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垂直軸風車・小型風力

垂直軸風車 Savonius Cp・トルク設計シミュレーター

サボニウス型 VAWT(垂直軸風車)の出力係数 Cp・トルク・推奨回転数・年間発電量をリアルタイム計算します。ロータ径と高さ、バケット配置、オーバラップ比、風速を変えて、都市屋上や離島電源、揚水ポンプ、教育用途に最適な小型風車を設計できます。

パラメータ設定
ロータ径 D
m
ロータ高 H
m
バケット配置
2段ヘリカルは自己起動性と滑らかさのバランス◎
オーバラップ比 e/D
最適値は 0.15 付近。離れるほど Cp が低下
アスペクト比 H/D
1.5〜2.0 が安定。低すぎると端部損失大
風速 V
m/s
空気密度 ρ
kg/m³
用途
用途で許容騒音・必要起動風速が変わります
計算結果
受風面積 (m²)
Cp 出力係数
風からのパワー (W)
抽出パワー (W)
推奨回転数 (RPM)
年間発電量 (kWh/y)
サボニウス VAWT 断面アニメーション

2段ヘリカル S 字バケットが垂直軸まわりに回転します。青の矢印は流入風、白の矢印は進む側/戻る側のバケット相対速度を示します。

Cp–TSR 曲線(サボニウスの特性)
バケット配置別 Cp 比較
理論・主要公式

$$A = D \cdot H, \qquad P_{\text{avail}} = \tfrac{1}{2}\,\rho\,A\,V^{3}$$

受風面積 A(投影面積)と風が運ぶ運動エネルギーフラックス P_avail。ρ は空気密度、V は流入風速。

$$P_{\text{ext}} = C_p \cdot P_{\text{avail}}, \qquad C_p = C_{p,\text{max}}\cdot f_{\text{arr}}\cdot\left(1 - \tfrac{|H/D - 1.7|}{4}\right)$$

抽出パワー P_ext と出力係数 Cp。Cp_max はオーバラップ比依存(0.15で最大0.18)、f_arr はバケット配置補正(2段ヘリカル=0.85, 単段=1.0, 3段スタガ=0.78, ねじれS=0.90)。

$$N = \text{TSR}\cdot\frac{V}{R}\cdot\frac{60}{2\pi}, \qquad T = \frac{P_{\text{ext}}}{N\cdot 2\pi/60}$$

推奨回転数 N(RPM, TSR=0.8 基準)と軸トルク T。R はロータ半径 D/2。サボニウスは低 TSR・高トルクが特長。

Savonius 垂直軸風車 Cp・トルク特性 — 都市低速風

🙋
サボニウス風車って、ドラム缶を縦半分に切ってずらして貼り合わせたみたいな形のやつですよね。あれ、本当に風で回って発電できるんですか?効率悪そうに見えるんですけど…
🎓
いいところを突いてるね。確かに効率は悪い。サボニウスの理論上限 Cp は0.20くらいで、水平軸のプロペラ型(0.45〜0.50)の半分以下なんだ。でも「効率」だけで風車を選ぶ訳じゃない。サボニウスは風向きに関係なく回り、2〜3 m/s の弱い風でも自己起動する。これ、屋上や街路灯みたいな「風の向きがコロコロ変わる都市部」では大きな武器なんだよ。
🙋
なるほど!じゃあ Cp が低くても、稼働時間が長ければトータルで得をする、って感じですか?左の「バケット配置」を 2段ヘリカル にすると、Cp が0.153と出ました。これって良い数字なんですか?
🎓
そう、まさにそういう発想だね。Cp=0.153 はサボニウスとしては実用範囲のいい数字だよ。単段の純粋な S 型なら 0.18 出るけど、2段ヘリカルにすると 0.85倍に落ちる。代わりに何が良くなるかというと、回転角度によらず常にトルクが出るので「コギング(脈動)」が消えて、起動風速も下がる。発電機を直結したときの振動騒音も激減するんだ。屋上で使うなら効率0.153で文句なし、ってところ。
🙋
「TSR=0.8」って書いてあるんですが、TSR ってなんですか?水平軸風車の記事だと TSR=7 とかが書いてあった気がします。
🎓
TSR は周速比、つまり「バケット先端の周速 ÷ 風速」。サボニウスは抗力型だから、先端速度が風速を超えると進む側のバケットに風が当たらなくなって失速する。だから最大 Cp は TSR≒0.8〜1.0 という低い値で出る。一方、揚力型のプロペラは TSR=6〜8 で初めて理想的な迎え角になる。同じ風速 6 m/s でも、サボニウス(D=1.2m)なら 76 RPM、プロペラ(同径)なら 760 RPM くらい違う。低 RPM・高トルクは発電機選定では不利だけど、ポンプ駆動や教材用ならむしろ扱いやすいんだ。
🙋
年間発電量が85 kWh/y って出ました。これってどれくらいの規模感ですか?家1軒の電気は賄えますか?
🎓
残念ながら家1軒には桁が2つくらい足りないね。一般家庭は年間4,000〜5,000 kWh 使うから、この小型サボニウスでは LED 街路灯1灯(年間100〜150 kWh)や、屋外監視カメラ1台、Wi-Fi 中継機の補助電源、くらいが現実的なターゲット。あと、表示の85 kWh/y は設備利用率20%の楽観値で、都市屋上では建物背後の乱流で実際は半分以下の40〜60 kWh/y になることが多い。電池に貯めてピーク使うのが定石だよ。
🙋
なるほど…じゃあ家庭の電気を風で賄うっていうのは、サボニウスじゃなくて大きな水平軸風車(HAWT)を立てないとダメってことですね。
🎓
その通り。家庭をまかなうなら最低でもロータ径3m級の HAWT が必要だけど、それは住宅地に立てると騒音・景観・低周波の問題で揉める。サボニウスの強みは「小さい・静か・無指向性」だから、用途を割り切って「補助電源・教育用・装飾兼発電」と考えるのが正解。最近は太陽光パネルと組み合わせて、昼は太陽・夜と曇天時は風、というハイブリッド構成も増えてきているよ。

よくある質問

サボニウスは抗力型の風車で、進む側のバケットは風を受けて押されますが、戻る側のバケットも風と逆方向に動くため負のトルクを生みます。差し引きで得られる正味トルクが小さく、理論的な上限 Cp も約0.20前後にとどまります。一方、揚力型の水平軸風車(HAWT)は最大 Cp が0.45〜0.50に達します。Savonius が選ばれるのは効率ではなく、低風速での自己起動性、無指向性、低騒音、低製造コストといった「使いやすさ」の方です。
オーバラップ比(e/D:2枚のバケットが重なる距離をロータ径で割った値)は、実験的に 0.10〜0.20、特に 0.15 付近で最大 Cp になることが知られています。重ねすぎると進む側のバケットの上流圧力が逃げて Cp が落ち、重ねが少なすぎると戻り側のドラッグが減らせません。本ツールでは 0.15 を中央として、それから外れるほど Cp が下がる近似式 Cp_max = 0.18 − 0.3·|e/D − 0.15| を使っています。
サボニウスは抗力型のため、バケット周速が風速を超えると進む側にも風が当たらなくなり推力が消えます。よって最大 Cp は周速比 TSR = ωR/V ≈ 0.8〜1.0 で得られます。水平軸の揚力型は TSR=6〜8 で回るのと対照的です。低 TSR は同じ風速でも回転数が抑えられることを意味し、騒音が低く構造ストレスも小さくなる利点があります。発電機を直結する場合は低 RPM・高トルクのモデルや、増速ギヤとの組合せが必要になります。
ツールが表示する年間発電量 AEP は、定格パワーに年間設備利用率20%を掛けた目安値です。実際の都市屋上では、平均風速は地上設置より低く(建物背後の乱流域では3〜4 m/s)、年間設備利用率は10〜15%程度に落ちます。例えば D=1.2m, H=2m, V=6m/s 設定で AEP≈85 kWh/y と出ても、現実の都市屋上では 40〜60 kWh/y 程度を見込むのが安全です。LED 街路灯1灯(年間100〜150 kWh)を賄う規模感です。

実世界での応用

都市屋上の補助電源・街路灯:サボニウスの真骨頂は風向が乱れる都市環境です。ビル屋上は風速3〜5 m/s と弱く、しかも建物背後の乱流で向きが秒単位で変わります。無指向性で2 m/s から自己起動するサボニウスは、ここで太陽光パネルと組み合わせ、Wi-Fi 中継機・監視カメラ・LED 街路灯の補助電源として使われます。低騒音(35〜45 dB)で人の生活圏でも問題になりにくいのが大きな利点です。

離島・山小屋・農場の自立電源:系統電力が来ない離島の灯台、山小屋の通信機、農場の電気柵などでは、保守の手間が少ない無指向性タービンが好まれます。水平軸のように向きを合わせるヨー機構が不要で、可動部はロータ本体と発電機のみ。塩害環境でも構造がシンプルなため長寿命設計がしやすく、太陽光パネルと組み合わせて365日の自立電源を構成できます。

揚水ポンプ・かんがい:低 TSR・高トルクという特性は、発電よりも機械的な仕事をさせる用途にむしろ向いています。古典的なアプリケーションが揚水で、ロータ軸にクランクや偏心カムを直結してピストンポンプを駆動します。発電機・インバータ・蓄電池が不要なため、農村部の井戸水汲み上げ用に1900年代初頭から世界中で使われ続けています。

教育用・科学館の展示:サボニウスは流体力学・回転機械・エネルギー変換を「見て触って」学べる優れた教材です。透明アクリルで作れば内部の流れが可視化でき、扇風機を当てれば誰でも回せます。本ツールが扱う Cp・TSR・トルクの関係も、小さな模型と回転計で実測でき、理論と実験を結びつける授業教材として大学・高専で広く採用されています。

よくある誤解と注意点

第一の落とし穴は、「カタログの定格出力をそのまま年間発電量に換算する」こと。サボニウスのカタログには「定格 200W @ 風速 8 m/s」のように書かれていますが、年間平均風速が 4 m/s の都市屋上では実出力は (4/8)³ = 1/8 倍、つまり 25W 程度に落ちます。風のパワーは速度の3乗で効くため、平均風速が半分になれば出力は8分の1。本ツールでも風速 V を実測値に近い 3〜5 m/s に設定して試算し、決して定格値で計算しないでください。

第二に、「設備利用率を一律20%で見積もる」こと。本ツールも内部で20%を使っていますが、これは大型風車の陸上平均値です。都市屋上で実際に得られる設備利用率は 10〜15%、悪条件では5%以下になります。建物の風上側、コーナー部、屋上から数m上に立てる、といった設置位置の最適化で2〜3倍変わります。事前に超音波風速計で1ヶ月以上の風観測を行い、ワイブル分布をフィッティングしてから容量を決めるのが正攻法です。

第三が、「サボニウスは騒音ゼロ」という都市伝説。確かに HAWT のような「ブーン」という低周波音は出ませんが、回転数が上がると軸受や発電機からの機械音、バケット端からの渦音(200〜500 Hz)が発生します。本ツールは noise_dB ≒ 35+10·log10(N/100) で目安値を出しています。住宅の至近距離(数 m)に設置する場合、夜間の40 dB は意外と気になります。バケット端を丸める、ゴムマウントで支柱と絶縁する、回転数を制御する、などの対策が必要です。

使い方ガイド

  1. ロータ径(0.5~5m)とロータ高さ(0.5~6m)を入力し受風面積を決定する
  2. オーバラップ比(0~0.4)を調整してバケット間の重なりを設定し、Cp出力係数を最適化する
  3. アスペクト比(高さ/径)を変更して風車の縦横比を制御し、推奨回転数と抽出パワーを確認する
  4. 年間発電量(kWh/y)が現地の平均風速条件で実現可能か検証する

具体的な計算例

都市屋上用サボニウス風車:ロータ径D=1.2m、ロータ高さH=1.5m、オーバラップ比0.2、アスペクト比1.25の場合、受風面積A=1.8m²、Cp=0.28、平均風速8m/s時の風からのパワー102W、抽出パワー28.6W、推奨回転数180RPM、年間発電量(平均風速6m/s地域)約78kWh/yを達成。揚水ポンプ駆動なら流量0.45m³/hで3m揚程が可能。

実務での注意点