弾塑性応力ひずみ関係 戻る
構造解析 / 材料モデル

弾塑性応力ひずみ関係シミュレーター

双線形・Ramberg-Osgood・べき乗則の3モデルを比較しながら、金属材料の弾塑性挙動をリアルタイムで可視化。除荷サイクルと塑性ひずみの蓄積も確認できる。

材料・モデル設定
材料プリセット
構成モデル
材料パラメータ
ヤング率 E (GPa)
GPa
降伏応力 σy (MPa)
MPa
極限強さ σu (MPa)
MPa
加工硬化係数 H (GPa)
GPa
R-O指数 / 硬化指数 n
表示オプション
計算結果
0.238
降伏ひずみ εy (%)
σu時の塑性ひずみ (%)
2.0
接線剛性 Et (GPa)
応力–ひずみ曲線
結晶すべり面アニメーション

転位運動によるすべり変形のイメージ(降伏後に活性化)

理論・主要公式

双線形モデル:
$\sigma = E\varepsilon \quad (\varepsilon \le \varepsilon_y)$
$\sigma = \sigma_y + H(\varepsilon - \varepsilon_y) \quad (\varepsilon > \varepsilon_y)$

弾塑性応力ひずみ関係とは

🙋
「弾塑性応力ひずみ関係」って何ですか?金属が伸びる時の、あのグラフのことですか?
🎓
その通り!材料に力を加えて変形させた時、「応力(力の強さ)」と「ひずみ(変形の度合い)」の関係を表すグラフだね。ざっくり言うと、最初はバネのように元に戻る「弾性域」、力を抜いても元に戻らなくなる「塑性域」の2段階があるんだ。このシミュレーターでは、上の「材料プリセット」をS45CやAl6061に切り替えると、実物に近い曲線がすぐに見られるよ。
🙋
え、降伏点を超えると、なぜ傾きが変わるんですか?「加工硬化係数H」って何?
🎓
いいところに気が付いたね。降伏点を超えると、金属の内部構造が変化して変形しにくくなる現象が起きるんだ。これが「加工硬化」で、その度合いを表すのが「加工硬化係数H」だよ。例えば自動車のボディパネルをプレス加工する時、この値が小さいと簡単に変形するけど、大きいと型にしっかりと形が決まる。右の「構成モデル」で「双線形」を選び、Hのスライダーを動かすと、塑性域の傾きがどう変わるか一目瞭然だ。
🙋
「Ramberg-Osgoodモデル」と「双線形モデル」、現場ではどっちを使うんですか?
🎓
実務では計算が簡単な「双線形」が多いね。でも、アルミ合金や降伏がなだらかな材料は「Ramberg-Osgood」の方が実測にフィットするんだ。「R-O指数n」を大きくすると降伏が急峻になるから、試してみて。CAEソフトのAbaqusでは、このツールで計算したデータ点をそのままコピペして入力できるから、材料モデリングが超ラクになるよ。

よくある質問

シミュレーター上で負荷後に除荷(応力をゼロに戻す)操作を行うと、応力-ひずみ曲線上で弾性回復後のひずみが残留ひずみとして表示されます。グラフ上のプロット点や数値出力で確認可能です。
双線形モデルは降伏後の傾きが一定で単純、Ramberg-Osgoodは滑らかな遷移、べき乗則は非線形硬化を表現します。同じ材料パラメータ(ヤング率、降伏応力)で各モデルを切り替え、応力-ひずみ曲線の形状差をリアルタイムで比較してください。
負荷→除荷→再負荷のサイクルを繰り返すことで、各サイクル後の残留ひずみが累積していく様子を可視化できます。特に双線形モデルでは、除荷時の弾性回復と塑性ひずみの増加が明確に観察できます。
本ツールは材料モデルの挙動理解とパラメータ感度の確認を目的としています。実際のCAE解析では要素タイプや境界条件、収束設定などが必要なため、ここで得たパラメータを参考値として入力し、別途検証してください。

実世界での応用

自動車・航空機の衝突安全性解析: 車体フレームやボディの衝突時の変形挙動を予測するために必須です。双線形モデルで効率的に大量のシミュレーションを行い、エネルギー吸収性能を評価します。

金属プレス加工の工程設計: 部品を型で成形する際、材料がどのように流れ、どこで割れるかをCAEで事前に検証します。正確な加工硬化係数(Hやn)の設定が、シミュレーション精度を左右します。

建築・橋梁の耐震設計: 大地震時に鋼材部材が降伏して塑性変形することでエネルギーを吸収する「耐震設計」において、その挙動をシミュレートする基盤がこの応力-ひずみ関係です。

製品の耐久性(疲労)評価: 繰り返し荷重がかかる部分(エンジン部品など)の寿命を予測する際、荷重除去時の挙動(このツールの「除荷」機能で可視化)や塑性変形の蓄積が重要なパラメータとなります。

よくある誤解と注意点

まず、「降伏応力は材料の強さの全てではない」という点です。例えばSS400の降伏応力は約245MPaですが、同じ降伏応力でも加工硬化係数Hが異なると、大きな変形を伴う事故(例えば衝突)での挙動は全く変わります。Hが小さい材料は降伏後すぐに変形が進み、Hが大きい材料は変形に抵抗し続けるため、エネルギー吸収量が大きく異なるんです。パラメータ設定では、降伏応力だけで満足せず、必ず塑性域の挙動までセットで考える癖をつけましょう。

次に、モデルの選択は「計算コスト」と「精度」のトレードオフです。全部品にRamberg-Osgoodモデルを使えば精度は上がるかもしれませんが、特に自動車の衝突解析のように数万〜数十万要素を使う計算では、計算時間が膨大になります。実務では、重要な変形を受ける部位にはR-Oモデルを、それ以外の大部分には双線形モデルを適用するなど、「使い分け」が必須です。ツールで両モデルを比較し、自らの解析対象にとって「どこまで精密にする必要があるか」を判断する材料にしてください。

最後に、「除荷」は完全に弾性的とは限らないという落とし穴。このシミュレーターでは弾性的な除荷を可視化できますが、実際の金属加工(深絞りなど)では、塑性変形中に除荷と再負荷を繰り返すことで、わずかに異なる応力経路をたどることがあります。これを「バウシンガー効果」と呼び、超精密な成形シミュレーションでは考慮が必要です。まずは基本の「完全弾性除荷」を理解した上で、そうした高度な現象があることも頭の片隅に入れておきましょう。