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電力システム解析

電力系統・潮流計算シミュレーター

3バス電力系統の発電機出力・負荷・送電線パラメータを自由に変えて、母線電圧・位相角・電力潮流・損失をリアルタイム計算。電力工学の基礎をインタラクティブに学習。

パラメータ設定
発電機設定
G2 有効電力 PG2
pu
G2 電圧設定 VG2
pu
負荷設定
バス2 負荷 PL2
pu
バス2 無効電力 QL2
pu
バス3 負荷 PL3
pu
バス3 無効電力 QL3
pu
送電線インピーダンス
線路1-2 リアクタンス X12
pu
線路1-3 リアクタンス X13
pu
線路2-3 リアクタンス X23
pu
計算結果
送電損失 [pu]
最低電圧 [pu]
スラック発電 [pu]
-
QL2 load [pu]
システム
フェーザ
電圧プロファイル
バス電圧 [pu]位相角 [°]P注入 [pu]Q注入 [pu]状態
理論・主要公式

有効電力:$P_{ij}= \dfrac{V_i V_j \sin(\delta_i - \delta_j)}{X_{ij}}$


無効電力:$Q_{ij}= \dfrac{V_i^2 - V_i V_j \cos(\delta_i - \delta_j)}{X_{ij}}$

電力系統・潮流計算シミュレーターとは

🙋
「潮流計算」って何ですか?電力の流れを計算するのは分かるけど、具体的に何が求まるんですか?
🎓
大まかに言うと、発電所で作った電気が、どのくらいの電圧で、どちらの方向に、どれだけ流れているかを計算するんだ。例えば、上のシミュレーターで「バス3 負荷 P」を増やすと、バス3の電圧が下がったり、バス1からバス3への電力の流れが増えたりするのがリアルタイムで見えるよ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ、送電線の「リアクタンス X」を変えると、何が変わるんですか?
🎓
実務では、送電線が長くなるとこのリアクタンスが大きくなるんだ。シミュレーターで「線路1-3 リアクタンス X」のスライダーを大きくしてみて。そうすると、バス1からバス3への電力の流れが制限されて、別の経路(例えばバス1→2→3)に回り込む様子が観察できるよ。これが「潮流ルート」の変化だ。
🙋
なるほど!でも、バス1の電圧はなぜ1.0で固定なんですか?他のバスみたいに変えられないのはなぜ?
🎓
良いところに気づいたね。バス1は「スラック母線」と呼ばれる、システム全体の電圧と周波数の基準なんだ。発電機の出力を変えたり負荷を変えたりすると、系統全体の電力の過不足が生じる。その調整役をこのスラック母線が一手に引き受けるんだ。だから固定されているんだよ。シミュレーターで負荷を増やすと、バス1からの送電電力が自動で増えてバランスを取るのが見えるはずだ。

よくある質問

発電機出力や負荷、送電線パラメータを変更すると、電力の収支条件(キルヒホッフの法則)を満たすために非線形連立方程式の解が変わるためです。本シミュレーターは変更のたびに潮流計算を再実行し、新しい平衡状態での電圧・位相角を即座に表示します。
リアクタンスXが大きくなると、同じ電圧位相差でも有効電力Pij = (Vi Vj sinδ)/Xが減少します。つまり、同じ発電機出力を送るには位相差をより大きくする必要があり、結果として母線電圧や系統全体の安定性に影響を与えます。
無効電力Qijは近似的に(Vi - Vj)Vi / Xに比例します。電圧の大きさの差が大きいほど、高い電圧側から低い電圧側へ無効電力が流れます。本シミュレーターではこの特性を確認でき、負荷増加による電圧降下の影響を直感的に学べます。
発電機出力増加により送電線に流れる有効電力が増えると、線路リアクタンスでの電圧降下(V降下)が大きくなり、遠方の母線ほど電圧が低下します。また、無効電力の需給バランスが崩れると電圧が不安定になるため、本ツールでパラメータを変えながら確認してください。

実世界での応用

系統運用計画:電力会社では、翌日の需要予測に基づき、どの発電所をどの出力で運転するかを決定する際に潮流計算を多用します。シミュレーターのように、特定の送電線が停止(リアクタンス無限大)した場合に他の線が過負荷にならないかなどを事前にチェックします。

新規発電設備・大規模需要家の連系検討:大規模な太陽光発電所や工場が電力系統に新たに接続されるとき、その影響を評価するために潮流計算が必須です。接続点の電圧変動や既存送電設備への影響をシミュレーターのようなツールで詳細に分析します。

系統安定性向上策の検討:電圧が低下しやすい地域に、無効電力を供給する「SVC(静止形無効電力補償装置)」や「調相設備」を設置する場合、その最適な設置場所と容量を決定するために潮流計算が繰り返し行われます。

スマートグリッド・次世代送電網の設計:再生可能エネルギーが大量に導入される系統では、電力の流れが双方向的・不安定になります。このような新しい系統構造において、電力の流れを最適に制御するアルゴリズムを開発する際の基礎計算として潮流計算が活用されています。

よくある誤解と注意点

まず、「リアクタンスXを小さくすれば、いつでも送電能力が上がる」というのは誤解です。確かに、送電線のリアクタンスが小さいほど、同じ電圧差で流せる電力は大きくなります。しかし、実際の送電線では、リアクタンスを小さくする(例えば太い導体を使う)と、今度は線路の静電容量(充電電流)の影響が無視できなくなります。特に長距離送電では、この充電電流によって軽負荷時に受電端の電圧が送電端より高くなる「フェランチ効果」が発生し、電圧制御が難しくなります。シミュレーターで「線路1-3」を架空線から地中ケーブルに変えたつもりで、リアクタンスXを大幅に小さくし、かつ静電容量Bを大きく設定してみてください。負荷が少ない時に、バス3の電圧がバス1を上回る現象を確認できるはずです。

次に、母線電圧は「1.0」が常に最適と思いがちですが、実務では系統全体の電圧プロファイルを考慮します。例えば、送電端の電圧を1.05[p.u.]、中間点を1.02、需要端を0.98のように、段階的に下げて設定することがあります。これは、無効電力の流れを最小化して送電損失を減らすためです。シミュレーターで全ての母線電圧を1.0に固定して負荷を変えると、無効電力の潮流が大きくなり、結果として送電損失が増加する様子を観察できます。

最後に、潮流計算の結果は「静的なスナップショット」であることを理解しましょう。この計算は、ある特定の運転状態(例えば、午後2時のピーク時)での安定状態を解いています。しかし、実際の系統では、太陽光発電の出力急変や大規模電動機の起動などによる「動的な現象」が常に発生しています。潮流計算で電圧が許容範囲内だからといって、瞬時的な電圧降下(サグ)が起きない保証にはなりません。動的現象の解析には、別の「過渡安定度解析」ツールが必要です。

使い方ガイド

  1. 発電機2出力(Pg2)を0.5~1.5 puの範囲で設定し、送電線の有効電力フロー変化を観察します
  2. 母線電圧(Vg2)を0.95~1.05 puで調整して、電圧降下と無効電力需要の関係を確認します
  3. 負荷有効電力(Pl2)と無効電力(Ql2)を同時に変化させ、系統の安定性限界と電力損失の非線形性を把握します
  4. スラック発電機の調整力と各母線の位相角差分を監視し、潮流の物理的意味を理解します

具体的な計算例

345kV系統にて発電機2の出力Pg2=1.0 pu(500MW相当)、母線電圧Vg2=1.02 pu、負荷Pl2=0.8 pu(400MW)、Ql2=0.3 pu(150Mvar)を設定した場合、送電損失は約0.035 pu(17.5MW)、最低電圧は0.98 puで推移します。送電線インピーダンスX=0.15 puの条件下で、位相角差δ=15°程度となり、スラック発電機出力は系統バランスのため1.15 pu調整されます。

実務での注意点

  1. Pl2とQl2を同時増加させると、電圧降下と損失が二乗特性で悪化するため、段階的な負荷増加シミュレーションが必須です
  2. Vg2を0.93 pu以下に低下させると、無効電力補償器の飽和限界に到達し、系統の動的安定性が喪失する危険があります
  3. 発電機2が遮断された場合の潮流再配分を事前計算し、スラック発電機の供給余力(通常10~15%)を確保してください
  4. 送電線の温度上昇により抵抗成分が増加するため、季節変動を考慮した感度分析が重要です