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振動・波動

騒音伝搬・距離減衰計算機

点音源・線音源の距離減衰に大気吸収・遮音壁挿入損失を加えたISO 9613-2準拠の騒音伝搬をリアルタイム計算・可視化。

パラメータ設定
音源タイプ
基準距離1mのSPL
dB
評価距離 r
m
評価周波数
中心周波数: 500 Hz
大気条件
温度 T
°C
相対湿度 RH
%
地面効果
遮音壁
壁高さ H
m
音源から壁距離 d_s
m
SPL vs 距離
計算結果
SPL at r (dB)
幾何減衰 (dB)
大気吸収 (dB)
遮音壁IL (dB)
地面効果 (dB)
減衰
理論・主要公式

点音源(自由音場): $L_p(r) = L_W - 20\log_{10}(r) - 11$

線音源: $L_p(r) = L_W - 10\log_{10}(r) - 8$

大気吸収(ISO 9613-1): $A_{atm}= \alpha \cdot r / 1000$ [dB],$\alpha$ は温度・湿度・周波数の関数

Maekawa遮音壁: $IL = 10\log_{10}(3 + 20N),\quad N = 2\delta/\lambda$

騒音伝搬・距離減衰計算機とは

🙋
工場の騒音予測で「点音源」と「線音源」って聞くけど、このシミュレーターでどう使い分けるんですか?
🎓
大まかに言うと、音の広がり方が違うんだ。点音源は工場の屋上の換気扇みたいに音が四方八方に球状に広がる。線音源は高速道路の車の列みたいに、線に沿って音が円筒状に広がるイメージだ。上の「音源タイプ」を切り替えて、グラフの減衰カーブの傾きがどう変わるか確認してみよう。点音源は距離が2倍で約6dB減衰するけど、線音源は約3dBしか減衰しないのがわかるよ。
🙋
え、そうなんですか?でも、実際の道路騒音って完全な線音源なんですか?「大気吸収」とか「地面効果」のチェックボックスもあって、なんだか難しそう…。
🎓
鋭いね。実務では、交通量が少なければ点音源的になることもあるよ。で、大気吸収や地面効果は、長距離や特定の条件で無視できないんだ。例えば、夏の暑くて湿った日は高周波の音が空気に吸収されやすくなる。試しに「評価周波数」を4000Hzにして、「温度」と「相対湿度」のスライダーを動かしてみて。大気吸収の減衰量がどう変わるか、グラフで確認できるから。
🙋
「遮音壁」の効果も計算できるんですね!壁の高さや位置を変えると、どのくらい音が下がるものなんですか?
🎓
そう、これが現場でよく使うMaekawa(前川)式による挿入損失の計算だ。壁が高くて音源に近いほど、回折経路が長くなって遮音効果は高まる。でも、壁の高さを2倍にしても効果は2倍にはならないんだ。シミュレーターで「壁高さ H」や「音源から壁距離 d_s」を動かして、グラフの減衰曲線がどうジャンプするか確かめてみて。住宅地の騒音対策の効果を概略として見積もるのに役立つよ。

よくある質問

点音源は工場の排気口や一台の機械など、音が一点から放射される場合に使用します。線音源は道路を走る車列や工場の配管など、連続した線状の音源に適用します。点音源は距離が2倍になると約6dB減衰しますが、線音源は約3dBの減衰となります。
大気吸収は高周波数ほど減衰が大きく、特に500Hz以上の音や伝搬距離が数百メートルを超える場合に無視できなくなります。温度・湿度の入力値が実測と異なると誤差が生じるため、計算時は可能な限り現地の気象データを設定してください。
ISO 9613-2に基づき、音源と受音点を結ぶ直線に対する遮音壁の回折経路差から減衰量を算出します。壁の高さや位置を変更するとリアルタイムで結果が更新されるため、最適な遮音壁設計の検討に活用できます。
距離に対する音圧レベルの減衰曲線を可視化できるため、敷地境界での騒音予測や対策効果の比較に役立ちます。また、複数の条件を重ねて表示することで、遮音壁の有無や音源タイプの違いを直感的に評価できます。

実世界での応用

環境アセスメント(工場・発電所):新規立地や設備変更時に、敷地境界や近隣住宅での騒音レベルが規制値を超えないかを予測・評価します。点音源モデルで個々の機械の音を評価し、大気吸収や地面効果を考慮することで、季節や時間帯による影響も考慮した詳細な評価が可能です。

道路交通騒音予測:道路計画や拡幅に伴い、沿道の騒音レベルを予測します。交通流を線音源としてモデル化し、遮音壁(防音壁)の設置効果をMaekawa式で計算。壁の高さや設置位置をシミュレーションで最適化する際に活用されます。

鉄道騒音評価:線路に沿った騒音分布を予測するため、線音源モデルが基本となります。さらに、架線や車両機器からの点音源成分を加え、橋梁や盛土などによる地面効果の変化も考慮した総合評価が行われます。

建設現場の騒音管理:仮設の騒音源(破砕機、発電機)を点音源とみなし、周辺の敏感な施設(学校、病院)への影響を評価します。作業計画を立てる際に、騒音の大きい作業の時間帯や機械の配置を決める参考データとして利用されます。

よくある誤解と注意点

この手のシミュレーションを使い始めるときに、いくつかつまずきやすいポイントがあるよ。まず「音源の選び方」。工場の騒音予測で、機械を全部まとめて一つの「点音源」として入力していない?例えば、広い敷地に複数のポンプやファンが散らばっている場合、それらを一箇所に集めた単一点音源でモデル化すると、近距離の予測が大きく狂うことがある。正しくは、主要な音源は個別の点音源として配置し、その合成音を評価するんだ。ツールでは一度に一つの音源タイプしか計算できないから、複数音源を扱う場合は結果を音響エネルギーで足し合わせる必要があることを覚えておこう。

次に「パラメータのデフォルト値依存」。特に「地面効果」のパラメータは要注意だ。ツールでは「軟らかい地面」や「混合地面」といった大まかな分類だけど、実際の現場では、アスファルトの敷地の隣が草地、その先が畑…みたいに複雑だよね。一律で「軟らかい地面」を選ぶと、特に中距離(50〜200m)での減衰を過大評価しがち。実測データがあれば、それに合わせてパラメータを微調整する姿勢が大事だ。

最後は「シミュレーション結果の絶対視」。ISO 9613-2は確かに標準的な方法論だけど、あくまで「予測モデル」だ。例えば、遮音壁の計算で使われるMaekawa式は、無限長の壁を前提としている。実際の壁には端があって、そこから音が回り込む「端部効果」は考慮されていない。計算上は20dB低減されても、現場では端の部分では10dBしか下がってない、なんてことはよくある。シミュレーションは「傾向を理解し、対策の効果を相対比較する」ためのツールと割り切ろう。