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コンクリート工事・圧送

コンクリートポンプ車 配管圧損計算 — DIN 18218

生コンクリートを高層階・遠距離へ圧送する際の配管圧損を、Buhrau式系の経験式で即時計算します。スランプ・配管径・水平距離・垂直揚程を変えると、必要ポンプ吐出圧とブーム車(M28〜M70)の機種選定がリアルタイムで分かり、打設計画の事前検討に使えます。

パラメータ設定
スランプ(流動性)
摩擦係数 f を自動設定(小さいほど硬く高粘性)
配管径 D
mm
水平距離 L_h
m
垂直揚程 H
m
打設階の床面までの垂直高さ
90°曲管 数
1ベンドあたり25 kPaの局部損失
レデューサ 数
1個あたり80 kPa(縮径=閉塞リスク源)
吐出速度 Q
m³/h
配管材
摩耗で内面が粗くなると圧損が増加
計算結果
配管断面積 (cm²)
配管内流速 (m/s)
水平摩擦損失 (kPa)
垂直揚程損失 (kPa)
全圧損 (MPa)
必要ポンプ吐出圧 (MPa)
ポンプ車・配管系統図

ポンプ車から打設階までの配管経路(水平・曲管・垂直立ち上げ)。流れに沿って色が変わり、圧損の蓄積を可視化します。

垂直揚程と必要ポンプ圧の関係
スランプ別の全圧損比較(現条件)
理論・主要公式

$$\Delta P_h = f\cdot L_h\cdot v^{1.5}\cdot g, \qquad v=\frac{Q/3600}{A}$$

水平摩擦損失 ΔP_h(kPa)と配管内流速 v(m/s)。f:スランプ依存の摩擦係数、L_h:水平長さ、Q:吐出速度(m³/h)、A:配管断面積(m²)。

$$\Delta P_v = \rho\cdot g\cdot H/1000, \qquad \rho=2400~\mathrm{kg/m^3}$$

垂直揚程損失 ΔP_v(kPa)。生コンクリートの比重 ρ をそのまま圧力ヘッドに変換。100m揚程で約2.4 MPa の純粋な重力ヘッドが必要。

$$P_{\text{pump}} = 1.3\bigl[(\Delta P_h + n_b\cdot 25 + n_r\cdot 80)\cdot k_m + \Delta P_v\bigr]/1000$$

必要ポンプ吐出圧 P_pump(MPa)。n_b:90°曲管数、n_r:レデューサ数、k_m:配管材補正(1.0/1.15/1.5)、1.3:起動・閉塞・疲労を見込む安全係数。

コンクリートポンプ車 配管圧損 — Buhrau 式 高層建築

🙋
高層マンションの建設現場で、地上から30階の床にコンクリートを打ち上げているのを見ました。あれって、どんな圧力がかかっているんですか?水のポンプみたいに簡単に上がるとは思えなくて…
🎓
いい着眼点だね。コンクリートは比重が2.4で、水の2.4倍重い。だから純粋に100m持ち上げるだけで 2.4×9.81×100/1000 ≈ 2.4 MPa の圧力ヘッドが必要なんだ。これに配管内の摩擦損失と曲管の局部損失が加わって、30階(約90m)クラスだと配管出口で3〜5 MPa、ポンプ吐出口では5〜7 MPa が普通。だから皆さんが見てるブーム車のシリンダ径は通常200mm以上で、機種によっては25 MPa まで出せるんだ。
🙋
スランプを「210mm SCC」にすると圧損が半分以下に下がります。じゃあ全部SCCで打てば楽なんじゃないですか?
🎓
理屈は正解、でも現場では使い分けるんだ。SCC(自己充填コンクリート)は確かに摩擦係数 f が0.005と低くて圧送はラク。ただし、(1) 単価が普通コンの1.5倍、(2) 材料分離(骨材沈降)しやすく長距離圧送で水と砂利が分かれる、(3) 型枠側圧が高くなり型枠強度が必要、というデメリットがある。だから高層階でも、120mm標準コンに高性能AE減水剤を入れて「圧送性だけ改善する」アプローチが主流。SCCは打ち込み窓が狭い柱や梁底など、バイブレータが入らない部位に限定使用するのが定石だよ。
🙋
90°曲管が1個で25 kPa って、結構大きいですね。8個もあるとそれだけで0.2 MPa…これって減らせないんですか?
🎓
そう、ベンド数は圧損の隠れた支配因子。配管計画では「45°ベンドを2連で90°を作る」「曲率半径Rを管径の3倍以上にする」「ポンプ車の位置を最適化して曲管数自体を減らす」の3つで対策する。さらに重要なのが「閉塞対策」。曲管の入口は速度ベクトルが急変するため、骨材が壁面に押し付けられて閉塞が起きやすい。だから曲管前後5mは特に内面チェックを入念にやる。レデューサ(径違い継手)も同じ理由で要注意で、必ず勾配のなだらかな同心レデューサを使うこと。
🙋
機種選定で「M52/M58」とか「M62/M70」って出てきますが、これは何の番号ですか?
🎓
プツマイスター社(独)やシュビング社のブームポンプ車の機種名で、数字はブーム到達高さ(メートル)。M28なら28m、M70なら70mまで届く。日本国内だと28〜52mが主流で、超高層案件では中継ポンプを使うか、地上のスタティックポンプ+配管立ち上げにする。本ツールの判定で「25 MPa超」と出たら、単純な機種アップではなく「中継ポンプ方式」を検討するサインだと思っていい。中継ポンプは初期費用は高いが、配管摩耗を分散できるため、年間打設量の多い超高層では結果的に経済的なんだ。
🙋
最後に、計算の精度ってどれくらい信頼できますか?現場で実測と合うものですか?
🎓
Buhrau経験式の精度は±20〜30%、というのが正直なところ。理由は、(1) コンクリートはビンガム流体で温度・時間で粘性が変わる、(2) スリップ層(壁面のセメントペースト層)の状態で摩擦が大きく変動する、(3) ポンプ脈動による動的圧力が無視できない、の3つ。だから本ツールの出力は「機種選定の一次評価」に使い、最終的にはポンプメーカーや圧送業者に技術検討を依頼する流れになる。それでも事前検討で「明らかにM28では届かない」「曲管数を減らさないとダメ」といった大局判断はできるので、十分価値があるよ。

よくある質問

本ツールはBuhrau経験式系の簡易版を用い、水平摩擦損失 ΔP_h = f·L_h·v^1.5·g を採用しています。f はスランプ(流動性)から決まる摩擦係数で、80mm硬めSCCで0.018、120mm標準で0.012、180mm流動で0.008、210mm SCCで0.005 を目安とします。垂直揚程損失は ΔP_v = ρ·g·H で、ρ=2400 kg/m³ の比重をそのまま圧力ヘッドに変換します。曲管は1か所25 kPa、レデューサは1か所80 kPaで加算します。
配管全圧損に1.3の安全係数(スタートアップ・閉塞リスク・ホース疲労)を乗じたものを、ポンプの必要吐出圧とします。M28-4(小型)は7 MPa まで、M36-5(中型)は14 MPa まで、M52/M58(高層)は25 MPa まで、それ以上は M62/M70(超高層)級のフラッグシップ機が必要です。25 MPa を超える計画は配管径アップや中継ポンプの導入を検討してください。
コンクリートは厳密にはビンガム流体で、降伏応力 τ_y と塑性粘度 η_p を持ちます。スランプが大きい(軟らかい)ほど τ_y が低く、配管壁面でのスリップ層が薄いセメントペーストで形成され、摩擦損失が下がります。一方で材料分離(ブリーディング・骨材沈降)のリスクが上がるため、高層圧送ではSCC寄りでも分離抑制剤を使うのが定石です。
新品鋼管を1.0とすると、使用済みで内面が粗くなった鋼管は約1.15倍、末端のゴムホース部は約1.5倍の摩擦損失になります。長距離圧送で末端だけゴムホースに切り替える現場は多いですが、ホース長さが10mを超えるとこの補正が効いてくるため、計算で見込んでおく必要があります。摩耗管は内面チェックで肉厚2mm以下になったら更新が目安です。

実世界での応用

超高層ビル・タワーマンションの圧送計画:東京・大阪の200m超タワーマンションでは、地上のスタティックポンプ(コンスタント1300型など)と配管立ち上げの組み合わせが標準。本ツールで垂直揚程300m級を試算すると圧送圧が25 MPaを超えるため、中継ポンプ方式か超高圧仕様(35 MPa)の選定が必要です。打設前のメソッド検討で、ポンプ位置・配管経路・打設順序を最適化する基礎データになります。

トンネル・地下構造物の遠距離圧送:シールドトンネルのセグメント裏込め注入や、深い基礎ピットへの打設では水平距離300m級も珍しくありません。水平摩擦損失は L_h·v^1.5 で効くため、配管径アップ(125→150mm)でvを下げる効果が大きい。本ツールでD=150 vs D=125を比較すると、長距離ほど径アップのメリットが明確になります。

ダム・大規模土木の連続打設:RCC(ローラー転圧コンクリート)ダムや大ボリュームの基礎マットでは、吐出量120 m³/h級の超大型ポンプを使います。本ツールで Q=150〜200 m³/h と D=125mm を組み合わせると流速が6m/s超になり、配管摩耗が急増。打設量と機種・配管径のバランスを事前検討する一次評価に有効です。

BIM・施工シミュレーションとの連携:BIM上で配管経路を3Dモデル化した後、各セグメントの長さ・曲管数を本ツールに入力すれば、施工計画段階で打設可能性を判定できます。リフトプラン(打設高さの分割計画)と組み合わせると、1日あたりの打設可能ボリュームと必要ポンプ台数の初期試算が可能です。

よくある誤解と注意点

最も多い誤解が、「配管径を大きくすれば必ず楽になる」というもの。確かに径アップで流速が下がり摩擦損失は減りますが、(1) 配管自重が増えてブーム能力を圧迫、(2) 曲管・継手のコストが急増、(3) 始動時のコンクリート滞留量が増えてプライミング(モルタル先送り)量が増える、というトレードオフがあります。150mm配管は超高層・超遠距離以外ではオーバースペックで、125mmが事実上の標準である理由はここにあります。圧損だけ見て径を決めると、ブーム伸長能力で別の問題が出ます。

次に、「Buhrau式の精度を過信する」こと。本ツールの計算精度は±20〜30%で、これはコンクリートがビンガム流体であり、(1) 温度(夏35°Cと冬5°Cで粘度が2倍違う)、(2) ポンプ脈動(最大圧は平均圧の1.4倍)、(3) スリップ層形成の不確かさ、を経験係数に押し込めているためです。本ツールの出力で「7.5 MPa」と出たら、実機選定では10 MPa級を選ぶくらいの余裕を見込むのが安全です。特に冬期打設や長期サイト案件では、ポンプメーカーの圧送試験データを必ず確認してください。

最後に、「圧損計算だけで打設計画を立ててはいけない」こと。実際の打設では、(1) 1サイクル(型枠1個分)の打設量と打設速度、(2) コンクリート供給能力(生コン車のローテーション)、(3) 打ち継ぎ時間(コールドジョイント防止)、(4) 振動・締固め能力、の4つが律速になります。本ツールで「ポンプ的にはOK」でも、生コン車が3台/h しか来ない現場では Q=80 m³/h を出せません。圧送計算は必要条件で、十分条件は供給・施工体制との整合確認です。

使い方ガイド

  1. 配管径(125mm~200mm)、水平距離、揚程高さ、90°曲がり数を入力
  2. スランプ値(S18~S21)と予定吐出量(m³/h)を選択
  3. 計算ボタンをクリックするとDIN 18218・Buhrau式により配管内流速、水平摩擦損失、垂直揚程損失が自動算出
  4. 全圧損と必要ポンプ吐出圧(安全係数1.3倍適用)を確認し、ポンプ機種選定に活用

具体的な計算例

配管径φ125mm、水平距離80m、揚程45m、90°曲がり12個、スランプS21、吐出量12m³/hの大型商業施設打設を想定。配管断面積120.7cm²で流速2.77m/s。水平摩擦損失110kPa、垂直揚程損失450kPa(ρ=2400kg/m³適用)、合計560kPa。安全係数1.3倍で必要吐出圧0.73MPa。標準的な58kW級ポンプ(最大吐出圧0.85MPa)で対応可能。一方φ100mm同条件では流速4.58m/s、全圧損780kPaとなり1.0MPa以上のポンプが必須。

実務での注意点

  1. 配管内流速が3.0m/s超過時は摩擦損失が急増し、コンクリート分離リスク高増。φ150mm以上への変更検討が必須
  2. 曲がり部での圧力損失は90°1個あたり約5~8kPa。S字配管や複数段階の高さ変化がある場合は詳細なルート図で曲がり数を正確にカウント
  3. 気温5℃以下やセメント添加量が多い配合ではコンクリート粘度が増し、実測圧損は計算値の1.1~1.2倍に達する可能性。冬季施工時は安全係数を上げ、事前に小規模テスト打ちを実施