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材料科学 / 結晶解析

X線回折(XRD)計算ツール

要点(クイックアンサー)
XRD のブラッグ条件は 2d·sinθ=λ、面間隔は d_hkl=a/√(h²+k²+l²)。ピーク幅から結晶子径をシェラー式 L=Kλ/(B·cosθ) で見積もります。

結晶構造(FCC/BCC/SC/HCP/ダイヤモンド)とX線波長を選び、許容反射・d間隔・2θ・Scherrer幅をリアルタイム計算。回折パターンを可視化。

結晶構造パラメータ
結晶構造
格子定数 a (Å)
Å
X線源
X線源 / λ (Å)
Scherrer ブロード化
結晶子サイズ L (nm)
nm
XRDスキャン・アニメーション(ブラッグ条件の可視化)
走査角 2θ (°)
d = λ/(2sinθ) (Å)
点灯した反射 hkl
波長 λ (Å)
入射X線 回折X線 格子面 / XRDパターン
計算結果
最強ピーク 2θ (°)
d-spacing (Å)
有効ピーク数
ピーク幅 B (°)
XRDパターン
#hkld (Å)2θ (°)B (°)強度
理論・主要公式

Bragg の法則:$2d_{hkl}\sin\theta = \lambda$

面間隔(立方晶):$$d_{hkl}=\frac{a}{\sqrt{h^2+k^2+l^2}}$$

Scherrer式:$$B = \frac{K\lambda}{L\cos\theta}$$(K=0.9)

X線回折(XRD)計算ツールとは

🙋
「X線回折で結晶構造がわかる」って聞くけど、どうやって見分けるんですか?例えば鉄とアルミの回折パターンって、このツールで再現できますか?
🎓
大まかに言うと、回折ピークが現れる角度の組み合わせが、結晶構造の「指紋」になるんだ。例えば、体心立方格子(BCC)の鉄と面心立方格子(FCC)のアルミでは、現れるピークの数と位置が大きく異なる。ツールの「結晶構造」をFCCとBCCで切り替えて、同じ格子定数で計算してみると、その違いが一目瞭然だよ。
🙋
え、そうなんですか!「許容反射」って欄がありますけど、これが現れるピークの条件なんですね。でも、なぜFCCだと(100)面の反射は現れないんですか?
🎓
良いところに気づいたね。それは単位胞の中の原子の配置、つまり「構造因子」がゼロになるからだ。FCC構造では、h, k, lが全部奇数か全部偶数の時だけ回折強度が生まれる。だから(100)(1,0,0)は許されない。ツールで「結晶構造」をSC(単純立方)にすると、(100)が現れるのが確認できるよ。これが構造解析の基本だ。
🙋
なるほど!下のグラフのピークの幅も、結晶子サイズLを変えると変わりますね。この「幅」から何がわかるんですか?
🎓
その通り。ピークがブロード(幅広)になるほど、結晶子(微結晶)のサイズが小さいことを意味する。これがScherrer(シェラー)式の応用だ。ツールで「結晶子サイズ L」のスライダーを、例えば100nmから10nmに小さくしてみて。回折角2θが大きい高角度のピークほど、幅が大きく広がるのが観察できるはずだ。実務では、ナノ材料の粒子径評価に頻繁に使われる手法さ。

よくある質問

選択した結晶構造に対して、許容反射条件(FCCならh,k,lがすべて奇数またはすべて偶数など)を満たすミラー指数が存在しない場合があります。また、波長や格子定数の値が極端に小さい・大きいと、計算される2θが表示範囲外になることもあります。入力値をご確認ください。
Scherrer幅は、結晶子サイズ(微結晶の大きさ)による回折ピークの広がりを表す値です。計算式は B(2θ) = Kλ / (L cosθ) で、Kは形状因子(通常0.9)、λはX線波長、Lは結晶子サイズ(nm)です。本ツールではLを仮定値として入力し、ピークの半値幅をリアルタイムで算出します。
主な原因として、実際の試料の格子定数がツールのデフォルト値と異なることが挙げられます。また、X線波長の設定(Cu Kαなら1.5406 Åなど)が正しいか確認してください。さらに、試料のオフセットやゼロ点補正の有無も影響します。
HCPでは、立方晶と異なり面間隔の計算式が複雑で、格子定数aとcの両方が必要です。また、許容反射条件はh+2k=3nかつlが偶数など、構造因子に依存します。ツールでは自動的に判定しますが、c/a比が理想値(1.633)から大きく外れると、ピーク位置が標準パターンと異なる場合があります。

実世界での応用

新材料開発・同定:合成した未知の粉末試料のXRDパターンを測定し、データベースと照合したり、このツールのような計算結果と比較することで、物質の同定や結晶構造の確認を行います。例えば、新しい電池材料の純度評価に不可欠です。

ナノ材料の特性評価:Scherrer式を用いて、ナノ粒子や薄膜の結晶子サイズを評価します。触媒材料では、粒子サイズが性能に直結するため、XRDによるサイズ測定は標準的な手法です。

残留応力測定:結晶に応力がかかると格子定数が変化し、回折ピークの角度がシフトします。このシフト量を精密に測定することで、材料内部の残留応力を非破壊で評価できます。溶接部の検査などで応用されます。

薄膜の構造解析:基板上に成長した薄膜の結晶方位や格子定数を評価します。半導体デバイス製造では、エピタキシャル成長した薄膜の品質管理にXRDが広く用いられています。

よくある誤解と注意点

このツールを使い始めるとき、いくつかつまずきやすいポイントがあるから気をつけてね。まず「格子定数aと結晶子サイズLを混同する」ケース。格子定数は原子同士の距離(単位胞の大きさ)で、Å(オングストローム)単位。一方、結晶子サイズLは、単結晶のように秩序だった領域がどこまで続いているかの「広がり」で、通常はnm(ナノメートル)単位だ。例えば、格子定数が約3.6Åのアルミニウムでも、ナノ粒子ならLは10nm(=100Å)程度と、全く異なるスケールなんだ。

次に「Scherrer式は万能ではない」という点。ツールでLを小さくするとピーク幅が広がるのは確かだけど、実測の幅は「結晶子サイズ」以外にも、装置の分解能や結晶の歪み(ひずみ)の影響を強く受ける。だから、実験データからLを逆算する時は、装置関数の補正や、複数のピークから歪みの影響を分離する「Williamson-Hallプロット」といった手法が必要になることが多いよ。

最後に、「計算される2θは理想値」であることを忘れないで。実際の測定では、試料の吸収や表面の粗さ、オフセットなどでピーク位置が数0.1°ずれることはザラ。同定作業では、ピークの「相対的な位置関係のパターン」を重視しよう。例えばFCC構造で、計算上(111)ピークと(200)ピークの2θの比がどうなるか、といった大局的な見方を身につけることが実務では役立つんだ。

使い方ガイド

  1. 結晶系(FCC/BCC/HCP)を選択し、格子定数aを2.5~6.0Åの範囲で入力またはスライダで調整
  2. HCP構造の場合はc軸長さc(3.0~10.0Å)を指定し、X線波長λ(CuKα=1.5406Åが標準)を設定
  3. Braggの法則(nλ=2d sinθ)からd間隔と2θ角がリアルタイムに算出され、回折ピークを検出表示
  4. 有効ピーク数とピーク幅Bから結晶性と粒子サイズ(Scherrer式:D=Kλ/Bcosθ)を評価

具体的な計算例

Fe-Feγ系鋼(FCC構造、a=3.65Å)にCuKα(λ=1.5406Å)を照射した場合、(111)面のd間隔は3.65/√3=2.108Åとなり、2θ=2arcsin(1.5406/(2×2.108))≈42.9°でピークが現れます。(200)面はd=a/2=1.825Åで2θ=49.9°、(220)面はd=1.291Åで2θ=73.3°に出現。粒子サイズ50nmの場合、(111)ピーク幅B≈0.17°となり、Scherrer定数K=0.9を用いた計算と一致します。

実務での注意点

準拠規格・前提条件

準拠/参考: ブラッグの法則 \(n\lambda = 2d\sin\theta\)(本ツールは \(n=1\))。立方晶 \(d=a/\sqrt{h^2+k^2+l^2}\)、六方晶 \(1/d^2=\tfrac{4}{3}(h^2+hk+k^2)/a^2+l^2/c^2\)。結晶子サイズは Scherrer 式 \(B=K\lambda/(L\cos\theta)\)、\(K=0.9\)(Cullity ほか)。

モデルの前提: 完全結晶・運動学的回折。消滅則(FCC・BCC・ダイヤモンド・HCP)で許容反射を判定。強度は多重度・簡略 Lorentz-偏光因子・近似原子形状因子による相対値で、絶対強度ではない。

適用範囲・限界: ピーク位置(\(2\theta\)・\(d\))は標準どおり高精度。強度・ピーク幅は教育用の近似で、熱振動(Debye-Waller)・選択配向・装置広がりは未考慮。リートベルト解析等の定量には専用ソフトを使用のこと。

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