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電源エレクトロニクス

スイッチング電源設計ツール

Buck / Boost / Buck-Boost コンバータの L・C・デューティ比を自動計算。インダクタ電流波形と効率カーブをリアルタイム可視化します。

コンバータ設定
コンバータ型
入力電圧 Vin
V
出力電圧 Vout
V
出力電流 Iout
A
スイッチング周波数 fs
kHz
リップル率 ΔIL/IL
%
設計結果
補足情報
設計式(Buck)
D = Vout/Vin
L = (Vin−Vout)·D / (fs·ΔIL)
C = ΔIL / (8·fs·ΔVout)
計算結果
デューティ比 D
インダクタンス L
µH
出力コンデンサ C
µF
推定効率 η
%
波形・特性グラフ
波形

インダクタ電流の三角波リップル(ON/OFFサイクル1周期分)

模式図

回路トポロジー模式図

理論・主要公式

$$L = \frac{V_{in} - V_{out}}{f_s \cdot \Delta I_L}$$

Buck コンバータのインダクタ設計:\(f_s\) スイッチング周波数 [Hz]、\(\Delta I_L\) リプル電流

$$D = \frac{V_{out}}{V_{in}} \text{ (Buck)}, \quad D = 1 - \frac{V_{in}}{V_{out}} \text{ (Boost)}$$

デューティ比 \(D\):連続導通モード(CCM)での基本変換比

$$C = \frac{\Delta I_L}{8 f_s \Delta V_{out}}$$

出力コンデンサ容量:\(\Delta V_{out}\) 許容出力リプル電圧 [V]

スイッチング電源設計とは

🙋
スイッチング電源って、普通のACアダプタと何が違うんですか?
🎓
大まかに言うと、効率が大きく異なるんだ。古いACアダプタはトランスで電圧を下げて熱をバンバン出すけど、スイッチング方式は半導体スイッチのON/OFFで電圧を変換するから、小さくて軽くて発熱が少ない。例えば、このツールでBuckコンバータを選んで、上のVinを12V、Voutを5Vに設定してみ。デューティ比Dが自動で計算されるだろ?これがスイッチのON時間の割合を決めるパラメータなんだ。
🙋
デューティ比が変わると、何が変わるんですか?
🎓
出力電圧が変わるし、インダクタに流れる電流の形も変わるよ。ツールの「インダクタ電流波形」を見てみ。Dが大きい(ON時間が長い)ほど、電流の平均値が高くなる。でも、リップル率(ΔIL/IL)のスライダーを動かすと、電流の波の上下の幅が変わるのがわかるかな?実務では、このリップルを20〜40%以内に収めるようにインダクタを選ぶことが多いんだ。
🙋
スイッチング周波数fsを変えると、計算されるLやCの値が大きく変わりますね。これはどうやって決めればいいんですか?
🎓
良いところに気が付いたね。右の「効率カーブ」を確認してみて。周波数を上げると、必要なコイル(L)やコンデンサ(C)は小さくて済むから部品を小型化できる。でも、その分スイッチのON/OFF回数が増えるから損失が増えて、効率が下がってしまう。現場でのトレードオフだ。ノートPCのアダプタなどは小型化と効率のバランスを取って、500kHz前後で設計されることが多いよ。ツールでfsをいじりながら、Lの値と効率カーブがどう連動するか確かめてみるといい。

物理モデルと主要な数式

コンバータの基本となるのは、インダクタの電圧-電流関係です。スイッチON時とOFF時でインダクタにかかる電圧が変わり、電流が連続的に変化します。この関係から、デューティ比Dと入出力電圧の関係が導かれます。

$$ \text{Buck: }D = \frac{V_{out}}{V_{in}}, \quad \text{Boost: }D = 1 - \frac{V_{in}}{V_{out}}, \quad \text{Buck-Boost: }D = \frac{V_{out}}{V_{in}+ V_{out}}$$

$D$: デューティ比, $V_{in}$: 入力電圧, $V_{out}$: 出力電圧。この式は、ツールでコンバータ型を切り替えると自動的に適用されます。

電流リップルを所定の値に抑えるために必要な最小インダクタンスは、以下の式で計算されます。これは部品選定の最も重要な基準です。

$$ L_{min}= \frac{(V_{in}- V_{out}) \times D}{f_s \times \Delta I_L}\quad \text{(Buckコンバータの場合)}$$

$L_{min}$: 必要最小インダクタンス, $f_s$: スイッチング周波数, $\Delta I_L$: 許容リップル電流(平均電流 $I_L$ × リップル率)。周波数が高いほど、必要なインダクタンスは小さくなります。

よくある質問

ツールはコンバータ型(Buck/Boost/Buck-Boost)に応じて、入力された電圧値からデューティ比を自動計算します。変更が反映されない場合、まずコンバータ型が正しく選択されているかご確認ください。また、数値入力後にEnterキーを押すか、別のフィールドをクリックして確定してください。
連続モード(CCM)と不連続モード(DCM)の境界は、インダクタ電流リップルと負荷電流の関係で決まります。ツールでは、負荷電流がリップルの半分以下になると自動的にDCM波形に切り替わります。設計時は、希望する動作モードに応じてインダクタンス値やスイッチング周波数を調整してください。
本ツールの効率カーブは、主にインダクタの銅損(直流抵抗による損失)とコア損失、スイッチ素子の導通損失・スイッチング損失を簡易モデルで考慮しています。実際の基板設計では、配線抵抗やコンデンサのESRなども影響するため、あくまで目安としてご利用ください。
ツールが算出するLとCは理想的な設計値です。実際の部品選定では、計算値に近い標準品を選び、耐圧やリップル電流定格、温度特性を確認してください。また、出力コンデンサはESRによるリップル電圧も考慮し、必要に応じて複数並列や低ESR品を推奨します。

実世界での応用

モバイル機器・ノートPC:小型軽量かつ高効率が要求されるため、Buckコンバータが多用されます。CPUコア電源などは、負荷変動に応じてデューティ比を高速に変更する(PWM制御)ことで電圧を安定させています。

自動車の電子機器:車載バッテリー(12V/24V/48V)からマイコンやディスプレイに必要な5Vや3.3Vを生成するのにBuckコンバータが使われます。車載環境では振動や温度変化に強い部品選定が重要です。

太陽光発電システム:パネルで発電した不安定な電圧を安定化し、バッテリーに充電するためにはBoostコンバータが用いられます。最大電力点追従(MPPT)制御と連動してデューティ比を調整します。

LED照明ドライバ:広い入力電圧範囲(AC100V〜240V)から定電流でLEDを駆動するため、絶縁型のFlybackコンバータ(Buck-Boostの派生)が一般的です。効率とコストのバランスが設計の鍵となります。

よくある誤解と注意点

まず、「計算された最小インダクタンスLminをそのまま採用すればOK」という考えは危険です。ツールで出てくる値は、電流が連続モードで動作するための理論上の最小値。実務では、負荷変動時の過渡応答や、インダクタ自体の直流重畳特性(飽和)を考慮して、計算値の1.2〜1.5倍程度の余裕を持たせて選定するのが鉄則です。例えば、計算で10µHなら、12〜15µHの標準品を探すことになります。

次に、出力コンデンサCoutの役割を軽視しないでください。ツールはリップル電圧抑制に必要な静電容量を計算しますが、等価直列抵抗(ESR)がリップル電圧の実質的な支配因子になるケースが多いのです。例えば、100kHz動作で10µFのセラミックコンデンサ(ESR小)と電解コンデンサ(ESR大)では、出力波形の綺麗さが全く異なります。高周波では低ESRのセラミックコンデンサが必須です。

最後に、デューティ比Dは自由に設定できるパラメータではないことを理解しましょう。ツールでは入力と出力電圧から一意に決まります。もし、所望の出力電圧を得るために計算上のDが90%を超えるようなら、それは現実的ではない設計のサイン。スイッチOFF時間が極端に短く、制御が不安定になったり、ダイオードの逆回復損失が無視できなくなります。その場合は、入力電圧範囲を見直す必要があります。

使い方ガイド

  1. 入力電圧(Vin)と出力電圧(Vout)を設定します。例えばBuck回路で24V入力から12V出力の場合、デューティ比は50%となります。
  2. 出力電流(Iout)とスイッチング周波数(Fs)を入力します。産業用途では48V入力12V/10Aの場合、Fs=200kHzが標準的です。
  3. 計算ボタンを押すとインダクタンス値とコンデンサ容量がリアルタイムで算出され、インダクタ電流波形と効率特性がグラフに表示されます。

具体的な計算例

Boost回路で12V/5A入力から24V出力へ昇圧する場合を想定します。スイッチング周波数を100kHzで設定すると、デューティ比は50%となります。このとき必要なインダクタンスはリップル電流を±20%に抑えるため約15μH、出力コンデンサは電圧リップルを2%以内に収めるため220μF/50V相当が必要です。効率曲線は軽負荷で85%、定格負荷で92%を示します。

実務での注意点