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熱解析

2D過渡熱伝導シミュレーター

$\partial T / \partial t = \alpha \nabla^2 T$ を有限差分法でリアルタイム計算。境界条件・内部熱源・熱拡散率を自在に設定し、温度分布の時間変化をCanvasアニメーションで確認できます。

熱拡散率 α 0.10
上辺 T_top 100 °C
下辺 T_bottom 0 °C
左辺条件
右辺条件
T_max
T_min
フーリエ数 Fo
0.00
状態
過渡
0°C 100°C
マップ上にカーソルを合わせると温度を表示します

2次元過渡熱伝導方程式(内部発熱項付き)は:

$$\frac{\partial T}{\partial t} = \alpha \left(\frac{\partial^2 T}{\partial x^2} + \frac{\partial^2 T}{\partial y^2}\right) + \frac{\dot{q}}{\rho c_p}$$

ここで $\alpha = k / (\rho c_p)$ は熱拡散率 [m²/s]、$\dot{q}$ は内部発熱量 [W/m³] です。このシミュレーターでは陽解法(前進差分)を用います:

$$T_{i,j}^{n+1} = T_{i,j}^n + \alpha \Delta t \frac{T_{i+1,j}^n + T_{i-1,j}^n + T_{i,j+1}^n + T_{i,j-1}^n - 4T_{i,j}^n}{(\Delta x)^2} + \dot{q}_{i,j}\Delta t$$

安定条件(フォン・ノイマン安定性): $\Delta t \leq \frac{(\Delta x)^2}{4\alpha}$。この条件を満たすよう $\Delta t = 0.24(\Delta x)^2/(4\alpha)$ に自動設定しています。

無次元時間フーリエ数

$$Fo = \frac{\alpha t}{L^2}$$

$Fo \ll 1$ では熱が表面近くのみ、$Fo \sim 1$ で全体に拡散、$Fo \gg 1$ で定常に近づきます。境界条件の種類:ディリクレ条件(温度固定)とノイマン条件(断熱、$\partial T/\partial n = 0$)を選択できます。

対話で学ぶ — 過渡熱伝導
🧑‍🎓
「過渡熱伝導」って聞いたことはあるんですが、定常の熱解析と何が違うんですか?
🎓
簡単に言うと、定常は「最終的にどうなるか」、過渡は「どうやってその状態に達するか」の違いだ。例えばICチップに通電した直後は、まだ冷却板に熱が届いていないからチップ温度が一気に上がる。その「起動時の温度ピーク」を見るのが過渡解析で、定常解析だけでは見逃してしまうんだよ。
🧑‍🎓
シミュレーターで「ICチップ冷却」プリセットを試すと、中央に赤い熱源が現れて、だんだん下に熱が伝わっていくのが見えます。あの「熱が伝わる速さ」を決めるのが熱拡散率αですか?
🎓
そう。$\alpha = k / (\rho c_p)$ で、$k$ が熱伝導率、$\rho c_p$ が単位体積の熱容量。αが大きいほど熱が速く広がる。銅($\alpha \approx 1.2 \times 10^{-4}$ m²/s)はシリコン($\approx 8 \times 10^{-5}$ m²/s)より速い。スライダーをαの最大値に動かして比べてみると、温度が広がるアニメーションのスピードが全然違うのがよくわかるよ。
🧑‍🎓
「フーリエ数 Fo」って統計カードに出てますが、これ何の役に立つんですか?
🎓
Foは無次元時間で $Fo = \alpha t / L^2$。これが便利なのは、材料の大きさや種類が違っても「Fo = 1 くらいになれば定常に近い」という目安が使えるからだ。例えば厚さ10cmのコンクリート壁($\alpha \approx 7 \times 10^{-7}$ m²/s)に外気温変化が「染み込む」のに何時間かかるか、$Fo = 1$ から逆算すると $t = L^2/\alpha \approx 4$ 時間、という見積もりができる。これが過渡熱設計の基本的な感覚なんだ。
🧑‍🎓
「断熱境界(ノイマン条件)」と「温度固定(ディリクレ条件)」は使い分けが難しそうですね。実際の設計ではどっちを使うんですか?
🎓
温度固定は「冷却水に直接触れてる面」や「大きな熱源に接してる面」に使う。断熱は「対称面」や「断熱材で覆われた面」に使う。例えばCPUクーラーの設計だと、チップ接触面は温度固定、側面は断熱、というのが典型。「建物壁」プリセットは左辺が室内温度固定、右辺が外気温固定にしてあるから、壁を通じた熱の流れが見えるはずだよ。
🧑‍🎓
「断面プロファイル」タブを見ると、水平・垂直方向の温度の折れ線が見えますね。これはどう読めばいいんですか?
🎓
横軸が位置、縦軸が温度。定常状態では境界条件に応じた滑らかな曲線になるはずで、内部発熱があるとそこで温度が盛り上がる形になる。例えば「ICチップ冷却」プリセットで時間を進めると、最初は中央部だけ盛り上がっていた垂直プロファイルが、徐々に下向きの緩やかな曲線に変化していく。それが「熱が冷却板に伝わっていく」過程の可視化だよ。
🧑‍🎓
この陽解法って「不安定になる」という説明がありましたが、実際に不安定な状態にしてみると何が起きるんですか?
🎓
温度が発散して数値が爆発する。具体的には格子点の温度が急激に増減を繰り返し、最終的に無限大やNaNになる。このシミュレーターでは安定条件 $\Delta t \leq (\Delta x)^2/(4\alpha)$ を自動的に満たすよう設計してあるから大丈夫だけど、αを大きくすると $\Delta t$ が小さくなって1アニメーションフレーム当たりの時間進行が遅くなるのが感じられると思う。これが陽解法の根本的なトレードオフだよ。実務のCAEソフトでは「陰解法」を使ってこの制限を克服してる。
よくある質問
陽解法(前進差分)は現在の時刻の値から次の時刻を直接計算します。実装が簡単ですが安定条件 $\Delta t \leq (\Delta x)^2/(4\alpha)$ があり、細かいメッシュや大きなαでは非常に小さな時間刻みが必要です。陰解法(後退差分、Crank-Nicolsonなど)は連立方程式を解く必要がありますが、任意の時間刻みで安定して計算できます。商用CAEソフトの熱解析ソルバーは通常、陰解法を採用しています。
このシミュレーターは60×60 = 3,600節点で計算しています。ブラウザのJavaScriptで毎フレーム複数ステップ計算するため、視覚的な現象把握には十分です。実際のCAE熱解析では数万〜数百万節点を使い、より精細な温度勾配や局所的な熱集中を捉えます。格子依存性(メッシュ収束性)の検証は、実務では必ず行うべき検証項目です。
おおよその目安(×10⁻⁶ m²/s):銅 ≈ 117、アルミニウム ≈ 84、鉄(軟鋼)≈ 12、シリコン ≈ 88、コンクリート ≈ 0.7、木材 ≈ 0.1〜0.2、水 ≈ 0.14、空気 ≈ 20。金属は樹脂・建材より2〜3桁大きく、熱が素早く広がります。このシミュレーターのスライダーは相対的な「速さの比較」として使ってください。
電流が流れる際のジュール熱($\dot{q} = \rho_e J^2$)、化学反応熱(触媒・燃焼)、放射線や超音波の吸収熱など、様々な内部発熱現象に対応します。このシミュレーターでは発熱セルを正方形領域として配置し、$\dot{q}$を定数として与えています。実際のパワー半導体ICでは、局所的な電流集中により特定箇所に非常に高密度の発熱(ホットスポット)が発生することがあり、その過渡応答が設計の鍵となります。
このシミュレーターは固体内の熱伝導のみを解いています。実際の電子機器冷却では、固体(チップ・基板)の熱伝導と、空気や冷却水などの流体の対流を同時に解く「共役熱移動(CHT)」が必要です。CHTでは流体のナビエ-ストークス方程式と固体の熱伝導方程式を連立させるため、計算コストが格段に増大します。OpenFOAMやAnsys Fluentなどのソルバーがこれを扱います。
青線がT_max(全節点の最高温度)、オレンジ線が中心点の温度、緑線がT_min(全節点の最低温度)の時間変化を表しています。ICチップ冷却プリセットでは、最初にT_maxとT_centerが急上昇してから、冷却板に熱が流れ出すにつれ徐々に緩やかになり、最終的に定常値に落ち着く様子が観察できます。この「過渡ピーク温度」と「定常到達温度」の差が熱設計の重要な指標です。