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波動光学 / 干渉・回折

回折格子・干渉縞シミュレーター

格子間隔・波長・入射角・スリット数を操作して回折角・角度分散・分解能をリアルタイム計算。白色光の虹色分散もCanvas上でアニメーション表示する。

パラメータ設定
格子間隔 d (µm)
µm
波長 λ (nm)
nm
入射角 θi (°)
°
スリット総数 N
選択次数 m の計算
回折次数 m
全次数一覧(m = −3〜3)
次数 mθm (°)有効
計算結果
回折角 θm (°)
角度分散 (°/nm)
分解能 R = mN
最小分離 δλ (nm)
干渉強度パターン(角度 vs 相対強度)
白色光の虹色分散(m=1 次、Canvas)

1次回折(m=1)での白色光の虹色分散 — 波長380〜780 nmの回折角位置を色表示

理論・主要公式

$$d(\sin\theta_m - \sin\theta_i) = m\lambda$$

角度分散: $\dfrac{d\theta_m}{d\lambda}= \dfrac{m}{d\cos\theta_m}$

分解能: $R = mN$

回折格子・干渉縞シミュレーターとは

🙋
「回折格子」って、教科書に書いてあるあの線がたくさんある板のことですよね?あれをシミュレーターでどうやって再現するんですか?
🎓
そうだね。大まかに言うと、光がたくさんのスリットを通るときに起こる「干渉」の様子を計算で再現するんだ。このシミュレーターでは、上のスライダーで「格子間隔d」や「波長λ」を自由に変えられる。例えば、dを小さくすると、光の道のりの差が大きく効いて、回折角が大きくなる様子がすぐに確認できるよ。
🙋
え、そうなんですか?でも「回折次数m」って何ですか?m=0, 1, 2...って増やしていくと、右側の画面に縞が増えていきますね。
🎓
mは「光の道のりの差が波長の何倍か」を表す整数なんだ。m=0は真ん中の明るい像(直接光)、m=±1, ±2...と、左右に対称に明るい縞(回折像)が現れる。パラメータ「入射角θ」を0以外にすると、この対称性が崩れる様子も観察できる。実務では、分光器の設計でこのmを大きくして分解能を上げることが多いんだ。
🙋
「白色光」のボタンを押すと虹色に広がりました!これが「分散」ですか?角度分散の値も変わっていますね。
🎓
その通り!白色光はいろんな波長の光が混ざっている。格子間隔dが一定だから、波長λが違うと回折角θも違ってくる。これが虹色に分かれる理由だ。表示されている「角度分散」の値は、波長がほんの少し変わった時に、角度がどれだけ敏感に変わるかを表す数値で、この値が大きいほど性能の良い分光器が作れるんだ。シミュレーターでdやmを変えて、この値がどう変化するか確かめてみて。

よくある質問

白色光は様々な波長の光が混ざったものです。格子方程式 d(sinθm - sinθi) = mλ より、回折角θmは波長λに依存するため、波長ごとに異なる角度へ回折されます。その結果、各次数の回折光が虹色に分離して見えるのです。
スリット数Nを増やすと、分解能 R = mN が向上し、波長のわずかな違いを分離できるようになります。同時に、主極大(明線)の幅が狭くなり、よりシャープで明瞭な干渉縞が得られます。ただし、全体の明るさはスリット数に比例して増加します。
格子方程式 d(sinθm - sinθi) = mλ において、入射角θiを変化させると、同じ次数m・波長λでも回折角θmが変わります。例えば入射角を大きくすると、0次以外の回折光の角度も連続的に変化し、特定の次数が観測できなくなる場合もあります。
分解能 R = mN を最大化するには、次数mを大きくするか、スリット数Nを増やします。次数mを上げるには格子間隔dを小さくするか波長λを大きくしますが、高次ほど光量が減る点に注意してください。また、入射角を適切に設定することで高次の回折光を効率よく取り出せます。

実世界での応用

分光分析装置:化学や天文学で、物質が発するまたは吸収する光の波長(スペクトル)を詳細に分析するために使われます。高い分解能(R)が必要とされるため、回折次数(m)を高くしたり、スリット総数(N)の多い(=幅の広い)回折格子が用いられます。

CD/DVD/ブルーレイプレーヤー:ディスク表面の微細なピット列が回折格子の役割を果たし、レーザー光の回折・干渉パターンを読み取ることでデジタル情報を再生しています。波長の短いブルーレイレーザーほど、高密度の記録が可能です。

光学通信(波長分割多重:WDM):1本の光ファイバーに複数の波長の光信号を同時に通す技術です。回折格子は、送信側で複数の波長を合成したり、受信側でそれらを分離するための重要な部品として使われています。

レーザーシステム:レーザー共振器内部に回折格子を配置し、特定の波長のみを選択的に増幅させることで、単一波長で位相のそろった高品質なレーザー光を発生させます。

よくある誤解と注意点

まず、「格子間隔dを小さくしすぎると、何でもよく見えるわけではない」という点に注意だ。確かにdを小さくすると角度分散は大きくなり、色の分離はシャープになる。しかし、現実の回折格子には「ブレーズ角」という設計パラメータがあり、特定の次数(例えばm=1)に光エネルギーを集中させるように最適化されている。シミュレーターでdを極端に小さく(例えば0.5µm以下)してmを大きくすると、理論上は高次(m=5など)の像も現れるが、実際の分光器ではこれらの高次光は非常に暗く、実用的でないことが多い。常に「明るさ」と「分解能」のトレードオフを意識しよう。

次に、白色光シミュレーションで見える虹は「1次のスペクトル」だけではない。白色光ボタンを押し、m=2などに切り替えてみると、虹がさらに広がって見えるはずだ。これが「2次スペクトル」。実は、この高次の虹では波長の長い赤と、次の次数の波長の短い紫が重なる「スペクトルの重畳」が起こる。例えば、可視光(400-700nm)を使う場合、m=2の700nmの光とm=3の467nmの光が同じ角度に出てきてしまう。分光器を設計する時は、この重なりを避けるために「自由スペクトル範囲」という概念を考慮する必要がある。

最後に、シミュレーター上の「明るい縞」は全て同じ強度ではない。このツールでは理解を優先し、干渉が強め合う角度を線で示している。しかし実際の光の強度分布は、単スリットによる回折のエンベロープ(包絡線)によって制限される。つまり、中心(m=0)が最も明るく、高次になるほど暗くなるのが普通だ。また、スリット総数Nが有限であることによる「干渉縞の鋭さ」の変化も重要なポイント。Nが少ないと縞はぼやけ、多いと鋭くなる。分解能R=mNの式は、このNの効果を表しているんだ。

使い方ガイド

  1. 格子間隔D(μm)を0.5~5の範囲で設定。回折格子の物理的な溝間隔に対応します
  2. 波長λ(nm)を380~1000で入力。可視光(VIS)から近赤外(NIR)領域を選択可能
  3. 入射角θi(°)を0~60で調整。法線入射時は0°、斜入射の干渉条件を変更
  4. 回折次数m(1~5)を指定。m=1は1次回折、m=2は2次回折の干渉縞を計算
  5. 回折角θm、角度分散、分解能Rがリアルタイム更新される

具体的な計算例

ブレーズド回折格子(D=1.67μm、溝数1200/mm)でヘリウムスペクトル観測:λ=656.3nm(Hα赤色線)、入射角θi=0°、m=1次とした場合、回折角θm≈23.2°、角度分散≈0.00918°/nm、分解能R=1200(m×N=1×1200)、最小分離δλ≈0.55nm。医療用分光器では通常m=1~2次で使用し、高分解能要求時はm=3を採用する実績があります

実務での注意点