$$\frac{N_{Ed}}{N_{b,Rd}}+ k_{yy}\frac{M_{y,Ed}}{M_{b,Rd}}\leq 1.0$$
座屈低減係数:$\chi = \frac{1}{\Phi + \sqrt{\Phi^2 - \bar{\lambda}^2}}$
細長比:$\bar{\lambda}= \sqrt{\frac{A f_y}{N_{cr}}}$
EN 1993-1-1 に基づき、軸力と曲げモーメントを同時に受ける梁柱の照査をリアルタイム計算。P-M 相関図に設計点をプロットし、安全性を PASS/FAIL で即座に判定します。
建築構造(鉄骨造柱梁):オフィスビルや工場の柱は、上階からの重量(軸力)と地震や風による横力(曲げ)を同時に受けます。特に角柱や、片側に大きな開口部がある場合の柱の設計でP-M相関図が必須です。
プラント・架構構造:化学プラントや発電所のパイプラック(配管架台)は、配管の重量と熱膨張による推力が複雑に作用する梁柱の集合体です。個々の部材のP-M相関チェックが全体の安全性を担保します。
橋梁の橋脚:橋脚は上部工からの重量に加え、車両の制動力や地震時の慣性力による大きな曲げモーメントが作用します。水中や地中の橋脚は長さが長くなるため、座屈の影響が特に大きくなります。
クレーン・リフトマスト:タワークレーンのマストや建設リフトのガイドレールは、自重による圧縮と、吊り荷の偏心や風圧による曲げを常時受けます。運用中の荷重変化に応じて、最も不利なP-Mの組み合わせを探す必要があります。
この手のツールを使い始めるときに、いくつか陥りがちなポイントがあるよ。まず一つ目は、「断面を強くすれば全て解決する」という思い込み。確かに、H形鋼のフランジ幅やウェブ厚を増せば断面性能は上がる。でも、部材長Lが長いままでは、座屈耐力 $N_{b,Rd}$ はほとんど改善されないんだ。例えば、長さ5mの部材で、H-200x200をH-250x250に変えても、オイラー座屈荷重は断面二次モーメントに比例して上がるけど、細長比 $\bar{\lambda}$ がまだ大きければ、座屈低減係数 $\chi$ は思ったほど大きくならない。座屈対策は「断面強化」と「支持条件の見直し(長さの実質的短縮)」の両輪で考える必要がある。
二つ目は、軸力と曲げの「主役」を見誤ること。ツールでNとMをバラバラに動かせるから、それぞれの限界値を別々に考えがちだ。でも実際の構造物では、例えば偏心荷重のかかる柱なら、軸力と曲げは比例関係にある。シミュレーションでは、設計荷重の想定される経路(例えば、軸力一定で曲げが増加するケース)に沿ってグラフ上の点を動かして評価しないと、現実的な検証にならない。
三つ目は、局部座屈の考慮忘れ。このツールは部材全体の座屈(全体座屈)を扱う。しかし、H形鋼のフランジやウェブのように、板要素で構成される部分は、高い圧縮力がかかると板自体が波打つ「局部座屈」を起こす可能性がある。EN1993では幅厚比の制限でこれを防ぐ。ツールで強度が十分と出ても、断面の幅厚比が規格値を超えていれば、その断面は使えない。常に全体と局部、両方のチェックが必要だ。
H形鋼250×250 (断面積73.5cm2、Iy=22800cm4、Iy/i=163) を長さ3000mmの自立柱として使用。軸力N=800kN、y軸曲げモーメントMy=25kNm、z軸曲げモーメントMz=5kNmを受ける場合、座屈長係数k=0.7(両端固定)でλy≈114となり、EN 1993-1-1のカーブbを適用。軸力比n=0.38、相互作用係数Kyy=1.15を用いた相関式Kyy×(My/Mpl,y)+N/Npl≈0.92で安全余裕を確保できます。