相互インダクタンス $M = k\sqrt{L_1 L_2}$ による2コイルの電磁結合を可視化。トランスフォーマー・ワイヤレス給電・誘導加熱の各モードで電流・電圧波形をリアルタイムに確認できます。
ワイヤレス電力伝送(充電):スマートフォンや電気自動車の非接触充電に応用されます。コイル間に隙間がある疎結合(k≈0.1~0.3)状態でも、コイルを共振させることで高い伝送効率を実現しています。シミュレーターでkを小さくし、周波数を調整して効率のピークを探す操作が、その設計プロセスに相当します。
誘導加熱:金属鍋を直接火にかけずに加熱するIH調理器の原理です。1次コイル(ヒーターコイル)に高周波電流を流し、2次コイル(鍋底)に誘導電流(渦電流)を発生させてジュール熱で加熱します。このシミュレーターで「R₂」を大きくすると、2次側で消費される電力(熱)が増える様子を確認できます。
変圧器:送配電や電子機器の電源に不可欠な部品です。鉄心を用いて結合係数kを0.95以上に高め、効率的に電圧変換を行います。パラメータ「L₁」と「L₂」の比を変えることで、昇圧や降圧の比率をシミュレートできます。
信号用トランス/ノイズ対策:通信回路で直流成分を遮断しつつ信号だけを伝えたり、ノイズの原因となる共通モード電流を除去(コモンモードチョーク)したりします。高い結合と低い損失が求められるため、シミュレーターの「R₁」「R₂」をいかに小さくするかが設計ポイントになります。
まず、「結合係数kは固定値ではない」という点を押さえよう。シミュレーターではスライダーで簡単に変えられるけど、実際の設計ではコイルの形状、向き、距離、そして周囲の金属(シールドやケース)によって大きく変動するんだ。例えば、スマホをワイヤレス充電パッドに「ちょっとずらして置く」だけでkが0.3から0.15に落ち、効率が半分以下になることもある。実務では、この「位置ずれ許容度」をシミュレーションで事前に評価することが特に重要だよ。
次に、「共振周波数は計算値通りに動かない」という落とし穴。ツールではLとCで決まる単純な共振周波数 $$f_r = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}$$ を使っているけど、実際のコイルは巻き間の寄生容量(分布容量)を持つから、特に高周波では計算より低い周波数で共振する。例えば、計算上では1MHzで設計しても、実測では800kHzがピークなんてことはザラ。シミュレーション結果はあくまで第一近似と考えて、試作での実測が必須だ。
最後に、「効率ηだけを見て設計を終わらせない」こと。効率90%は素晴らしいけど、残り10%はほとんどがコイル抵抗での発熱(銅損)だ。この熱がコイルの絶縁材を劣化させたり、機器の温度上昇を招いたりする。例えば、R1を0.1Ωから0.05Ωに下げれば効率は2%上がるけど、太い高価な銅線が必要になる。コスト、サイズ、発熱のトレードオフを総合的に判断するのがエンジニアの腕の見せ所だね。
ワイヤレス給電コイルの場合:L1=100μH、R1=0.5Ω、L2=100μH、R2=50Ω、k=0.92、1次側入力電流1Aで動作させると、相互インダクタンスM≈92μH、伝達効率η≈78%、2次側電力P₂≈1.6W、共振周波数f_res≈159kHzが得られます。産業用誘導加熱では、L1=200μH、k=0.80の場合、M≈160μH、伝達効率が65~70%程度となり、加熱効率の評価に活用できます。