$v_s = \dfrac{(\rho_p - \rho_f)\,d_p^2\,g\,C_c}{18\mu}$
Cunningham補正
$C_c = 1 + \dfrac{2\lambda}{d_p}\!\left(1.257 + 0.4\,e^{-1.1d_p/2\lambda}\right)$
拡散係数
$D_p = \dfrac{k_B T\,C_c}{3\pi\mu\,d_p}$
粒径0.01〜100μmの粒子について、沈降速度・拡散係数・ストークス数・Cunningham補正係数・肺沈着率をリアルタイムに計算・可視化します。
エアロゾル粒子の重力による終端沈降速度(ストークス沈降)を表す式です。粒子が受ける重力、浮力、ストークス抵抗が釣り合った状態の速度です。
$$v_s = \dfrac{(\rho_p - \rho_f)\,d_p^2\,g\,C_c}{18\mu}$$$v_s$: 沈降速度 [m/s], $\rho_p$: 粒子密度 [kg/m³], $\rho_f$: 流体(空気)密度 [kg/m³], $d_p$: 粒子径 [m], $g$: 重力加速度 [m/s²], $C_c$: Cunningham補正係数 [-], $\mu$: 流体の粘度 [Pa·s]
微細粒子において、流体を連続体とみなすストークスの抵抗則を補正する係数です。粒子径が気体分子の平均自由行程に近づくほど(Knudsen数が大きくなるほど)、抵抗が減少し、値が大きくなります。
$$C_c = 1 + \dfrac{2\lambda}{d_p}\!\left(1.257 + 0.4\,e^{-1.1d_p/2\lambda}\right)$$$C_c$: Cunningham補正係数 [-], $\lambda$: 気体分子の平均自由行程 [m] (標準状態の空気で約65 nm), $d_p$: 粒子径 [m]。この補正により、ナノ・サブミクロン粒子の運動の記述が可能になります。
室内空気質・感染症対策:ウイルスや細菌を含む飛沫・エアロゾルの挙動予測に使われます。換気効率の評価や、空気清浄機の設置位置の最適化において、粒子の沈降速度や拡散係数の計算が基礎データとなります。
大気環境シミュレーション:PM2.5などの大気汚染物質が、発生源からどのように拡散・沈着するかをモデル化する際の核心的な計算です。長期予測モデルに粒子動力学のパラメータが組み込まれています。
産業プロセス・粉体工学:化学プラントでの粉塵爆発のリスク評価、塗装ブースや半導体クリーンルームでの粒子制御、吸入薬のデリバリーシステム設計など、多岐にわたる分野で応用されています。
CAEシミュレーション前処理:流体解析(CFD)で粒子の挙動を追跡するラグランジュ粒子追跡法を用いる際、粒子に働く力のモデルや、ストークス数に基づく衝突・付着モデルの設定パラメータとしてこれらの計算値が直接利用されます。
まず、「粒子密度はいつも水と同じ1g/cm³でいいだろう」という思い込み。これ、結構危ないです。例えば、金属酸化物の粉塵(密度~4g/cm³)と花粉(密度~0.5g/cm³)では、同じ10μmの粒子でも沈降速度が数倍違います。肺への沈着挙動も変わってくるので、実在する粒子の密度を調べるのが第一歩です。
次に、「空気の状態は標準状態(20℃, 1気圧)で固定」と考えがちな点。高所(気圧低下)や高温環境では、空気の粘度μや密度ρ_fが変わり、計算結果に影響します。例えば、標高2000mでは空気密度が約80%になるので、浮力が減り、沈降速度は少し速くなります。実環境をシミュレートする時は、温度・圧力パラメータの調整を忘れずに。
最後に、「ストークス数Stkが1より大きい=すぐに床に落ちる」という短絡的な解釈。Stkは気流の「曲がり角」での挙動指標です。直進性が高くても、初期速度がゼロなら沈降はゆっくり。例えば、換気口の気流に乗った大きな粒子(Stk>1)はダクトの曲がり部で壁に衝突しやすく、一方で同じ粒子が静止空気中では単にストークス沈降します。ツールで計算した各パラメータを、どういう流れ場で適用するのか、セットで考えるクセをつけましょう。
このツールの計算ロジックは、「粉体工学」や「微粒子的な流体力学」そのものです。具体的には、サイクロンやバグフィルターといった集塵装置の設計では、捕集したい粒子の空気動力学径とストークス数が分離効率を決めるカギになります。また、スプレードライング(液滴を乾燥させて粉末にする技術)では、液滴の乾燥速度と沈降速度を競合させて粒子形状を制御するため、まさに粒子動力学の応用です。
さらに、CFD(数値流体力学)シミュレーションと深く連携します。NovaSolverのようなツールで個々の粒子の特性を把握した後、それをCFDソフトで何百万個も流路内に放出するラグランジュ粒子追跡法の前処理として使われます。例えば、自動車のキャビン内のエアフローシミュレーションで、花粉やPM2.5がどこに溜まるかを予測する際の基礎データ生成に役立ちます。
意外なところでは、半導体製造におけるクリーンルーム設計も関連分野です。製造装置から発生する微細な粒子が、層流クリーンベンチの気流にどのように乗り、ウェハー表面に沈着するかを予測する際に、拡散係数と沈降速度の計算が不可欠です。
まずは、ツールで遊びながら「無次元数」の感覚を掴むことをお勧めします。ストークス数(Stk)やレイノルズ数(Re)は、現象を一般化して理解するための強力な言語です。例えば、粒径を変えながらストークス数が1を超える境界を探し、「このサイズから粒子は気流の曲がりに追従できなくなるんだな」と体感的に理解しましょう。
次のステップは、支配方程式の導出を追ってみること。ツールが計算している沈降速度の式 $$v_s = \dfrac{(\rho_p - \rho_f)\,d_p^2\,g\,C_c}{18\mu}$$ は、粒子に働く力の釣り合い(重力-浮力=ストークス抵抗)からシンプルに導けます。ここで、ストークス抵抗の式 $F_d = 3\pi \mu d_p v$ が「層流・球形・微小レイノルズ数」という仮定に立っていることを知れば、その適用限界(例えば大きな粒子や高速では違う抵抗則が必要)も見えてきます。
もっと先へ進みたいなら、「ブラウン運動」と「拡散係数」の関係を数学的に学ぶと世界が広がります。アインシュタインの関係式 $$D = \frac{k_B T C_c}{3\pi \mu d_p}$$ によって、ツールで計算される拡散係数が、温度Tや粒子径d_pにどう依存するか、その物理的根源が理解できます。これが、室内でのエアロゾル拡散や、肺の深部への微粒子到達メカニズムの核心です。