアンテナ利得と鋭い指向性が要求されます。シミュレーターのようなツールで、ビームフォーミングの効果や最適なアンテナ配置を事前検討します。

衛星通信:静止衛星と地上局との間は距離が非常に長いため、伝搬損失が膨大です。この損失を補うため、地上局ではパラボラアンテナ(非常に高い利得)を用い、正確に衛星方向へ指向性を合わせることが生命線です。

無線LAN(Wi-Fi):家庭用ルーターの内部アンテナや、オフィスで使われる「パッチアンテナ」の設計に活用されます。広い範囲を均一にカバーするためには、適度な利得と指向性パターンの設計が重要です。

車載レーダー・センサー:自動運転を支えるミリ波レーダーは、物体までの距離と方向を検知します。ここではアンテナの指向性が分解能(どれだけ細かく方向を識別できるか)に直結するため、シミュレーションによる精密な設計が不可欠です。

よくある誤解と注意点

このシミュレーターを使い始めるときに、特に気をつけてほしいポイントがいくつかあるよ。まず「利得が高いほど絶対に良い」という誤解だ。確かに八木宇田アンテナのように利得が10dBiを超えると、特定方向への通信距離は伸びる。しかし、その代償としてビーム幅が狭くなる。例えば、スマートフォンのような端末はあらゆる方向から基地局の電波を受信する必要があるから、むしろ全方向性のアンテナが向いている。指向性アンテナは「どこに向けるか」が命なんだ。

次に、シミュレーションは「自由空間」が前提であることを忘れないで。ここでの計算には壁や地面の反射、木々による散乱、雨の影響は一切含まれていない。実際の都市部では、同じ距離でもビル陰では受信電力が20dB以上も低下することは珍しくない。このツールの結果は「最良の条件下での理論値」と捉え、実設計には十分なマージン(例えば10〜20dB)を見込むことが鉄則だ。

最後に、パラメータ設定の落とし穴。周波数と波長はトレードオフの関係にある。フリスの式を見ると、受信電力は波長λの2乗に比例するよね?つまり、同じ距離なら、周波数が低い(波長が長い)ほど伝搬損失は小さい。例えば、2.4GHz(Wi-Fi)と28GHz(5Gミリ波)では、周波数が約11.7倍だから、損失の差は20*log10(11.7) ≒ 21dBにもなる。高周波数帯を使うなら、高い利得で損失を補う必要があるんだ。

使い方ガイド

  1. アンテナタイプを選択します。等方性アンテナ(利得0dBi)、半波ダイポール(利得2.15dBi)、八木宇田アンテナ(利得8〜14dBi)、パッチアンテナ(利得6〜9dBi)から選択してください。
  2. 周波数スライダーで送信周波数を設定します。例えば2.4GHz(Wi-Fi)、5.8GHz(5G)、920MHz(セルラーIoT)など、利用帯域に合わせて調整してください。
  3. 送信電力と伝搬距離を入力します。送信電力は0〜30dBm、距離は1m〜1000mの範囲で変更可能です。放射パターンと受信電力がリアルタイム更新されます。

具体的な計算例

920MHz帯のセルラーIoTリンク設計例:送信電力20dBm、八木宇田アンテナ(利得12dBi)、距離500m。フリスの伝達方程式でFSPL=-107.2dBが計算され、受信電力=-107.2+12+12-8(フェーディング余裕)=-91.2dBmとなります。受信感度-95dBmのモジュールに対してリンクマージンは3.8dBの設計です。

実務での注意点