吸収損失:$A = 8.686\,t/\delta$ (dB)
反射損失:$R = 168 - 10\log\!\left(\dfrac{f\mu_r}{\sigma_r}\right)$ (dB)
$SE = A + R$ (A > 15 dBのとき B ≈ 0)
材料・板厚・周波数を選択するだけで、表皮深さ、吸収損失、反射損失、総 SE(dB)をリアルタイム計算。周波数特性グラフで複数材料の遮蔽性能を直感的に比較でき、EMC 設計の判断を加速します。
電子機器のEMC対策:スマートフォンやノートPCの筐体は、内部回路が発する高周波ノイズが外部に漏れないように、また外部の電波干渉を受けないように、アルミニウムダイカストや導電性塗装でシールドします。シミュレーターで1GHz付近のSEが20-40dBあれば、多くの規格をクリアできます。
医療・測定機器:MRI装置の周辺や、心電図などの生体信号を測定する機器の周りでは、外部の商用周波数(50/60Hz)磁界を遮る必要があります。このような極低周波磁界には、シミュレーターの「ミューメタル」のように比透磁率が非常に高い材料が用いられます。
自動車の電装システム:モーターやインバーターから発生する大きなスイッチングノイズが、ラジオやCAN通信線に悪影響を与えないよう、ケースやケーブルをシールドします。ここではコストと強度から、鋼板がよく使われます。
データセンター・シールドルーム:外部からの強い電磁波(レーダーや無線局)や、内部情報の電磁漏洩を防ぐために、部屋全体を銅板や鋼板で覆います。広い周波数帯域で高いSE(例えば60dB以上)が要求されるため、材料と構造の組み合わせが重要になります。
まず、「シールド効果(SE)は大きければ大きいほど良い」という思い込みです。確かに高いSEは理想的ですが、コストや重量、加工性とのトレードオフがあります。例えば、ある機器で要求されるSEが40dBなのに、80dBの設計をすると、ミューメタルを使うなどでコストが跳ね上がります。ツールで目標周波数帯域のSEを確認し、必要十分な材料と厚さを選定する姿勢が大切です。
次に、「材料の特性値は常に一定」と考えてしまう点。シミュレーターで使う導電率や透磁率は、理想的な純度・焼鈍状態の値です。実際のアルミ押出材や鋼板は、合金組成や加工履歴で値がばらつきます。例えば、A5052アルミ合金の導電率は純アルミの約半分です。実設計では、データシートの実測値や安全率を見込む必要があります。
最後に、「継ぎ目や開口部の影響を無視した計算」 は最大の落とし穴です。ツールは均一な平板の性能を計算しますが、実際の筐体には隙間やネジ穴、ディスプレイ窓があります。ここから電磁波は容易に漏洩します。たとえ平板のSEが100dBあっても、1mmのスリットがあれば全体のSEは劇的に低下します。シミュレーション結果は「その材料の潜在能力」と捉え、実機ではシールドの連続性(ガスケットなど)の設計が本番です。
銅板厚さ0.5mm、周波数1GHz(1000MHz)の場合:表皮深さδ≈0.0064mm、吸収損失A≈80dB、反射損失R≈75dB、総SE≈155dB。同条件でアルミニウム板厚1.0mmでは表皮深さδ≈0.016mm、A≈65dB、R≈68dB、総SE≈133dB。電子機器筐体では銅メッキ厚さ0.01mm以上、アルミダイカスト厚さ3mm以上でEU RoHS指令の電磁障害要件40dB以上を満たす。高周波回路基板のシールドケース設計では動作周波数の10倍以上でシール性能を検証する必要あり。