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機械設計

ボルト継手設計計算機

ボルト等級・径・締付けトルクを入力すると軸力・疲労安全率・剪断強度をリアルタイム計算。グッドマン線図で疲労余裕度を可視化します。

ボルト仕様
N·m
kN
計算結果
締付け軸力 (kN)
分離安全率
剪断耐力 (kN)
疲労安全率
可視化
理論・主要公式

$$T = K \cdot d \cdot F_i \quad \Rightarrow \quad F_i = \frac{T}{K \cdot d}$$

締付けトルク式。T:トルク [N·m]、K:トルク係数(≈0.2)、d:呼び径 [m]、F_i:軸力 [N]

$$\sigma_b = \frac{F_i + \Phi \cdot F_{ext}}{A_s}, \quad \tau = \frac{0.5\,F_i}{A_s}$$

ボルト軸応力 σ_b と締付けせん断応力 τ。A_s:応力断面積 [mm²]、Φ:荷重分担率

$$\frac{\sigma_a}{S_e} + \frac{\sigma_m}{S_{ut}} \leq \frac{1}{\text{SF}} \quad (\text{Goodman})$$

修正グッドマン線。σ_a:応力振幅、σ_m:平均応力、S_e:疲労限度、S_ut:引張強さ [MPa]

ボルト継手設計計算機とは

🙋
ボルトを「締め付けるトルク」と、ボルトに発生する「引っ張る力(軸力)」って、どうやって関係づけて計算するんですか?
🎓
大まかに言うと、$F = T / (K \cdot d)$ という式で計算できるんだ。ここで$F$が軸力、$T$が締付けトルク、$d$がボルトの直径だね。$K$は「トルク係数」で、ナットやボルト頭の下面の摩擦などで決まる値だ。このシミュレーターでは、上の「強度区分」と「呼び径」を選び、「締付けトルク」のスライダーを動かすと、リアルタイムで軸力が計算されるよ。例えばM10のボルトに30 N·mで締めると、約15kNの力が発生するんだ。
🙋
え、そうなんですか!でも、ボルトって「10.9」とか「4.6」とか書いてありますよね。あの数字の意味と、この計算はどう関係するんですか?
🎓
良いところに気が付いたね。あの「強度区分」はボルトの材料強度を表しているんだ。「10.9」なら、引張強さが10×100=1000MPa、降伏点が1000×0.9=900MPaって意味だよ。このツールで強度区分を変えると、許容応力や降伏点が変わるから、同じトルクで締めても「安全率」が大きく変わってくる。8.8から10.9に変えてみると、安全率が大きく上がるのが確認できるはずだよ。
🙋
なるほど!あと、「グッドマン線図」って出てきますけど、あれは何のためですか?ボルトを締めた後、機械が動いて外力が加わるときの話ですか?
🎓
その通り!締め付けで発生した軸力は「平均応力」として働く。そこにエンジンの振動や繰り返し荷重のような「応力振幅」が加わると、ボルトは疲労で破断するリスクがある。グッドマン線図は、その平均応力と応力振幅の組み合わせが安全かどうかを判断するための図だ。このツールでは、「外部引張力」と「荷重係数」を設定すると、点がプロットされて、疲労に対して安全かどうかが一目でわかるようになっているんだ。操作してみて!

物理モデルと主要な数式

締付けトルクからボルトに発生する軸力(引張力)を求める基本式です。トルクの大部分はねじ面や座面の摩擦に消費され、軸力に変換されるのは一部です。

$$ F = \frac{T}{K \cdot d}$$

$F$: ボルト軸力 [N], $T$: 締付けトルク [N·m], $K$: トルク係数 (無次元, 通常0.15〜0.3), $d$: ボルトの呼び径 [m]

疲労破壊を評価するためのグッドマン線図の関係式です。ボルトの締付けによる平均応力と、外力変動による応力振幅の組み合わせがこの線の内側にあれば安全と判定します。

$$ \frac{\sigma_a}{S_e}+ \frac{\sigma_m}{S_u}= \frac{1}{n} $$

$\sigma_a$: 応力振幅 [MPa], $\sigma_m$: 平均応力 [MPa], $S_e$: ボルトの疲労限度 [MPa], $S_u$: ボルトの引張強さ [MPa], $n$: 安全率

よくある質問

Kはねじ面と座面の摩擦状態に依存します。標準的な潤滑状態では0.2前後、無潤滑では0.25〜0.3を推奨します。メーカー指定値があればそれを優先してください。
あります。グッドマン線図は平均応力と応力振幅の関係を評価する簡易手法であり、応力集中や表面処理、環境因子を考慮していません。安全率は1.5以上を推奨します。
ボルトの有効断面積に材料の剪断降伏応力(引張強度の約0.6倍)を乗じて算出します。ただし、ねじ部の応力集中や複数面剪断の場合は別途補正が必要です。
比例しません。トルク係数Kは摩擦により変動し、高トルク域では塑性変形が始まり軸力が頭打ちになります。設計トルクはボルト耐力の70〜80%を上限としてください。

実世界での応用

自動車エンジン・トランスミッション:シリンダーヘッドボルトやコンロッドボルトなど、高温・高振動下で確実に締結力を維持する必要があります。適切な初期軸力と疲労安全率の設計が、エンジン性能と信頼性を決定します。

風力発電設備(タワー・ブレード):巨大な構造物を繋ぐフランジボルトは、風による繰り返し荷重と大きな引張力を受けます。グッドマン線図を用いた疲労評価と、締付け管理が極めて重要です。

鉄道車両・橋梁(構造物):振動や衝撃荷重が継続的に加わる環境です。ボルトの緩み防止と疲労寿命の予測が、保守点検間隔と安全性の基準策定に活用されます。

プラント配管・圧力容器:高温・高圧の流体を封止するフランジ継手では、ガスケットを確実に密封するための最小軸力と、ボルトが降伏しない最大軸力の両方を満たす締付けトルクの設定が必須です。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始める際、特に現場経験の浅いエンジニアが陥りがちな落とし穴がいくつかあります。まず大きな誤解が「トルク係数Kはいつも0.2でいい」という考え方。確かに教科書的には0.2を使いますが、これはあくまで目安。実際には、ボルト・ナットの表面処理(黒皮、亜鉛メッキ、ダクロなど)や潤滑の有無で大きく変わります。例えば、無潤滑の黒皮ボルトでは0.3以上になることも。ツールでK値を変えてみると、同じトルクでも軸力が30%以上も違ってくるのが分かります。設計では、実際に使用する条件に近いK値を選ぶことが肝心です。

次に、「安全率が1.5以上あれば絶対安全」という過信。このツールで計算される安全率は、静的な引張りに対するものです。しかし現場では、横方向のせん断力や、熱による膨張差、ゆるみが発生します。例えば、エンジンの排気マニホールドボルトは高温で部材が膨張し、ボルトに想定外の追加応力がかかります。静的安全率が十分でも、これらの複合要因で破断やゆるみが起きることは珍しくありません。ツールの結果は第一歩の確認と捉え、実際の使用環境を考慮した多面的な検討が必要です。

最後に、グッドマン線図の使い方。「点が線の内側に入っていればOK」とだけ覚えがちですが、ここで使われる疲労限度Seは「完全に鏡面研磨された試験片」の値であることがほとんどです。実際のボルトにはきずやねじ山の応力集中があるため、実質的な疲労強度はカタログ値より大幅に低くなります。例えば、疲労限度をツールの値から20〜30%減らして評価するなど、保守的な見積もりを心がけましょう。

使い方ガイド

  1. ボルト等級(M10、M12、M16など)と材質(鋼、ステンレス)を選択し、公称断面積を確認する
  2. 締付けトルク値(Nm単位)を入力し、トルク係数k=0.15~0.2を設定して軸力を算出する(F=T/(k×d))
  3. 外部荷重と応力集中係数φを入力し、グッドマン線図によって疲労安全率Nfを計算する
  4. せん断強度と引張強度の余裕度を確認し、設計の妥当性を判定する

具体的な計算例

M12ボルト(鋼、Sy=235 MPa、Sut=400 MPa)にトルク80 Nmを適用する場合:軸力F=80/(0.18×12)≒370 kNとなり、初期応力σ0=370/(113mm²)≒3.3 MPaが発生します。外部荷重60 kNが加わり、k_f=0.85の疲労強度低減係数を適用するとNf≒2.1となり、自動車エンジンベッド部の設計基準1.5を超過して合格です。

実務での注意点