$x \le a:\; y = \dfrac{Pbx(L^2-b^2-x^2)}{6EIL}$
等分布荷重 w(全スパン)
$\delta_{max}= \dfrac{5wL^4}{384EI}$
重ね合わせ
$\delta_{total}(x) = \sum_i \delta_i(x)$
単純支持梁に集中荷重・分布荷重・集中モーメントを最大3つまで重ね合わせ。たわみ曲線と曲げモーメント図をリアルタイム描画し、最大たわみ・反力・端部勾配を瞬時に算出します。
梁のたわみを記述する基本となる微分方程式(弾性曲線式)です。曲げモーメントM(x)とたわみy(x)の関係を表します。
$$EI \frac{d^2 y}{dx^2}= M(x)$$E: ヤング率(材料の硬さ)、I: 断面二次モーメント(断面の形状による曲げにくさ)、M(x): 位置xにおける曲げモーメント。この式を2回積分し、支点条件(単純支持なら端部のたわみ=0)を適用することで解を得ます。
重ね合わせ法の原理です。複数の荷重が同時に作用する場合の全たわみは、各荷重が単独で作用したときのたわみの和となります。
$$y_{total}(x) = y_{P}(x) + y_{w}(x) + y_{M}(x) + \cdots$$y_{total}(x): 位置xにおける全たわみ、y_{P}(x): 集中荷重Pによるたわみ、y_{w}(x): 分布荷重wによるたわみ、y_{M}(x): 集中モーメントMによるたわみ。線形性(EIが一定、微小変形)が成立する範囲で有効です。ツールではこの足し算をリアルタイムでグラフ化しています。
建築構造(床梁の設計):オフィスビルの床には、人の重量(集中荷重)と家具・内装の重量(分布荷重)が同時にかかります。重ね合わせ法を用いて最大たわみを計算し、居住性(振動・きしみ)を満たす適切な梁サイズ(I値)を決定します。
橋梁の点検・補強設計:既設の橋に新しい規制(大型車通行)や付加物(パイプ架設)による追加荷重が生じた場合、既存荷重(自重)に新しい荷重モデルを重ね合わせて、変形や応力の増加を簡易評価します。補強が必要かの初期判断に使われます。
機械フレームの剛性評価:産業機械のフレームは、駆動モーターの重量(集中荷重)とフレーム自体の重量(分布荷重)、さらに駆動反力によるモーメントが複合的に作用します。重ね合わせ法で変形を予測し、加工精度に影響が出ない剛性を確保します。
CAE(有限要素法)結果の検証:複雑な構造のFEA解析結果を信頼するため、その一部(単純支持条件の梁部分)を切り出し、ツールのような重ね合わせ法による手計算結果と比較します。両者が一致すれば、FEAのモデル化(境界条件、荷重)がおおむね正しいと判断する材料となります。
まず、このツールの前提をしっかり押さえよう。「線形弾性・微小変形」が大原則だ。例えば、スチール材で計算した結果を、ゴムや大きな変形をするプラスチック部品にそのまま適用するのは危険だよ。材料が非線形なら、足し算は成り立たなくなる。
次に、「断面二次モーメントI」と「ヤング率E」の値の重要性を見落としがちだ。ツールではデフォルト値が入っているが、実際の設計ではここが命。例えば、幅100mm、高さ200mmの長方形断面のIは、 $$I = \frac{b h^3}{12} = \frac{100 \times 200^3}{12} = 66.7 \times 10^6 \, \text{mm}^4$$ だけど、梁を横向き(幅200mm、高さ100mm)にした瞬間、Iは約16.7×10⁶ mm⁴に激減する。これでは計算上のたわみが4倍になってしまう! 入力値は常に実物と照らし合わせてね。
あと、「最大3つまで」の荷重設定にも落とし穴がある。実務では荷重が4つ以上あるのが普通だよね。そんな時は、「等価変換」が鍵になる。例えば、複数の小さな集中荷重が接近しているなら、それらを合計して1つの集中荷重とみなすか、あるいは分布荷重に近似してしまう。逆に、長い範囲の分布荷重の一部だけを詳細に見たい時は、該当区間を切り出して別モデルを作る。このツールは「基本パーツの組み合わせ方」を体感するためのものと割り切ろう。
この「重ね合わせ法」の考え方は、梁計算以外の幅広い分野で顔を出す。まず真っ先に挙がるのは「回路理論」だ。複数の電源(電圧源・電流源)が存在する線形回路では、各電源が単独で働いた時の電流・電圧を重ね合わせて解く「重ね合わせの理」が使われる。梁の荷重と変位の関係が、回路の電源と電流の関係にそっくりなんだ。
もう一つは「流体力学」や「熱伝導」だ。例えば、複数の熱源からなる温度場や、複数の湧き出し・吸い込みがあるポテンシャル流れの解析でも、線形の支配方程式(ラプラス方程式など)を解く際に重ね合わせが原理的に成立する。梁のたわみ曲線が複数の荷重の解の和になるのと、数学的に同じ土俵に立っているんだ。
さらに発展すると、「有限要素法(FEA)」の根本思想にも繋がる。FEAは複雑な形状を小さな単純な要素(例えば単純支持梁のような基本的な変形パターンを持つ要素)に分割し、それぞれの解を「重ね合わせて」全体の挙動を求める手法だ。このツールで、異なる荷重ケースの解を足し合わせる操作に慣れておくことは、FEAの結果を直感的に理解する第一歩になるよ。
まず次の一歩は、「支点条件の変更」を学ぶことだ。このツールは「両端支持」だけど、実際には片持ち梁や両端固定梁も頻出する。教科書でこれらの標準的な解(公式)を確認し、なぜ支点条件が変わると解の形がガラッと変わるのか(境界条件の違いによる積分定数の決定)を追ってみよう。
数学的な背景をもう一歩深めたいなら、「微分方程式のグリーン関数」という概念を調べてみるといい。重ね合わせ法は、点荷重に対する解(グリーン関数)を荷重の分布に沿って積分している、というより一般的な視点を得られる。集中荷重、分布荷重、モーメントの解が、すべて同じ根源から導かれていることが実感できるはずだ。
実務的な学習としては、このツールで感覚を掴んだ後は、「影響線」の理解に進むことを強くお勧めする。例えば橋の梁を移動荷重(車)が通るとき、どこに車が来た時に支点反力や曲げモーメントが最大になるか? 影響線はそれを図示したもので、これも重ね合わせの原理の応用そのものなんだ。「たわみ」の重ね合わせから一歩進んで、「内力」の重ね合わせを考えることで、構造設計の核心に迫れるよ。