冷凍サイクル設計計算機 戻る
冷凍・空調システム計算機

冷凍サイクル設計計算機(蒸気圧縮式)

蒸発温度・凝縮温度・過熱度・過冷度・圧縮機効率を入力して、COP・冷凍能力・圧縮機仕事・吐出温度をリアルタイム計算。P-h線図にサイクルを可視化します。

冷媒選択
設計条件
蒸発温度 T_evap
°C
凝縮温度 T_cond
°C
過熱度 ΔT_SH
K
過冷度 ΔT_SC
K
圧縮機効率 η_c
冷凍能力 Q_L
kW
計算結果
計算結果
COP [-]
圧縮機仕事 [kW]
凝縮負荷 Q_H [kW]
冷媒流量 [kg/s]
吐出温度 [°C]
圧力比 [-]
P-h 線図(圧力-エンタルピー線図)
理論・主要公式
$\text{COP}= \dfrac{Q_L}{W}= \dfrac{h_1 - h_4}{h_{2s} - h_1}$

実際圧縮:$h_2 = h_1 + \dfrac{h_{2s}-h_1}{\eta_c}$

カルノーCOP:$\text{COP}_{max}= \dfrac{T_L}{T_H - T_L}$

冷凍サイクル設計計算機(蒸気圧縮式)とは

🙋
このシミュレーターで「COP」って出てきますけど、何の指標なんですか?
🎓
大まかに言うと、冷凍機の「燃費」みたいなものだよ。COP(成績係数)は、投入した電力に対してどれだけの冷房(または暖房)能力が得られるかを表す数値だ。例えばCOPが3なら、1kWの電気で3kWの冷房ができるということ。このツールでは、左側のスライダーで「蒸発温度」を上げてみると、COPがどう変わるかすぐに確認できるよ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ「過熱度」と「過冷度」ってスライダーは何のためにあるんですか?
🎓
実務では安全性と効率のバランスを取るための重要なパラメータなんだ。「過熱度」は圧縮機に液体が戻ってきて故障する「液戻り」を防ぐために設ける。でも上げすぎると圧縮機の仕事が増えてCOPが下がる。逆に「過冷度」は冷媒を液体にしっかり冷やして、蒸発器で有効に使える量を増やす効果がある。シミュレーターで過熱度を10Kから20Kに上げてみると、吐出温度がどう変わるか確認してみよう。
🙋
なるほど!画面右のP-h線図のグラフは、そのパラメータの変化がサイクル形状にどう影響するかを見るためのものなんですね。でも、凝縮温度を下げるとCOPが良くなるのはなぜですか?
🎓
その通り!グラフでサイクルがどう変形するかが一目でわかる。凝縮温度を下げると、グラフ上の点2と点3が左に移動して、圧縮機の仕事(h2-h1)が小さくなるんだ。例えば、夏場に室外機の放熱が悪くて凝縮温度が上がると、冷房効率が大きく落ちるのはこのため。シミュレーターで「凝縮温度」を45℃から35℃に下げてみると、COPと圧縮機仕事がどう改善するか確かめてみて。

よくある質問

過熱度を大きくすると圧縮機入口の比エンタルピーが増加し、圧縮機仕事が増えるためCOPは低下します。過冷度を大きくすると蒸発器入口の比エンタルピーが減少し、冷凍能力が増加するためCOPは向上します。ただし、過冷度の増加には凝縮器の大型化などのトレードオフがあります。
圧縮機効率100%は等エントロピー圧縮(理想圧縮)を意味します。この場合、吐出温度が最低値となり、圧縮機仕事も最小になります。実際の圧縮機では機械損失や熱損失があるため、現実的な効率は70〜90%程度です。効率を高く設定しすぎると、実際の吐出温度より低く表示されるため注意が必要です。
P-h線図が閉じない主な原因は、入力した蒸発温度と凝縮温度の組み合わせが冷媒の飽和特性と矛盾している場合です。例えば、蒸発温度が凝縮温度より高い、または過熱度・過冷度が大きすぎて状態点が飽和線を超えると、サイクルが正常に描画されません。各温度が冷媒の臨界温度を超えていないかも確認してください。
現時点ではR134aのみ対応しています。冷媒ごとに熱物性値(飽和圧力、比エンタルピーなど)が異なるため、他の冷媒(R410AやR32など)を使用する場合は、対応する物性データベースを組み込む必要があります。今後のアップデートで冷媒選択機能を追加予定です。

実世界での応用

家庭用・業務用エアコン:このシミュレーターで扱う蒸気圧縮サイクルは、冷暖房の心臓部です。設計者は外気温(凝縮温度に影響)と求められる室内温度(蒸発温度に影響)を入力し、最適な冷媒量や熱交換器サイズを決定します。

冷蔵庫・冷凍冷蔵庫:庫内温度を一定に保つため、蒸発温度の設定が重要です。過冷却度を大きく取ることで、キャピラリーチューブ(膨張弁)でのフラッシュガス発生を抑え、蒸発器での有効な冷却能力を向上させます。

ヒートポンプ給湯器:冷房ではなく、凝縮器で出る熱をお湯作りに利用します。高効率(高COP)化が求められ、特に低温の外気から熱を汲み上げるため、低蒸発温度での運転特性のシミュレーションが不可欠です。

自動車の空調システム:エンジンルーム内の高温環境下(高凝縮温度)でも効率よく冷房する設計が求められます。また、圧縮機はエンジンで駆動されるため、その仕事量は燃費に直結する重要なパラメータです。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるとき、いくつか気をつけてほしいポイントがあるよ。まず「蒸発温度と凝縮温度は、冷媒の温度そのもの」という誤解。実はこれは熱交換器の「金属表面温度」に近い。例えば蒸発温度5℃を設定しても、吹き出し空気温度はそれより高く、冷媒と空気の温度差(ログ平均温度差)が必要なんだ。だから「冷房設定25℃なのに蒸発温度を25℃にしても冷えない」のは当たり前。通常、蒸発温度は目標温度より5~10℃低く設定する。

次にパラメータの現実的な範囲。過熱度を0Kに近づけると確かにCOPは理論上最大になるが、液戻りのリスクが激増する。実機では安全マージンをとり、通常3~8K程度。逆に過冷却度は、凝縮器出口にサブクーラーがない一般的な空冷式では、外気温との関係で取りすぎられない。例えば外気35℃で凝縮温度45℃の場合、過冷却度はせいぜい5K程度が現実的だ。

最後に「COPが高い設計が常にベスト」ではない点。吐出温度が高すぎると冷媒の劣化や圧縮機オイルの炭化を招く。R-410Aのような高圧冷媒では特に注意が必要で、過熱度を上げてCOPを少し犠牲にしても、吐出温度を安全範囲内に抑える設計判断はよくある。シミュレーターで過熱度を変えながら、COPと吐出温度のトレードオフを確認してみよう。

使い方ガイド

  1. 蒸発温度(-30~5°C)と凝縮温度(30~60°C)をスライダーで設定します。R410AまたはR32冷媒の飽和特性から両圧力を自動計算
  2. 過熱度(吸入側:5~20K)と過冷度(吐出側:0~10K)を調整し、実際のサイクルに近づけます
  3. 圧力-エンタルピ線図(P-h)に四つの状態点がプロットされ、冷凍能力Q_0=m・(h1-h4)、圧縮機仕事W_c=m・(h2-h1)、COP=Q_0/W_cが即座に算出されます

具体的な計算例

R410A冷媒、蒸発温度-10°C・凝縮温度50°C・過熱度10K・過冷度5Kの設定例:飽和圧力比は約4.8。蒸発器出口h1=415kJ/kg、圧縮後吐出h2=465kJ/kg、凝縮器出口h4=290kJ/kg、膨張前h3=290kJ/kgとなり、冷媒流量2.5kg/sで冷凍能力Q_0=312.5kW、圧縮機仕事W_c=125kW、COP=2.5が得られます。

実務での注意点