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解析ツール

電磁シールド効果計算ツール

材料・板厚・周波数を選択するだけで、表皮深さ、吸収損失、反射損失、総 SE(dB)をリアルタイム計算。周波数特性グラフで複数材料の遮蔽性能を直感的に比較でき、EMC 設計の判断を加速します。

材料・寸法
板厚 t (mm)
mm
周波数 log₁₀(f)
計算結果
表皮深さ δ (mm)
吸収損失 A (dB)
反射損失 R (dB)
総 SE (dB)
周波数特性
材料内の表皮深さ
理論・主要公式
表皮深さ:$\delta = \sqrt{\dfrac{2\rho}{\omega\mu}}$ (m)
吸収損失:$A = 8.686\,t/\delta$ (dB)
反射損失:$R = 168 - 10\log\!\left(\dfrac{f\mu_r}{\sigma_r}\right)$ (dB)
$SE = A + R$ (A > 15 dBのとき B ≈ 0)

電磁シールド効果計算ツールとは

🙋
電磁シールドって、金属の箱に入れると電波が通らなくなるということですよね?でも、どうやってその「通らなさ」を計算するんですか?
🎓
大まかに言うと、遮蔽効果(SE)は「吸収損失A」と「反射損失R」の足し算で決まるんだ。上のシミュレーターで「シールド材料」を銅からアルミに変えてみて。同じ厚さでも、周波数特性グラフのSEの線がどう変わる?
🙋
え、アルミに変えたら、低い周波数でSEが少し下がりました!銅の方がよく遮るんですね。でも、高い周波数になると差が小さくなるみたいです。なんでですか?
🎓
その通り!低周波域では反射損失が支配的で、銅はアルミより電気伝導率が高いからRが大きいんだ。でも高周波になると、電磁波は表面しか通らなくなる(表皮効果)。この「表皮深さ」が材料と周波数で決まるんだよ。板厚tのスライダーを動かして、厚くするとどうなる?
🙋
板厚を増やすと、特に高い周波数でSEがガツンと上がります!低い周波数はあまり変わらない…。これは「吸収損失A」が効いてるということですか?現場ではどうやって材料と厚さを決めてるんですか?
🎓
鋭いね!高周波では吸収損失がメインになる。実務では、遮りたい周波数帯域とコスト・重量のトレードオフで決めるんだ。例えばスマホの筐体は軽さ優先で薄いアルミ、電源ノイズ対策には安価な鋼板、微弱な磁気センサーの保護には高価だが強力なミューメタル、といった感じだね。

よくある質問

はい、その通りです。総SE(シールド効果)はdB値で表され、値が大きいほど電磁波を減衰させる性能が高いことを示します。例えば、40dBであれば入射電磁波の99%を減衰、60dBであれば99.9%を減衰する目安です。ただし、実際の効果は設置状態や開口部の影響も受けるため、参考値としてご活用ください。
材料選択欄で比較したい材料を複数選択(Ctrlキーを押しながらクリック)すると、グラフ上に各材料の周波数特性が色分けされて表示されます。これにより、特定の周波数帯域でどの材料が最も高いシールド効果を持つかを一目で比較できます。選択を解除するには、Ctrlキーを押しながら再度クリックしてください。
その通りです。表皮深さが板厚より大きいと、電磁波が材料を透過しやすくなり、吸収損失が小さくなります。シールド効果を高めるには、板厚を表皮深さの3〜5倍以上にすることが推奨されます。計算結果の表皮深さを参考に、適切な板厚を選んでください。
いいえ、本ツールは理想的な平板モデルに基づく理論計算であり、実際の筐体の継ぎ目や開口部、ケーブルからの漏洩などは考慮していません。シールド材料選定の初期検討や効果の目安を得るための参考値としてご利用いただき、最終的な性能確認は必ず実機でのEMC試験で行ってください。

実世界での応用

電子機器のEMC対策:スマートフォンやノートPCの筐体は、内部回路が発する高周波ノイズが外部に漏れないように、また外部の電波干渉を受けないように、アルミニウムダイカストや導電性塗装でシールドします。シミュレーターで1GHz付近のSEが20-40dBあれば、多くの規格をクリアできます。

医療・測定機器:MRI装置の周辺や、心電図などの生体信号を測定する機器の周りでは、外部の商用周波数(50/60Hz)磁界を遮る必要があります。このような極低周波磁界には、シミュレーターの「ミューメタル」のように比透磁率が非常に高い材料が用いられます。

自動車の電装システム:モーターやインバーターから発生する大きなスイッチングノイズが、ラジオやCAN通信線に悪影響を与えないよう、ケースやケーブルをシールドします。ここではコストと強度から、鋼板がよく使われます。

データセンター・シールドルーム:外部からの強い電磁波(レーダーや無線局)や、内部情報の電磁漏洩を防ぐために、部屋全体を銅板や鋼板で覆います。広い周波数帯域で高いSE(例えば60dB以上)が要求されるため、材料と構造の組み合わせが重要になります。

よくある誤解と注意点

まず、「シールド効果(SE)は大きければ大きいほど良い」という思い込みです。確かに高いSEは理想的ですが、コストや重量、加工性とのトレードオフがあります。例えば、ある機器で要求されるSEが40dBなのに、80dBの設計をすると、ミューメタルを使うなどでコストが跳ね上がります。ツールで目標周波数帯域のSEを確認し、必要十分な材料と厚さを選定する姿勢が大切です。

次に、「材料の特性値は常に一定」と考えてしまう点。シミュレーターで使う導電率や透磁率は、理想的な純度・焼鈍状態の値です。実際のアルミ押出材や鋼板は、合金組成や加工履歴で値がばらつきます。例えば、A5052アルミ合金の導電率は純アルミの約半分です。実設計では、データシートの実測値や安全率を見込む必要があります。

最後に、「継ぎ目や開口部の影響を無視した計算」 は最大の落とし穴です。ツールは均一な平板の性能を計算しますが、実際の筐体には隙間やネジ穴、ディスプレイ窓があります。ここから電磁波は容易に漏洩します。たとえ平板のSEが100dBあっても、1mmのスリットがあれば全体のSEは劇的に低下します。シミュレーション結果は「その材料の潜在能力」と捉え、実機ではシールドの連続性(ガスケットなど)の設計が本番です。

使い方ガイド

  1. 材料選択で銅、アルミ、鉄、ステンレス鋼から導電材を指定
  2. 板厚(mm)を入力:例えば銅箔0.5mm、アルミ板1.5mmなど実装厚さに合わせ設定
  3. 周波数(MHz)を入力:100MHz、1GHz、2.4GHz帯など対象EMI周波数を設定
  4. 計算ボタン押下で表皮深さδ、吸収損失A(dB)、反射損失R(dB)、総SE(dB)が即座に算出
  5. 複数周波数での特性変化をグラフで確認して設計周波数帯域のシール性能を評価

具体的な計算例

銅板厚さ0.5mm、周波数1GHz(1000MHz)の場合:表皮深さδ≈0.0064mm、吸収損失A≈80dB、反射損失R≈75dB、総SE≈155dB。同条件でアルミニウム板厚1.0mmでは表皮深さδ≈0.016mm、A≈65dB、R≈68dB、総SE≈133dB。電子機器筐体では銅メッキ厚さ0.01mm以上、アルミダイカスト厚さ3mm以上でEU RoHS指令の電磁障害要件40dB以上を満たす。高周波回路基板のシールドケース設計では動作周波数の10倍以上でシール性能を検証する必要あり。

実務での注意点