コリオリ力 — CAE用語解説
コリオリ力
先生、コリオリ力って高校で習いましたが、CAEでも使うんですか?
使うよ。CAEで最もよく出てくるのは回転機械の解析だ。ポンプ・タービン・圧縮機のインペラのように回転する部品の流体解析をするとき、回転する座標系(回転参照系)で計算するとコリオリ力と遠心力が見かけの体積力として現れる。OpenFOAMのMRF(Moving Reference Frame)ゾーンを設定すると、回転する流体ドメインを静止系で扱えるようにコリオリ力と遠心力が自動的に追加される。これにより定常解析でインペラの回転流れを近似できる。
定義
コリオリ力の式って F = -2m*(omega × v) でしたよね? CAEでどう使われるんですか?
その通りだ。omegaが回転角速度ベクトル、vが回転座標系でのの速度ベクトルだ。CFD的には単位体積あたりのコリオリ力 f_Cor = -2*rho*(omega × u) が運動量方程式のソースタームとして加わる。あわせて遠心力 f_cen = -rho*omega × (omega × r) も加わる。この2つのソースタームを加えることで、回転するインペラを静止メッシュで(定常)解析できる——これがMRFの本質だ。ただし非定常な渦の放出はMRFでは追えないからスライドメッシュ(Sliding Mesh)が必要になる。
構造解析でのコリオリ効果
構造解析でも関係しますか?
関係する問題がある。回転する柔軟構造(ヘリコプターブレード、風車翼)の振動解析では、コリオリ項が曲げモードとねじりモードの連成に影響する。Abaqusの回転動解析(STEADY STATE TRANSPORT、あるいはROTATING FRAMEオプション)ではコリオリ効果を含めた剛性行列を組む。特に「遠心方向の剛性化(spin stiffening)」と「コリオリによる振動連成」が組み合わさって、回転速度によって固有振動数が変化する——これをキャンベル線図(Campbell Diagram)で整理する。
キャンベル線図ってタービン設計でよく出てくるやつですね?
そう。横軸に回転速度、縦軸に振動数を取って、固有周波数線(これは回転速度で変化する)と加振力の周波数線(n次の回転次数ライン:f = n * N/60)を重ねたグラフだ。2つの線が交差するポイントが「共振点」で、実際の運転速度範囲に共振点が入らないようにブレードの形状・剛性を設計する。ガスタービンや圧縮機の動翼設計では必ずこの解析をやって運転回転数での共振リスクを評価する——回転機械のFEM解析で最も実務的に重要な手法の一つだよ。
地球の自転によるコリオリ力は解析で無視できますか?
通常のCAE解析では完全に無視できる。地球のomega = 7.27×10^-5 rad/s に対して、機械のomegaは数百〜数万 rpm(数十〜1000 rad/s)だから6〜8桁の差がある。地球コリオリが影響するのは気象・海洋シミュレーション、長距離砲弾の弾道計算など非常に大規模・長時間のケースだけだ。工場機械から航空機まで、普通のエンジニアリング解析で地球コリオリを考慮する必要はない。
関連用語
MRFでのコリオリ処理とキャンベル線図の意味がつながりました! 回転機械解析の奥深さを感じます。
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