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FPV・ビデオ伝送

FPV ドローン 映像遅延・FPS バジェット シミュレーター

FPV ドローンの映像遅延(センサー→エンコーダ→電波→デコーダ→ディスプレイ)と必要帯域、距離マージン、操縦者の総反応時間をリアルタイムで見積もるツールです。アナログ 5.8GHz・DJI O3・HDZero・Walksnail Avatar を切り替えて、Race/Freestyle/Cinematic/Casual のどのクラスに収まるか確認できます。

パラメータ設定
映像伝送方式
エンコーダ遅延・最大距離・ノイズ耐性のプリセット
カメラ解像度
p
FPS
fps
エンコーダビットレート
Mbps
送信機側で設定する目標ビットレート
送受信距離
m
アンテナ利得
dBi
受信側パッチ/ヘリカルなどの利得
操縦者反応時間
ms
単純反射の代表値(人間 200〜300ms)
計算結果
センサー遅延 (ms)
エンコーダ遅延 (ms)
全体遅延 (ms)
操縦者総反応 (ms)
必要帯域 (Mbps)
FPV 用途区分
映像信号経路 — ドローン → ゴーグル

カメラ → エンコーダ → 電波 → ゴーグル → 操縦反応の各遅延を、グラスtoグラスのバーで可視化します。色は Race(緑)/Freestyle(青)/Cinematic(橙)/Casual(赤)に対応。

全体遅延 vs FPS
4方式比較 — エンコーダ遅延と最大距離
理論・主要公式

$$t_{\text{total}} = t_{\text{sensor}} + t_{\text{enc}} + t_{\text{tx}} + t_{\text{dec}} + t_{\text{disp}}$$

glass-to-glass の全体遅延。$t_{\text{sensor}}=1000/\text{FPS}$(露光1フレーム)、$t_{\text{disp}}=1000/(2\,\text{FPS})$(走査半フレーム)、$t_{\text{tx}}=d/c$(電波伝搬)。

$$\text{BW}_{\text{req}} = \frac{p^{2}\cdot\frac{16}{9}\cdot\text{FPS}\cdot k}{10^{6}}\,[\text{Mbps}]$$

必要帯域。$p$:解像度(縦ライン数)、$k$:圧縮係数(H.265 相当で 0.5)。

$$\text{LB}_{\text{dB}} = -30 + G_{\text{ant}} - 20\log_{10}(d/100)$$

簡易リンクバジェット。距離 $d$(m)の対数で減衰し、アンテナ利得 $G_{\text{ant}}$(dBi)で持ち上がる。$\text{rangeMargin}=d/d_{\max}$ が 1 を超えると圏外。

FPV ドローン 映像遅延・FPS バジェット シミュレーターとは

🙋
FPV ドローンって「映像遅延が大事」ってよく聞くんですが、具体的にどこで遅れてるんですか?電波が遅いってこと?
🎓
電波そのものは光速で飛ぶから、2km 飛ばしても 7μs(0.007ms)しかかからない。実は遅延の主犯は「センサー露光」「エンコーダ圧縮」「ディスプレイ走査」の3つなんだ。例えば 60fps だと 1フレーム 17ms、露光と走査だけで合計 25ms 持っていかれる。さらに H.265 圧縮を挟むと 20〜40ms 追加されて、デジタル方式の全体遅延は 50ms 超になる。だから「アナログは古いけど低遅延でレース最強」と言われるんだよ。
🙋
じゃあ FPS を上げれば遅延も減るんですか?60→120fps にすれば半分くらいに?
🎓
いい質問だね。センサー+ディスプレイ分は確かに半分になる。60fps の 25ms が 120fps では約 12.5ms。だけどエンコーダ遅延(DJI O3 で 45ms など)は FPS にあまり依存しないから、トータルでは「だいぶ減るけど半分にはならない」が現実。上の "全体遅延 vs FPS" グラフを動かしてみるとカーブが寝てくるのが分かるはず。あと 120fps を映すにはゴーグルも 120Hz 対応である必要があって、現状は HDZero/DJI O3 の一部モードに限られる。
🙋
ビットレートを 25Mbps にしているんですが、「必要帯域 28Mbps」と出てちょっと足りてないっぽいです。これ大丈夫なんですか?
🎓
必要帯域は「破綻しないために理論的に欲しい量」だから、それを少し下回るとブロックノイズや動きボケが出やすくなる。デジタル FPV だと、近距離は高ビットレートで綺麗に、遠距離になるほど自動で下げてリンクを保つ「適応ビットレート」を使っているのが普通。25Mbps しか出せない伝送系で 1080p60 をやろうとすると、激しい動きで一気に破綻する。なのでこのツールは「設定ビットレート/必要帯域 ≥ 0.9」を目安に、それを切ると warn を出すよ。
🙋
「操縦者総反応 308ms」って結構長くないですか?これ実用上どう考えればいいんでしょう?
🎓
人間の単純反射が約 250ms、それに映像遅延 58ms を足した数字。レース機が時速 120km/h(33m/s)で飛ぶと、308ms は約 10m の移動距離になる。つまり「目で見てからクラッシュ回避を試みると 10m 進んでから舵が効き始める」。だから障害物の間隔が 10m を切るレースコースでは、いかに映像遅延を 20ms 以下に抑えるかが命なんだ。逆に Cinewhoop の空撮ならゆっくり飛ぶから、Cinematic クラス(合計 60ms)でも全く問題ない。用途で許容遅延を決めるのが正解だよ。

よくある質問

FPV の glass-to-glass 遅延は、(1) センサー露光(1/FPS の半分〜1フレーム)、(2) エンコーダ処理、(3) 電波伝搬、(4) デコーダ処理、(5) ディスプレイ走査、の合計で決まります。電波伝搬は数 km でも 0.01ms 程度と無視できる量で、支配的なのはエンコーダ/デコーダとセンサー・ディスプレイのフレーム時間です。アナログ 5.8GHz は圧縮を行わないため合計 25ms 前後、HDZero は超低遅延デジタルで 30ms 弱、DJI O3 や Walksnail は 45〜65ms 程度になります。
本ツールでは合計遅延 20ms 未満を「Race(HDZero)」、20〜40ms を「Freestyle」、40〜80ms を「Cinematic」、80ms 以上を「Casual」と分類しています。レース/パイロン競技では 20ms 以下でないと旋回時のブレーキタイミングが合いません。フリースタイル空撮なら 30〜40ms 程度で十分操作可能、Cinewhoop のような映画的撮影では 60ms 超でも問題ありません。100ms を超えると視覚と操作の乖離で酔いや事故が増えるため、本ツールは ng 判定にします。
必要帯域は概ね「解像度² × 16/9 × FPS × 圧縮係数 / 1e6」で見積もります。本ツールでは圧縮係数 0.5(H.265 相当)を使い、720p60 で約 28Mbps、1080p60 で約 62Mbps となります。設定ビットレートがこの目安を下回るとブロックノイズや動きボケが出やすく、上回ると電波余裕を食って距離限界が下がります。実機では「必要帯域の 0.8〜1.2 倍」を目安に、距離に応じて適応制御するのが現実的です。
映像遅延と操縦者の反射の合計(pilotTotalReaction)は、レース機で 300ms 未満、フリースタイルで 350ms 未満が一つの目安です。人間の単純反応時間は 250ms 前後が標準で、映像遅延が 50ms 増えると同じ反射でも合計が 50ms 悪化します。これは時速 100km/h で約 1.4m の追加移動距離に相当し、近接旋回では確実にクラッシュ要因になります。距離・障害物密度・速度の3点で許容値を決めて下さい。

実世界での応用

ドローンレース/MultiGP:5〜10m 間隔のゲートを時速 150km/h で抜けるレース機では、合計遅延 20ms 以下が事実上の参加条件です。アナログ 5.8GHz か HDZero が主流で、画質より低遅延を優先します。本ツールで HDZero を選び 90fps 以上にすると Race クラスに収まることを確認できます。

フリースタイル空撮:パワーループや橋ダイブのような中速・高 G 機動では、合計遅延 30〜40ms 程度がスイートスポット。DJI O3 や Walksnail でも 60fps 設定なら Freestyle クラスに入り、画質と操縦性のバランスが取れます。GoPro 等の本記録カメラとは別系統で FPV 映像を扱うのが定番です。

Cinewhoop/空撮ドローン:映画的なゆっくりした動きを撮るシネ機では、Cinematic クラス(40〜80ms)で十分。むしろ画質と長距離リンクが優先で、DJI O3 の 1080p60/50Mbps を選ぶケースが多くなります。低遅延より「電波が落ちないこと」と「色再現」を本ツールで確認します。

業務用点検・捜索ドローン:橋梁・送電線・山岳遭難の捜索では、距離マージンと電波余裕が最優先。アンテナ利得を 12dBi 以上に上げ、距離 5〜10km での rangeMargin を 1 未満に保てるかを本ツールで事前検討します。100ms を超える遅延でも、ホバリング主体なら実用に耐えます。

よくある誤解と注意点

最大の誤解は「電波の伝搬遅延が映像遅延の主犯」という思い込みです。電波は真空中で光速で進むため、5km 離れていても 17μs(0.017ms)しか掛かりません。実際の遅延は「センサー露光」「H.264/265 エンコード」「ゴーグルの走査」が支配的で、特にデジタル方式はエンコーダで 30〜60ms 食います。本ツールの内訳で確認できるとおり、距離を 100m→10km にしても合計遅延はほぼ変わりません。距離で変わるのは「リンクバジェット(電波余裕)」と「ノイズ耐性」であって、遅延ではない、と覚えて下さい。

次に「FPS を上げれば全部良くなる」という単純化。確かにセンサーとディスプレイの遅延は 1/FPS に比例して減りますが、エンコーダ遅延は固定オーバーヘッドが大きく、120fps にしても合計遅延は半分にはなりません。むしろ FPS を上げると必要帯域が比例して増えるため(120fps は 60fps の倍)、設定ビットレートが追いつかずブロックノイズが多発するという逆効果も起きます。120fps を活かすには「対応カメラ」「対応ゴーグル」「十分なビットレート」の3点が揃っている必要があります。

最後に「自分は反射が早いから 100ms の遅延でも大丈夫」という過信。人間の単純反射の限界は 200ms 前後で、訓練しても 180ms を切ることはほぼ不可能です。映像遅延が 100ms 加わると pilotTotalReaction は 300ms を超え、時速 100km/h で 8m 以上の追加移動距離になります。近接ゲートを抜けるレースでは確実にクラッシュ要因です。映像遅延は「自分の反射速度に上乗せされる物理量」だと理解して、低遅延機材への投資を惜しまないことをお勧めします。

使い方ガイド

  1. カメラ解像度(1080p / 720p / 480p)とフレームレート(120fps / 60fps / 30fps)を選択してセンサー遅延を決定します
  2. エンコーダ方式(H.264 / H.265 / ProRes)と目標ビットレート(Mbps)を入力し、圧縮による追加遅延を計算します
  3. 送信距離(m)と電波経路環境を指定すると、5.8GHzアナログ・DJI O3・HDZero・Walksnail各方式の伝播遅延が自動算出され、操縦者の総反応時間(センサー→デコード→ディスプレイ表示までの合計)が ms 単位で表示されます

具体的な計算例

1080p 120fps H.264エンコード(ビットレート25 Mbps)・距離200mの場合:センサー遅延8.3ms + エンコーダ遅延12ms + 5.8GHzアナログ伝播遅延6.7ms + デコーダ遅延3ms = 全体遅延30ms となり、操縦者総反応時間は約80ms(視認反応50msを加算)に達します。一方HDZero(低遅延モード)では同条件で全体遅延が18msに短縮され、Race用途に適します。必要帯域はDJI O3で50 Mbps、5.8GHzアナログで25 Mbpsと異なります。

実務での注意点