すべり $s = (n_s - n)/n_s$,$\omega_s = 2\pi f / (P/2)$
三相誘導電動機の等価回路・トルク-速度特性・効率をリアルタイム計算。すべり・同期速度・起動トルク・最大トルクを可視化。Y-Δ始動・インバータ制御も対応。
産業用ポンプ・送風機:ファンやポンプの負荷は、トルクが回転数の2乗に比例します(二次方負荷)。このため、起動時の負荷トルクが小さく、定格付近で効率を最大化することが重要です。シミュレーターの「ポンプ・ファン」プリセットは、この用途に最適化された低い$R_2'$の設計を示しており、高効率領域が広い特性を持ちます。
クレーン・エレベーター(巻上機):重いものを静止状態から持ち上げるためには、大きな起動トルクが必須です。このため、回転子の導体バーに高抵抗材料を使用したり、二重かご形構造にして起動時の$R_2'$を意図的に大きく設計します。シミュレーターで$R_2'$を大きくすると、起動トルクが向上する反面、高回転時の効率が低下するトレードオフを確認できます。
インバータ制御モーター:現代の省エネ運転の主役です。シミュレーターの「V/f一定制御」モードは、電圧と周波数を比例させて磁束を一定に保つ基本的なインバータ制御を再現します。これにより、低速域でもトルクを維持し、広い速度範囲で効率的な運転が可能になります。ポンプの流量をバルブではなく速度で制御するなど、大幅な省エネ効果があります。
始動方式の選定(Y-Δ始動):中小容量のモーターで多用される経済的な始動法です。シミュレーターでスイッチを切り替えると、Δ結線時の大きな突入電流がY結線では約1/3に抑制されることが一目瞭然です。ただし、起動トルクも1/3になるため、コンベアや粉砕機など起動トルクが大きい負荷には不向きで、適用可否の判断材料となります。
このシミュレーターを使い始めるとき、いくつか「あれ?」と思いがちなポイントがあるよ。まず、「定格出力」と「最大トルク」は別物ということ。例えば、定格出力1.5kWのモーターでも、最大トルクはその2〜3倍出るのが普通だ。シミュレーターでトルク曲線の山の高さ(T_max)を見て、「定格運転点(通常は高速側の安定領域)でこのトルクが出るわけじゃない」と理解しておこう。次に、「二次抵抗R₂'」は物理的なワイヤの抵抗だけじゃないということ。特にかご形モーターでは、導体バーの形状や材料で決まる「見かけの抵抗」だ。深溝かご形だと、周波数が高い(すべりが大きい)起動時には電流が導体の表面しか流れなくなる(表皮効果)。これが起動時に実質的なR₂'を大きくし、通常時は小さくする巧妙な仕組みなんだ。シミュレーターでは単一の値で表現されるから、その裏にある物理的な工夫は頭の隅に置いておいてね。
あと、パラメータ入力で陥りがちなのが、リアクタンスX1, X2'の値のオーダー。抵抗が1Ω前後なのに対し、漏れリアクタンスは数Ω〜十数Ωと大きいことが多い。例えば50Hz、10mHのコイルのリアクタンスは約3.14Ωだ。これを抵抗と同程度の小さな値にしてしまうと、実際にはあり得ないほどシャープなトルク特性になったりするから注意。最後に、「インバータ制御」のシミュレーションはV/f一定制御が基本という点。実務ではさらにベクトル制御など高度な方式があるけど、このツールで「周波数」を変えると電圧も比例して変わるのは、最も基本的なV/f一定制御を再現しているんだ。これでモーターの磁束を一定に保ち、広い速度範囲で効率的にトルクを出せる原理を理解しよう。
4極・60Hz、11kW三相誘導電動機の場合、同期速度は1800rpmです。R1=1.2Ω、X1=2.4Ω、Xm=65Ω、R2=0.8Ωを入力し、定格滑り率3%でシミュレートすると、一次電流は18.5A、効率92.1%、力率0.87を得られます。起動時(s=100%)のトルクは定格の1.8倍、最大トルクは約2.1倍となります