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破壊力学

変動荷重スペクトル疲労累積損傷計算

S-N曲線とMiner則を用いた変動振幅疲労解析。鋼・アルミ・CFRPの材料パラメータ、Goodman平均応力補正、残存寿命と安全率をリアルタイム計算。

材料 & 荷重スペクトル
材料
荷重スペクトル種別
応力振幅 S₁ (MPa)
MPa
繰返し数 n₁ (×10⁶)
×10⁶
応力振幅 S₂ (MPa)
MPa
繰返し数 n₂ (×10⁶)
×10⁶
平均応力 σₘ (MPa)
MPa
引張強さ Sᵤ (MPa)
MPa
稼働周波数 f (Hz)
Hz
計算結果
計算結果
許容繰返し数 N₁
許容繰返し数 N₂
部分損傷 D₁
部分損傷 D₂
累積損傷度 D
安全率 1/D
推定残存寿命(年)

累積損傷度メーター(D = 1 で破損)

S-N 線図
累積疲労損傷 D
理論・主要公式
S-N曲線: $N = \left(\frac{\sigma_f'}{S_a}\right)^{1/b}$
Miner則: $D = \sum_i \frac{n_i}{N_i}$
Goodman補正: $S_{a,eq}= \dfrac{S_a}{1 - \sigma_m / S_u}$

変動荷重スペクトル疲労累積損傷計算とは

🙋
「疲労累積損傷」って何ですか? 材料が疲れて壊れるまでの「疲労度」みたいなものですか?
🎓
大まかに言うと、その通りだね。例えば、飛行機の翼は離着陸のたびに荷重が変動するよね。大きな荷重が1回かかるだけでは壊れないけど、小さな荷重を何百万回も繰り返すと、目に見えない傷が蓄積して突然壊れる。その「傷の蓄積度合い」を数値で表したのが累積損傷Dだ。このシミュレーターでは、上の「材料」や「荷重スペクトル」を選ぶと、リアルタイムでDの値が計算されて、メーターで危険度がわかるよ。
🙋
え、そうなんですか! で、メーターのD=1で破損って書いてありますけど、実際に1になったら絶対壊れるんですか?
🎓
実はそこがポイントで、絶対じゃないんだ。Miner則という単純な理論上はD=1で破損だけど、実際の実験では0.3から3までバラつく。だから実務では「安全率」が特に重要で、シミュレーターの右側に出てくる「安全率 = 1/D」を見るんだ。例えばDが0.5なら安全率は2.0。試しに「応力振幅S₁」のスライダーを大きくしてみて、Dが0.8を超えると安全率が1.25を切って、メーターが黄色や赤に変わるのがわかるよ。
🙋
なるほど!「平均応力」と「Goodman補正」ってのもありますけど、これは何のためにあるんですか?
🎓
いいところに気が付いたね。例えば、回転するシャフトは引っ張り方向に常に力がかかっている(平均応力が正)。この状態で振動が加わると、平均応力がゼロの時より疲労寿命が短くなるんだ。Goodman補正はその影響を考慮して「等価な応力振幅」を計算するための式だ。ツールで「平均応力σₘ」を0から100MPaくらいに増やしてみて。同じ応力振幅でも、Dの値がどんどん大きくなって、残存寿命が短くなるのが確認できるはずだよ。

よくある質問

平均応力がゼロでない変動荷重(例:予荷重のあるボルトや残留応力のある溶接部)を解析する際に使用します。平均応力が引張側だと疲労寿命が低下するため、補正なしでは危険側の評価になります。本ツールでは自動適用されます。
はい、各材料の疲労強度係数σf'と疲労強度指数bはユーザーが自由に編集可能です。実測データや文献値に合わせて調整することで、より正確な寿命予測が可能です。初期値は代表的な値が設定されています。
残存寿命は現在の累積損傷Dが1に達するまでの繰返し数です。安全率は許容損傷値(通常1.0)に対する現在のDの比で、1未満なら安全、1以上なら疲労破壊リスクがあります。設計では安全率0.5〜0.7を目標にすることが多いです。
各応力振幅とその発生回数を正しくペアで入力してください。応力振幅の単位はMPaに統一し、発生回数は実機の運転サイクル数に基づいて設定します。また、応力振幅が材料の疲労限度以下のデータは無視して構いません。

実世界での応用

自動車・鉄道車両:路面やレールの凹凸による繰返し荷重が車体やサスペンションに加わります。走行距離(繰返し数)と想定される荷重スペクトルから、定期点検や部品交換の目安となる残存寿命を計算するために用いられます。

航空宇宙機体:離着陸時の圧力変化や乱気流による荷重変動が主翼や胴体に加わります。非常に高い信頼性が要求されるため、Miner則による計算結果に大きな安全率を乗じて設計し、実際にはフルスケールの疲労試験で検証します。

発電プラント・回転機械:タービンブレードや発電機のシャフトは、遠心力(平均応力)に加え、振動(応力振幅)が常時作用しています。Goodman補正を適用した疲労評価は、これらの機械の保全計画において不可欠です。

橋梁・建築構造物:風や交通量の変動による荷重が長期にわたって作用します。特に溶接部などのき裂進展起点となりやすい箇所に対して、保守管理の優先度を判断する材料として累積損傷度が参照されます。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、特に初心者の方が陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず第一に、「計算結果が絶対的な寿命を保証する」という誤解です。先輩エンジニアからよく言われるのは、「シミュレーションはあくまで『机上の計算』。現実はもっと厳しい」ということ。例えば、ツールで鋼材を選び、安全率が1.5と出たからといって、そのまま設計してはいけません。実際の製品には、計算に入れていない腐食製造上の欠陥(溶接ビードの微細なき裂など)、想定外の過大荷重が必ず存在します。実務では、計算で得られた安全率にさらに「経験係数」を乗じるのが普通です。

第二に、荷重スペクトルの入力の質です。ツールではあらかじめ用意されたスペクトルを選べますが、実際の設計では、実測データや規格に基づいて自分で作成する必要があります。ここで、低応力レベルの繰り返しを「無視してしまう」のは大きな間違い。例えば、10MPaの小さな振動を100万回与えると、Dの値は微増に見えても、材料の内部では微小き裂が確実に発生・進展しています。この「下地」ができた状態で大きな荷重が一度かかると、予想より早く破断に至る「下地効果」が起こり得ます。

最後に、材料定数の信頼性。ツールに登録されているσ_f'やbの値は代表値です。実際の材料では、熱処理のバラつきやロット差によって疲労強度は変動します。例えば、同じ「S45C」という鋼材でも、焼き入れ・焼き戻しの条件次第で疲労寿命が数倍変わることは珍しくありません。信頼性の高い設計のためには、自社で調達する材料の疲労試験データを取得し、ツールのパラメータをカスタマイズすることが理想です。

使い方ガイド

  1. S-N曲線データから材料の応力振幅s1、s2と対応する許容繰返し数n1、n2を入力します。鋼材(SS400)の場合、応力振幅150MPaで許容繰返し数2×10⁶回など
  2. 実運用での各応力レベルに対する実際の繰返し数vNum1、vNum2を入力し、Goodman補正用の平均応力σmを設定します
  3. シミュレータがMiner則(D = Σ(ni/Ni))で累積損傷度Dを算出し、D<1で安全、D≥1で破損判定となります。残存寿命は年単位で表示されます

具体的な計算例

アルミ合金(A6061-T6)の航空機翼部材に対し、応力振幅s1=120MPa(n1=5×10⁶回),s2=80MPa(n2=2×10⁷回)のS-N曲線を設定。実運用でvNum1=1×10⁵回、vNum2=3×10⁶回、平均応力σm=40MPaで繰り返し荷重が作用する場合、Miner則により D₁=0.02、D₂=0.15が計算され、累積損傷度D=0.17となります。安全率1/D≈5.9倍で十分余裕があり、推定残存寿命は約12年と評価されます

実務での注意点