設計条件
地盤種別
第1種 (岩盤)
第2種 (硬質地盤)
第3種 (軟弱地盤)
📈 応答スペクトル
🏗️ 地盤種別比較
🎯 減衰比感度
縦線が現在の建物周期Tの位置。Sa値がベースシア力計算に使われる。
同一建物(現在の設定)を第1〜3種地盤に置いた場合のSa・V比較
減衰比ξを2〜30%に変化させたときの応答スペクトル(現在の地盤・Zで計算)
地震ハザード応答スペクトルとは
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「応答スペクトル」って、グラフを見ると横軸が周期で縦軸が加速度みたいですけど、これは何を表してるんですか?
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ざっくり言うと「ある周期の建物が地震でどれだけ揺れるか」を周期ごとにまとめた設計用の目安だ。例えば周期1秒の建物(だいたい10階建て)がここに、周期0.3秒の建物(低層)がここにくる。グラフ上の地盤種別を「第3種(軟弱地盤)」に変えてみて。山がぐっと長周期側に膨らんでいくのがわかるよね。軟弱地盤はゆっくりした揺れを増幅するんだ。
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「地盤種別比較」タブを見ると、第3種は第1種の2倍くらいSaが大きいですね。同じ建物でも敷地によってそんなに違うんですか?
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実務ではもっと差が出ることもある。東京の沖積低地(川沿いや埋立地)は軟弱地盤が多く、山の手の台地とは設計地震力が1.5〜3倍違うケースもある。だから建物を設計する前に、まず敷地のボーリング調査で地盤種別を確認するのが重要なんだ。
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「ベースシア力V」って出てきますけど、これは何kNの力が建物にかかるってことですか?
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そうだ。V = Cs × W で計算する。Csが「建物重量に対する地震力の比率」で、W が「建物重量」。例えば W = 2000 kN の建物で Cs = 0.2 なら、根元に水平方向に400 kNの力がかかるってことだ。これが構造設計の出発点になる。「建物重量」のスライダーを増やすとVが比例して増えるのが見えるよ。
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「減衰比感度」タブでは、減衰比が大きいと曲線のピークが低くなってますね。実際にどうやって減衰を上げるんですか?
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主に3つの方法がある。①オイルダンパーや粘弾性ダンパーを組み込む制震構造(ξ ≈ 10〜15%)、②建物を積層ゴムやすべり支承で地盤から切り離す免震構造(ξ ≈ 20〜30%)、③建物頂部に重りと油圧シリンダーを付けるTMD(同調質量ダンパー)。高層ビルでは①②が多く使われていて、スカイツリーはまさに②+独自の制震心柱で東京の軟弱地盤に対応してるんだ。
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「地域係数Z」って何ですか?日本全国で同じじゃないんですか?
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地域ごとの地震発生確率の違いを反映するスカラー係数だ。Zが大きいほど設計地震力も大きくなる。建築基準法では、地震リスクが高い四国・九州・東海道などはZ=1.0、北海道や沖縄の一部など比較的リスクが低い地域はZ=0.7〜0.9 が割り当てられている。同じ設計でも建てる場所によって30%近く変わることがあるんだ。
物理モデルと主要な数式
設計用応答スペクトル $S_a(T)$ は、地盤種別と地域係数に基づく区分線形モデルで与えられます。
$$S_a(T) = \begin{cases} S_{DS}\left(0.4 + 0.6\dfrac{T}{T_0}\right) & T < T_0 \\ S_{DS} & T_0 \le T \le T_v \\ S_{D1}/T & T > T_v \end{cases}$$
$S_{DS} = \tfrac{2}{3} Z F_a \cdot 2.5$(短周期設計スペクトル加速度)、$S_{D1} = \tfrac{2}{3} Z F_v$(1秒周期設計スペクトル加速度)。$F_a, F_v$ は地盤種別による増幅率。
減衰補正:$\eta = \sqrt{10/(5+\xi)}$($\xi$ は減衰比[%])により、5%以外の減衰比でのスペクトルを補正します。
設計地震力(ベースシア力):
$$V = C_s \cdot W, \quad C_s = \frac{S_a(T)}{g}$$
$V$ [kN] は建物根元の水平設計力、$W$ [kN] は建物重量、$g = 9.8\,\text{m/s}^2$。この $V$ が柱・梁・耐力壁の設計荷重として構造計算に入力されます。
実世界での応用
建築構造の初期設計: 設計の最初の段階で、想定する建物の周期と敷地条件から設計用地震力を迅速に見積もり、必要な耐力壁量や柱断面を判断します。特に複数の地盤シナリオで感度分析するのに有効です。
既存建物の耐震診断: 現状の建物の固有周期(1次固有値解析の結果)を入力し、現行の基準で要求される耐力を計算。耐震補強の必要性と優先度を判断する材料になります。
機械・設備の耐震設計: 建物内部の大型機械・変電設備・ボイラーなど非構造部材の耐震設計でも、機器の固有周期から設計入力加速度を求めるために応答スペクトルが使われます。
免震・制震設計の効果確認: ξスライダーで減衰比を標準(5%)から免震相当(20〜30%)に変化させると、Sa値がどれだけ低下するかを視覚的に確認でき、免震・制震の費用対効果を直感的に理解できます。
よくある質問
応答スペクトルと地震波の波形はどう違いますか?
地震波(時刻歴波形)は時間軸での加速度記録ですが、応答スペクトルはその波形を様々な固有周期の1自由度系で解かせたときの「最大応答値」を周期ごとにまとめたものです。設計上は波形の詳細よりも最大値が重要なため、応答スペクトルが広く使われています。時刻歴解析はより詳細な非線形解析に用います。
建物の固有周期Tはどうやって求めますか?
簡易式では、RC造 T ≈ 0.02×H(Hは建物高さ[m])、鉄骨造 T ≈ 0.03×H が目安です。例えば10階建てRC造(高さ30m)なら T ≈ 0.6 秒です。より正確には剛性マトリクスと質量マトリクスを使った固有値解析(FEM)が必要で、特に壁量や基礎条件が異なると大きく変わります。実測では常時微動計測も有効です。
地盤種別はどうやって判定しますか?
建築基準法では、地盤の平均せん断波速度 Vs(ボーリング調査・PS検層で測定)をもとに判定します。第1種(岩盤相当): Vs ≥ 600 m/s、第2種(中間地盤): 150 m/s ≤ Vs < 600 m/s、第3種(軟弱地盤): Vs < 150 m/s(または沖積層が20m以上)。机上推定は危険なため、必ずボーリング調査結果を使ってください。
ベースシア力Vをそのまま設計に使えますか?
このツールのV = Cs × Wは弾性応答に基づく値です。実際の構造設計では「構造特性係数 Ds」で割り引きます。Dsは骨組みの靭性により0.2〜0.55程度。つまり設計用横力は「V_設計 = Cs × W / Ds」で、弾性Vより小さくなります。ただし変形性能(層間変位)の確認も必要なため、詳細設計では一貫構造計算プログラムを使用してください。
免震構造にすると設計地震力はどれくらい減りますか?
「減衰比感度」タブで確認できます。標準の5%から免震相当の20〜30%に増やすと、応答スペクトルのピーク値はおよそ1/2〜1/3に低下します。さらに積層ゴム支承で周期を2〜3秒以上に長周期化すれば、スペクトル値は SD1/T の逓減域に入り、大幅な地震力低減が可能です。このため免震建物では建物本体の構造部材断面を細くできますが、免震層自体の設計・維持管理コストが別途必要です。
長周期地震動と通常の地震動はどう違いますか?
巨大地震(M8以上)では周期2〜10秒の長周期成分が卓越し、通常の応答スペクトルが想定しない範囲に揺れが及ぶことがあります。2011年東日本大震災では、仙台から600km離れた大阪の高層ビルが大きく揺れ、石油タンクで共振が起きました。このツールのスペクトル形状は主に短〜中周期向けですが、「周期5秒」のスライダー範囲でも感度を確認できます。高層建物の設計では2016年改正建築基準法による長周期地震動への対応が義務化されています。