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航空宇宙工学シミュレーター

大気圏再突入・空力加熱計算機

アポロ・スペースシャトル・スターシップのプリセットで突入加熱を比較。速度・角度・弾道係数を変えて最大G・熱流束・壁面温度を探ろう。

プリセット
突入パラメータ
突入速度 V₀
km/s
突入角度 γ
°
弾道係数 β
kg/m²
ノーズ半径 R_n
m
放射率 ε
計算結果
最大G (g)
最大熱流束 (MW/m²)
壁面温度 (K)
積算熱量 (MJ/m²)
軌道
速度
理論・主要公式

$\rho(h) = \rho_0 e^{-h/H}$(H=7000 m)

$\dot{q}\approx C_h \rho^{0.5}V^3 R_n^{-0.5}$

平衡壁温: $\varepsilon\sigma T_w^4 = \dot{q}$

大気圏再突入・空力加熱とは

🙋
「空力加熱」って何ですか?宇宙船が燃えてしまうということ?
🎓
大まかに言うと、超高速で大気に突っ込むと、機体の前の空気が猛烈に圧縮されて高温になる現象だよ。例えばアポロカプセルは、熱シールド表面が太陽の表面温度(約5500℃)の半分くらいの2700℃以上になったんだ。このシミュレーターで「アポロ」プリセットを選んで「計算」を押すと、その凄まじい熱流束の値が見られるよ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ「弾道係数」って何が変わるんですか?上のスライダーで変えられますよね。
🎓
実務では「どれだけブレーキが効きやすいか」を表す重要なパラメータだ。弾道係数βが大きい(重くて空気抵抗が小さい)と、カプセルみたいにズンっと深くまで落ちて急激に加熱される。逆にβが小さいスペースシャトルは、上層大気でグライダーのように長く滑空してゆっくり熱を逃がすんだ。シミュレーターで「スペースシャトル」と「アポロ」を切り替えて比べてみて。
🙋
なるほど!でも「突入角度」を浅くしすぎるとダメって聞きました。このツールで試しても大丈夫?
🎓
いい質問だね。シミュレーターで「突入角度γ」を1度とか2度にしてみると、最大Gも熱流束も小さくなるけど、これは「スキップ再突入」の危険ゾーンなんだ。実際には水面で石けりするように大気で跳ね返され、宇宙に戻ってしまう。有人ミッションでは6〜12度の「安全な廊下」を通る。逆に20度以上にすると…Gも熱も危険な数値になるから、ぜひ自分で確認してみて!

よくある質問

「カスタム」モードを選択し、速度・角度・弾道係数・ノーズ半径を任意の値に変更してください。弾道係数は機体の質量/(抗力係数×断面積)で概算できます。
アポロ帰還時は約6〜7G、スペースシャトルは約1.5〜3G、スターシップは約2〜5Gが目安です。速度や角度を極端に大きくすると10Gを超える場合がありますが、人体や機体構造の限界を超える可能性があるため注意してください。
本ツールは簡易的なステグナント熱流束と放射平衡から温度を推定しています。実際の温度は材質の熱容量やアブレーション冷却の影響を受けるため、参考値としてお使いください。誤差は状況により数十〜数百K生じることがあります。
一般的に最大熱流束は最大Gよりやや高高度で発生します。これは大気密度がまだ低い段階で速度が高いためです。シミュレーション結果のグラフで両者のピーク高度を比較すると、この現象を確認できます。

実世界での応用

有人宇宙船の帰還:アポロ計画やソユーズ、クルードラゴンなど、地球帰還時の熱防護システム(TPS)設計の基本計算に用いられます。どの角度で突入するか(再突入回廊)は、この熱流束と加速度(最大G)の計算から決定されます。

再利用型宇宙機の設計:スペースシャトルやスペースXのスターシップのように、何度も再突入を繰り返す機体では、熱防護タイルや耐熱材の寿命予測に空力加熱の解析が不可欠です。シミュレーターの「スターシップ」プリセットはその一例です。

惑星探査機の着陸:火星や金星など、大気を持つ惑星への探査機突入でも同じ物理が働きます。大気組成や密度が異なるため、パラメータを調整した計算が必要になります。

極超音速ミサイルの開発:極超音速滑空体(HGV)など、長時間大気圏内を極超音速で飛行する兵器では、先端部の継続的な空力加熱と材料の耐熱性が最大の課題の一つとなっています。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるときに、特に気をつけてほしいポイントがいくつかあるよ。まず「熱流束が大きい場所=機体が一番熱い場所」とは限らないということ。確かにノーズ先端には猛烈な熱流束がかかる。でも、熱が流れ込む「強さ」は熱流束だけど、部品が実際にどの温度まで上がるかは、その材料の熱容量や放熱のしやすさ(熱伝導率)で決まるんだ。例えば、熱流束が高いけど熱を素早く内部に伝えたり、後ろに捨てたりできる構造なら、表面温度は意外と低く抑えられる。逆に、断熱性の高い素材だと、熱がこもってじわじわ温度が上がり、内部機器がダメになることもある。シミュレーターの「平衡壁面温度」は、あくまで「十分な時間が経って、入ってくる熱と放射で出ていく熱が釣り合った状態」の理論値だからね。

次に、パラメータ設定の落とし穴。「速度」と「高度」は独立した変数ではないんだ。実際の再突入では、高度が下がるにつれて空気抵抗で速度がガクンと落ちる。このツールではシンプルにするために、ある瞬間の「条件」を入力して計算しているけど、実務では「軌道」全体を通した時間変化を追う「軌道計算」が必須だ。例えば、高度70kmで秒速7kmの状態と、高度40kmで秒速7kmの状態では、大気密度が100倍以上違うから、熱流束も大きく異なる値になる。ツールで遊ぶときは、高度と速度の組み合わせを現実的に考えるクセをつけよう。例えば「アポロ」プリセットの初期値(高度120km、速度11km/s)からスタートするのがおすすめだ。

最後に、この計算は「局所」の評価だという点。機体全体の温度分布や、熱が構造内部にどう伝わっていくか(熱伝導解析)は、もっと複雑なCAEソフト(熱流体連成解析:CHT)の領域だ。このツールは、TPS(熱防護システム)を設計する第一歩として「機体のどこが一番熱的に厳しいか」を見極める「スクリーニング」に使うイメージだよ。

使い方ガイド

  1. 再突入速度(km/s)、再突入角度(度)、弾道係数(kg/m²)、鼻半径(m)をプリセットまたは手動で設定します
  2. 「計算実行」をクリックすると、Fay-Riddellの空力加熱式とニュートン的圧力係数に基づき最大G、最大熱流束、平衡壁面温度、積算熱量を算出します
  3. 結果グラフで高度に対する加熱率と機体加速度の時間推移を確認し、複数条件を比較できます

具体的な計算例

アポロ司令船(V0=11.0km/s、γ=-5.5°、β=75kg/m²、Rn=1.0m)では最大熱流束8.2MW/m²、平衡壁面温度1840K、最大G値5.2gが得られます。一方スペースシャトル軌道船(V0=7.8km/s、γ=-1.5°、β=145kg/m²、Rn=0.23m)では同じ高度区間で熱流束0.68MW/m²、壁面温度960K、最大G値1.8gとなり、低角度再突入と高い弾道係数により加熱が著しく低減されることが明確に示されます

実務での注意点

  1. 弾道係数が150kg/m²以上の場合、高度100kmでの減速が不十分となり計算結果が実務値から逸脱するため、事前に軌道解析で確認してください
  2. 再突入角度-8°以下では強い圧縮加熱が集中し、遮熱材の局所剥離リスクが急増するため、カーボンフェノールなど材料の耐熱設計基準値(通常1400K程度)を超過しないよう検証が必須です
  3. 鼻半径0.15m以下の尖鋭形状では熱流束が乱流遷移により±30%変動するため、CFD検証なしに本計算結果を構造設計に直接適用してはいけません