オリフィス流量計 設計計算 戻る
流体計測

オリフィス流量計 設計計算ツール

ISO 5167準拠。配管径・ベータ比・差圧・流体種別を入力するだけで、流量係数Cd・体積/質量流量・レイノルズ数をリアルタイム算出。Q–ΔP曲線とCd収束グラフも可視化します。

入力パラメータ
配管内径 D
mm
ベータ比 β = d/D
差圧 ΔP
Pa
温度 T
°C
流体
計算結果
流量係数 Cd
体積流量 Q (m³/h)
質量流量 ṁ (kg/h)
レイノルズ数 ReD
速度接近係数 E
オリフィス径 d (mm)
Q – ΔP 曲線
Cd – ReD 収束
理論・主要公式

$q_m = C_d \cdot \varepsilon \cdot \dfrac{\pi}{4}d^2 \sqrt{\dfrac{2\Delta p\,\rho}{1-\beta^4}}$

Reader-Harris/Gallagher式(Cd)
$C_d = 0.5961 + 0.0261\beta^2 - 0.216\beta^8 + \dfrac{0.000521(10^6\beta/Re_D)^{0.7}}{...}$

※ 液体ではε=1、気体では圧力比と比熱比から算出。

オリフィス流量計とは

🙋
オリフィス流量計って、パイプに穴の開いた板を入れるだけの単純な装置ですよね?それでどうやって正確に流量が測れるんですか?
🎓
大まかに言うと、流れを狭めることで生じる「差圧」を測っているんだ。水道ホースの先を指でつまむと勢いが増すよね?あの原理だ。このシミュレーターで、上の「ベータ比β」のスライダーを0.3から0.7に動かしてみて。穴径に対する配管径の比だ。穴を小さくする(βを小さくする)と、同じ流量でも発生する差圧が一気に大きくなるのがグラフでわかるよ。
🙋
え、そうなんですか!確かに差圧が跳ね上がりますね。でも、単に差圧を測るだけなら、なんで「流量係数Cd」なんて複雑な係数が必要なんですか?
🎓
良いところに気づいたね。理想的な流れと実際の流れは違うんだ。流体の粘性によるエネルギー損失や、穴のすぐ下流で流れの断面が最も狭くなる「ベナ・コントラクタ」現象がある。Cdはそれらを全てひっくるめた補正係数なんだ。このツールで「流体種別」を水から空気に変えてみて。レイノルズ数が変わり、Cdの値も少し変化するのがわかるだろう?
🙋
なるほど、実際の設計ではCdをどう決めればいいんですか?現場で多いのはどんなパラメータ設定ですか?
🎓
実務では、国際規格ISO 5167に定められた「Reader-Harris/Gallagher式」という経験式を使うのが標準だ。このツールの計算もそれに基づいている。現場で最もバランスが良いのは、β=0.4〜0.6の範囲だね。差圧も適度で、精度も出しやすい。例えば、スチーム配管の計測ならβ=0.5、差圧50kPaあたりから設計を始めることが多いよ。右側の「Cd収束グラフ」は、この式がレイノルズ数にどう依存するかを示しているんだ。

よくある質問

ISO 5167に基づき、Reader-Harris/Gallagherの実験式を用いて反復計算で求めています。入力されたベータ比とレイノルズ数から自動的に収束計算され、グラフ上で収束過程も確認できます。
はい。気体の場合は膨張係数εが自動計算され、質量流量式に組み込まれます。流体種別で「気体」を選択し、密度と比熱比を正しく入力すれば高精度な計算が可能です。
差圧を変化させたときの流量変化を視覚的に把握できます。設計点での動作確認や、レンジアビリティ(測定可能範囲)の評価に役立ちます。曲線上の任意点をクリックすると詳細値が表示されます。
ISO 5167の適用範囲内(ベータ比0.1~0.75、レイノルズ数5,000以上など)でご使用ください。範囲外の値では流量係数の精度が保証されません。入力値が範囲外の場合、ツールが警告を表示します。

実世界での応用

石油・化学プラント:プロセスライン内の原料や製品(油、ガス、化学薬品)の流量管理に広く採用されています。高温高圧でも対応可能なシンプルな構造が強みで、メンテナンス性も考慮された設計がなされます。

発電所(ボイラー給水・スチーム計測):発電プラントでは、ボイラーへの給水流量やタービンへ送る蒸気(スチーム)の流量を正確に計測する必要があります。オリフィス流量計はその信頼性から、重要な計測点で長年使用されています。

ガス供給ネットワーク:都市ガスや天然ガスのパイプラインにおいて、各拠点でのガス流量を監視・課金するために使われます。気体の場合は膨張係数εの計算が重要になり、温度・圧力補正と組み合わせて精度を確保します。

水処理施設:取水、浄水、排水の各工程で、水量を監視・制御するための経済的なソリューションとして利用されます。大きな配管径に対しても比較的安価に製作・設置できる点が評価されています。

よくある誤解と注意点

まず、「差圧が大きければ大きいほど測定精度が上がる」という誤解があります。確かにβを小さくすると大きな差圧が得られ、信号としては扱いやすくなります。しかし、差圧が大きすぎると、オリフィス板の上流側と下流側の圧力比が小さくなり、流体の圧縮性の影響(キャビテーションや超臨界流れ)が無視できなくなります。例えば、液体で下流圧力が飽和蒸気圧を下回るとキャビテーションが発生し、流量計を損傷するだけでなく、測定式そのものが成り立たなくなります。実務では、ΔPは上流絶対圧力の20〜25%を超えない範囲で設定するのが一つの目安です。

次に、入口流速分布を軽視した設計です。ISO 5167は、十分に発達した乱流流速分布(つまり、配管がまっすぐで流れが落ち着いている状態)を前提としています。しかし、ポンプの直後やエルボ、弁のすぐ下流にオリフィス板を設置すると、流速分布が歪み、計算通りのCdが得られず、系統誤差が生じます。例えば、単段弁の直後では、最低でも配管径の30倍以上の直管長を確保する必要があります。このツールで「理想的な条件」での計算をした後は、必ず配管レイアウトと直管長の要件を確認する癖をつけましょう。

最後に、「一度設計すれば永遠に正確」という思い込みです。オリフィス板のエッジは、特にスラリーや湿り蒸気のような流体にさらされると、磨耗やエロージョンで丸みを帯びてきます。ほんのわずかなエッジの変化が、特に低レイノルズ数域でのCdに大きな影響を与えます。定期的なメンテナンス計画を立て、β比の実測値が初期設計から変化していないかをチェックすることが、長期にわたる計測信頼性を保つ鍵です。

使い方ガイド

  1. 配管内径D(mm)をスライダまたは入力欄で設定。一般的な産業用配管は25~100mmの範囲
  2. ベータ比β(オリフィス径/配管径)を0.4~0.7の範囲で入力。ISO 5167では0.2~0.75が規格範囲
  3. 差圧ΔP(kPa)を測定値から設定。通常は5~250kPaで流量計が機能
  4. 流体温度を入力して密度・粘度を自動補正。水の場合20℃基準で密度998kg/m³
  5. 「計算実行」ボタンで流量係数Cd・質量流量Q・レイノルズ数Reを即座に算出
  6. Q-ΔP曲線チャートで流量と差圧の非線形関係を確認

具体的な計算例

配管内径D=50mm、ベータ比β=0.6(オリフィス径30mm)、差圧ΔP=100kPa、水温20℃の場合:流体密度ρ=998kg/m³、流量係数Cd=0.62(ISO 5167付録D)、配管断面積A1=0.001963m²、オリフィス面積A2=0.000707m²から理論流量qth=√(2ΔP/ρ)・A2=4.73m³/hが得られ、実流量Q=Cd・qth=2.93m³/h(質量流量809kg/h)。このときレイノルズ数Re=ρVD/μ≈410,000で乱流領域を確認。ベータ比を0.7に変更するとβ²項の影響で圧力回復率が変わり、Q=3.28m³/hへ上昇

実務での注意点