陽解法FDM $T_i^{n+1}= T_i^n + r(T_{i+1}^n - 2T_i^n + T_{i-1}^n)$($r = \alpha\Delta t/\Delta x^2 \leq 0.5$)による1次元熱伝導をリアルタイムアニメーション。
電子機器・半導体の熱設計:CPUやパワー半導体の発熱は、基板やヒートシンクを通じてどう拡散・放熱されるかが信頼性の鍵です。有限差分法は構造が比較的単純な部分の温度分布を素早く評価するのに使われ、過熱による故障を防ぎます。
建築物の断熱性能評価:壁の内部での熱の伝わり方をシミュレーションします。外気温の変化に対して、室内の温度がどのくらい遅れて反応するか(熱容量の効果)や、断熱材の効果を予測するのに利用されます。
地中熱利用システムの設計:地面の中に埋設したパイプ(地中熱交換器)の周りの温度場を解析します。季節による地温の変化や、熱の汲み上げ・蓄熱が周囲の地盤に与える影響を評価する基礎技術となります。
鋳造・熱処理プロセスの最適化:金属を鋳型に流し込んだ後や、焼入れ熱処理中のワーク内部の温度履歴を推定します。冷却速度が材料の微細組織や硬度に直結するため、品質を均一に保つための重要な工程設計ツールです。
まず、「熱拡散率α」と「熱伝導率k」を混同しないでください。シミュレーターで直接触るのは熱拡散率αですが、実務では材料カタログに載っているのは熱伝導率kのことが多いです。両者の関係は $\alpha = k / (\rho c_p)$ です。例えば、銅は熱伝導率が高い(約400 W/mK)のでαも大きくなり、熱が速く広がります。逆に、発泡スチロールは熱伝導率が低いのでαも小さく、熱がこもります。パラメータ設定時には、密度ρと比熱$c_p$もセットで考える必要があるんです。
次に、「グリッドサイズΔxと時間ステップΔtは独立に選べない」という点。安定条件 $r \le 0.5$ は、Δtを小さくするか、Δxを大きくすることで守れます。例えば、Δxを1mmから0.5mmに細かくすると、空間分解能は上がりますが、その分Δtを4分の1にしないとrが大きくなりすぎてしまいます。結果、同じ実時間をシミュレーションするのに必要な計算ステップ数が爆発的に増え、計算時間がかかる。実務では「精度」と「計算コスト」のトレードオフを常に意識しましょう。
最後に、境界条件の「ロビン条件」の熱伝達率hは状況で大きく変わること。本ツールの対流境界はビオ数 Bi=10 に固定していますが、実際の熱伝達率hは自然対流(空気中で約5〜25 W/m²K)なのか、強制対流(ファンがあれば約25〜250 W/m²K)なのか、はたまた水冷(約500〜10000 W/m²K以上)なのかで桁が違います。ここを現実とかけ離れた値にすると、せっかくのシミュレーション結果が現実を全く反映しなくなってしまうので、文献や実験値でしっかり確認することが不可欠です。
長さ100mm、α=15mm²/sの鋼板を、片端固定温度500°C・反対端300°Cで解析。Δx=5mm のとき時間刻みは安定条件から自動で Δt=0.45·Δx²/α=0.75s に設定され、安定数 r=αΔt/Δx²=0.45(stat card「フーリエ数 r」)となります。十分にステップを進めると中央部は約400°Cに収束します(無次元時間 Fo=αt/L² が概ね 0.2 を超えたあたり)。アルミ(α=90)では熱拡散が速く、同じ Fo に達するまでの実時間が短くなります。