薄肉理論(フープ応力・軸応力)と厚肉ラメ方程式で応力分布を計算。内圧・肉厚・降伏強度から安全率・最小肉厚・フォンミーゼス応力をリアルタイム算出します。
ボイラー・熱交換器:発電所や工場の蒸気ボイラーは薄肉理論が適用される代表例です。高圧蒸気に耐えるため、フープ応力を基に肉厚が決定され、定期的な検査の基準値となります。
高圧ガスタンク・水素貯蔵容器:CNG自動車の燃料タンクや次世代エネルギーである水素貯蔵容器では、非常に高い内圧(70MPa以上)がかかるため厚肉設計となります。ラメ方程式で内壁の応力集中を正確に評価することが安全確保に不可欠です。
化学プラントの反応器:高温高圧で化学反応が行われる容器では、内部の腐蝕性を考慮した肉厚(腐食余裕)を加えた上で、フープ応力による強度計算が行われます。材料の降伏強度と安全率が特に重要視される分野です。
配管システム:石油やガスの長距離輸送パイプラインでは、内圧と共に地盤沈下等による曲げ応力も考慮する必要がありますが、基本設計はフープ応力による膜応力評価から始まります。
このツールを使い始める際、特にCAE初心者が陥りがちな落とし穴がいくつかあるよ。まず第一に、「計算結果が安全なら絶対に壊れない」という思い込みだ。この計算はあくまで「静的で均一な内圧」という理想条件での一次応力評価。実務では、配管接続部での応力集中、繰り返し圧力による疲労、温度変化による熱応力、腐食による肉厚減少など、考慮すべき要因が山ほどある。例えば、安全率が3.0で合格でも、鋭いノズル根部では局所的に応力が数倍に跳ね上がることもあるんだ。
第二に、「薄肉」と「厚肉」の境界の扱い。ツールでは肉厚比 t/R=0.1を境に計算式を切り替えているけど、これはあくまで目安。実際の設計基準(ASME Boiler and Pressure Vessel Codeなど)では、より詳細な条件で判断する。境界付近(例えばt/R=0.09と0.11)で結果が大きく変わることがあるので、この領域の設計では両方の計算を行って慎重に評価するのがコツだ。
最後に、材料データの入力ミス。降伏強度は温度によって大きく変化する。常温で450MPaの鋼材も、300℃では350MPaまで低下するかもしれない。ツールで「降伏強度」を入力する時は、想定される最高使用温度での値を使うことを徹底しよう。室温の値で計算して「安全だ!」と判断するのは、非常に危険な勘違いだ。