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対話型シミュレーター

黒体放射の色温度とスペクトル分布シミュレーター

温度を掃引すると、黒体が深赤→橙→暖白→寒白→青白へと光り、動作点がCIE色度図のプランク軌跡を移動します。

パラメータ入力
色温度 T
K

黒体の絶対温度。色味を決める唯一の量です。

掃引(自動往復)

再生中は1000K〜12000Kを自動で往復します。スライダーを操作すると一時停止します。

代表的な光源プリセット
計算結果
色温度
CIE x, y 色度
sRGB 近似色
記述子
黒体の発光色とスペクトルの色合い
上段は黒体ランプの実際の見かけ色。下段の帯は可視スペクトル(380–700nm)で、その温度のプランク放射の重みで明るさが乗っています。温度が上がると山が短波長(青)側へ移動します。
CIE色度図とプランク軌跡
馬蹄形がCIE 1931色度図。黒い曲線がプランク軌跡で、白点が現在の動作点です。代表光源も○で示します。
プランク・スペクトル分布
プランクの法則 $B_\lambda(T)$ を波長で描いたもの。網掛けが可視域(380–700nm)。ピーク波長はウィーンの変位則 $\lambda_{max}=b/T$。
理論・主要公式

$$B_\lambda(\lambda,T)=\frac{2hc^2}{\lambda^5}\frac{1}{e^{hc/\lambda k T}-1}$$

プランクの法則。波長 $\lambda$・温度 $T$ における黒体の分光放射輝度。$h$ プランク定数、$c$ 光速、$k$ ボルツマン定数。

$$X=\int B_\lambda\,\bar x(\lambda)\,d\lambda,\quad Y=\int B_\lambda\,\bar y\,d\lambda,\quad Z=\int B_\lambda\,\bar z\,d\lambda$$

スペクトルを CIE 等色関数 $\bar x,\bar y,\bar z$ で積分して三刺激値 XYZ を得ます。色度は $x=X/(X{+}Y{+}Z)$, $y=Y/(X{+}Y{+}Z)$。XYZ→sRGB 変換で画面色を求めます。

$$\lambda_{max}=\frac{b}{T},\quad b=2.898\times10^{-3}\,\mathrm{m\cdot K}$$

ウィーンの変位則。温度が上がるほどピーク波長が短く(青く)なります。これらを温度ごとに結ぶとプランク軌跡になります。

色温度とは

色温度とは、光の色味を「同じ色に見える黒体(理想的な熱放射体)の絶対温度」で表したものです。鉄を熱したときの「赤熱→橙→白熱」の連続を思い浮かべると分かりやすく、低温では赤く、高温では青白く見えます。単位はケルビン(K)です。

ここでの直感のポイントは、「暖かい色=低い温度」「冷たい色=高い温度」という、感覚と物理が逆になる点です。ろうそくの炎(約1900K)は暖色なのに温度は低く、真昼の青空(約10000K)は寒色なのに色温度は高い。これは色温度が炎やランプの実際の熱さではなく、見かけの色だけを温度で表現しているためです。

このシミュレーターが見せるもの

温度を掃引すると、左上の黒体ランプが深赤→橙→暖白→寒白→青白へと連続的に色を変えます。同時にCIE色度図の白い動作点がプランク軌跡に沿って移動し、下のプランク・スペクトル分布ではピークが短波長側へずれていきます。計算結果には色温度(K)、CIE x,y 色度、sRGB近似色、そして暖色/中間/寒色の記述子がライブ表示されます。

色は飾りではなく物理計算の結果です。プランクの法則で各波長の放射強度を求め、CIE等色関数で積分して三刺激値XYZを得て、xy色度に変換し、最後にsRGBへ写しています。6500Kでほぼ白(D65相当)になるのは、この変換が正しく働いている証拠です。

会話で学ぶ色温度とプランク軌跡

🙋
色温度って「温度が高いほど暖かい色」じゃないんですか?数字だけ見ると逆な気がして混乱します。
🎓
それ、みんな最初につまずくところだ。色温度は「炎の熱さ」じゃなくて「黒体を何度に熱したらこの色に見えるか」を表している。鉄を熱すると赤→橙→白→青白と変わるだろう?だから低温が赤、高温が青白なんだ。ろうそく1900Kは暖色だけど温度としては低い、ってことになる。
🙋
なるほど。じゃあ色度図に出てくる黒い曲線、プランク軌跡って何ですか?
🎓
黒体の色を温度ごとに色度図に打って、点をつないだ線だよ。スライダーを動かすと白い点がこの線の上を滑るだろう?右下の赤いあたりが低温、左上の青いあたりが高温だ。実際の照明の色がこの線からどれだけ離れているかで「緑っぽい」「マゼンタっぽい」も分かる。
🙋
暖色と寒色ってどこで切り替わるんですか?うちの照明は「昼白色」って書いてあるんですけど。
🎓
照明の慣習だと、ざっくり3300K以下が電球色(暖色)、3300〜5000Kが白〜昼白色の中間、5000K以上が昼光色(寒色)だ。昼白色は5000K前後で、ちょうど中間。暖色はリビングや寝室、寒色はオフィスや勉強机に向く、と覚えておくと実用的だよ。
🙋
LEDの箱に「色温度6500K」って書いてあっても、黒体とは違う光ですよね?
🎓
いいところに気づいた。LEDや蛍光灯はプランク軌跡から少しずれている。そこで「一番近い黒体の温度」を相関色温度(CCT)として表示するんだ。だから同じ6500K表示でも、軌跡からの偏差Duvが違えば緑っぽく見えたり紫っぽく見えたりする。照明設計ではCCTとDuvの両方を見るのが鉄則だ。
🙋
じゃあこのツールの色をそのまま製品の色味として信じていいですか?
🎓
教育・一次検討にはとても良い。ただし画面のsRGBはガンマや白点の取り方で誤差が出るし、実物の見えはモニタ較正や周囲光にも左右される。厳密な色管理が要るなら、分光測定値とCIE規格、メーカーのビニング情報で最終確認してくれ。

実世界での応用

照明設計:住宅は暖色(2700〜3000K)でくつろぎを、オフィスや工場は寒色(5000〜6500K)で覚醒度と作業精度を高めます。色温度を意図的に使い分けます。

写真・映像のホワイトバランス:撮影光源の色温度を合わせないと、写真が黄ばんだり青ずんだりします。プランク軌跡の知識がそのまま補正の基礎になります。

ディスプレイ・印刷の色管理:白点D65(約6500K)は多くのモニタ規格の基準。色度座標で機器間の色を揃えます。

天文学:星の色温度(スペクトル型)から表面温度を推定します。青白い星ほど高温です。

よくある誤解と注意点

「色温度が高い=明るい」ではありません。色温度は色味、明るさ(ルクス・ルーメン)は別の量です。

純粋な黒体の色温度と、軌跡から外れた光源のCCTは厳密には別物です。CCTだけでなく偏差Duvも確認します。

画面色は近似です。sRGB色域外(特に飽和した青や緑寄り)は正確に再現できず、丸め込まれます。

関連する工学分野

放射伝熱(黒体放射・ステファンボルツマンの法則)、測光・測色(CIE測色学)、照明工学、色彩工学、天体物理学(恒星スペクトル)。

発展的な学習のために

等色関数の実測テーブル(CIE 1931 2°観測者)と本ツールの解析近似の差、CCTのRobertson法やマクアダム楕円、CRI(演色評価数)と色温度の関係へと進むと、照明・色管理の実務に直結します。

よくある質問

色温度とは、ある光源の色味を「同じ色に見える黒体の絶対温度(K)」で表したものです。黒体を熱すると低温の赤から、橙、白、最後は青白へと色が変化します。ろうそく約1900K、白熱電球約2700K、昼光約5500K、曇天約6500K、青空約10000Kが目安です。温度が上がるほど青みが増し、逆に低いほど赤みが強くなります。
黒体の色をCIE xy色度図上に温度ごとにプロットしてつないだ曲線がプランク軌跡です。本シミュレーターでは温度を掃引すると、動作点がこの曲線に沿って赤から青白へ滑らかに移動します。実在の光源の色がこの軌跡からどれだけ離れているか(偏差Duv)を見ることで、暖色寄り・寒色寄り・緑/マゼンタ寄りを判断できます。
照明の慣習では、約3300K以下を電球色(暖色)、約3300〜5000Kを白色〜昼白色(中間)、約5000K以上を昼光色(寒色)と呼びます。暖色は赤みがありリラックス用途に、寒色は青みがあり作業空間や集中用途に向きます。本ツールの記述子は温度に応じて暖色/中間/寒色を自動表示します。
完全な黒体はプランク軌跡上にあり色温度がそのまま決まります。一方、LEDや蛍光灯のように軌跡から少し外れた光源では、最も近い黒体の温度を相関色温度(CCT)として割り当てます。CCTが同じでも軌跡からの偏差(Duv)で見え方が異なるため、照明設計では両方を確認します。

使い方ガイド

  1. 色温度スライダー(または数値欄 tempVal)で1000K〜12000Kを操作。黒体ランプの色とCIE動作点が即座に変わります。
  2. 「一時停止/再生」で自動往復掃引を切り替え。色がプランク軌跡を滑る様子を連続的に観察できます。
  3. プリセット(ろうそく1900K/白熱電球2700K/昼光5500K/曇天6500K/青空10000K)で代表的な光源の色味へワンタップで移動。

具体的な計算例

6500K(曇天・D65相当)を選ぶと、プランクの法則で求めたスペクトルをCIE等色関数で積分した結果、色度はおよそ x=0.313, y=0.324 となり、ほぼ無彩の白(sRGBで概ね 255,249,254)になります。これは標準白点D65(x=0.3127, y=0.3290)と良く一致します。2700K の白熱電球ではピーク波長が約1.07μm(赤外)で、可視域では赤〜橙が優勢になり、記述子は「暖色」を表示します。

実務での注意点

  1. 画面に表示されるsRGB色は近似です。モニタ較正・周囲光・色域外クリップにより実物の見えとは差が出ます。厳密な色管理には分光測定が必要です。
  2. LED・蛍光灯はプランク軌跡から外れるため、表示は相関色温度(CCT)になります。CCTが同じでも偏差Duvが違えば見えが変わるので両方を確認してください。
  3. 色温度は色味の指標であり、明るさ(照度・光束)や演色性(CRI)とは独立です。照明選定ではこれらを別々に評価します。