A = Q / (U·F·LMTD) [m²]
NTU = U·A/Cmin, ε = Q/Qmax
流量・温度・総括伝熱係数Uを変えながら熱交換量・LMTD・F補正・伝熱面積・NTU・有効度をリアルタイム計算。温度プロファイルをグラフ表示します。
化学プラント・石油精製:プロセス流体の加熱・冷却に不可欠です。例えば、蒸留塔から出てくる高温の留分で、塔へ送入する原料を予熱する「フィード・エフェレント交換器」として多用されます。省エネルギー化の鍵となる設備です。
発電所(火力・原子力):蒸気タービンで仕事をした後の低温低圧の蒸気を復水器で冷却水(海水や河川水)で凝縮し、再びボイラーに戻す循環システムの中核です。巨大なシェルアンドチューブ熱交換器が使われます。
空調・冷凍システム:ビルの空調システムでは、冷水と冷却水の熱交換に使われます。また、アンモニアやフロンなどの冷媒を凝縮する「凝縮器」や、蒸発する「蒸発器」としても基本的な構造が応用されています。
船舶・車両エンジン:大型船舶のディーゼルエンジンでは、潤滑油を冷却する「オールクーラー」や、過給機で圧縮されて高温になった吸入空気を冷却する「インタークーラー」としてコンパクトなシェルアンドチューブ熱交換器が採用されています。
このシミュレーターを使い始める際、特に初心者が陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず第一に、「総括伝熱係数Uは定数」と思い込んでしまうこと。実はU値は流速や温度、流体の汚れ(スケーリング)によって大きく変動します。例えば、冷却水側の流速を2倍にすると、U値はおよそ2の0.8乗倍(約1.74倍)に増えることが多く、必要な伝熱面積Aが一気に小さくなります。ツールでUを固定して設計しても、実際の運転条件でUが想定より低ければ、性能不足に陥るので要注意です。
次に、「温度差が大きければ何でも良い」という誤解。確かにLMTDが大きいほど小さな面積で済みますが、高温側と低温側の入口温度差(例えばThiとTci)を極端に大きくしすぎると、今度は材料の熱応力やコストの問題が発生します。また、低温側出口温度Tcoを高温側入口温度Thiに極限まで近づけようとすると(「温度接近」)、LMTDが劇的に小さくなり、必要面積が無限大に近づくという現象が起こります。これはツールでTcoを95℃などに設定してみると、面積Aが急激に増大するので体感できるでしょう。
最後に、「補正係数Fは後で考えればいい」という軽視。Fはシェル側・チューブ側のパス数や温度効率P、熱容量比Rから決まりますが、ここで安易な値を選ぶと大変なことになります。例えば、1シェルパス-2チューブパスでPが0.7を超えるような条件では、Fが0.8を切ってしまうことがあります。これは「理想の70%しか温度差が活用できていない」ことを意味し、設計面積が30%以上も過大になる可能性があります。まずはツールでパス数を変えながらFがどう動くか、感覚を掴んでください。
冷却水を用いた蒸気凝縮器の場合:ホット側(蒸気)Thi=100°C、Tho=60°C、Mh=2000kg/h、Cp=2.1kJ/kg·K、コールド側(冷却水)Tci=25°C、Mc=8000kg/h、Cp=4.18kJ/kg·K、U=2000W/m²K、F=0.90と設定すると、伝熱量Q≈116.7kW、LMTD≈54.8K、必要面積A≈1.20m²、NTU≈0.65、有効度ε≈0.72、Tco≈41.3°Cが算出されます