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流体工学

ジェットポンプ(エジェクタ)シミュレーター

動力流体の高圧ジェットで二次流体を吸引するエジェクタの動作をリアルタイム可視化。エントレインメント比・圧縮比・効率をスライダーで即座に計算します。

パラメータ設定

計算結果
エントレインメント比 M
圧縮比 Cr
効率 η (%)
総流量 Qt (L/s)
エジェクタ断面図(流れ可視化)
圧力分布(軸方向)
圧力
P-Q 特性曲線
ポンプ性能曲線 P-Q
理論・主要公式
: $M = Q_d / Q_m$
圧縮比: $C_r = (P_b - P_s)/(P_m - P_b)$
効率: $\eta = M \times C_r$
運動量保存: $\rho Q_m V_m = \rho (Q_m+Q_d) V_{mix}$

ジェットポンプ(エジェクタ)とは

🙋
ジェットポンプって、モーターも羽根車もないのにどうやって水を吸い上げるんですか?
🎓
大まかに言うと、水道のホースで勢いよく水を流すと、周りの空気が引っ張られてくる現象を利用してるんだ。このシミュレーターで、上の「動力流体圧力」のスライダーを最大にしてみて。ノズルから噴射される流体(青色)の勢いが増して、周りの流体(オレンジ色)をぐいっと巻き込むのが見えるよね。これが基本原理だ。
🙋
え、そうなんですか!で、画面に出てくる「エントレインメント比」って何の数字ですか?
🎓
「どれだけお得に働いてるか」の指標だよ。例えば、動力流体が1リットル流れた時に、何リットルの二次流体を巻き込めたか、の比率だ。実務ではこの値が大きいほど省エネで高性能。今、「吸込圧力」を下げてみて。二次流体が吸い込まれやすくなって、エントレインメント比が上がるはずだ。
🙋
なるほど!でも、巻き込むだけでなく、適切に圧力を上げて送り出さないとダメですよね?「圧縮比」がそれですか?
🎓
その通り!「どれだけ圧力を上げられたか」を表すのが圧縮比だ。例えば、工場の排水を少し高い場所に戻す時は、この値が重要になる。シミュレーターで「混合室出口圧力」を上げてみよう。出口が詰まったような状態になるから、二次流体が吸い込みにくくなり、全体の効率(η)が大きく落ちるのがわかる。これが「サージング」に近い現象だ。

よくある質問

動力流体の流量よりも吸引二次流体の流量が少ない状態を示します。通常、吐出圧力が高いほどMは低下する傾向があり、設計点を外れた運転条件や背圧が高い場合に発生します。スライダーで圧縮比を上げるとMが減少する様子を確認できます。
圧縮比Crを大きくすると、二次流体をより高い圧力まで押し上げる必要が生じるため、吸引流量が減少しエントレインメント比Mは低下します。このトレードオフ関係をスライダー操作でリアルタイムに確認し、最適な動作点を見つけることが可能です。
Pmを過度に上げるとノズル出口速度が超音速域に達し、衝撃波やキャビテーションが発生する可能性があります。シミュレーターでは効率が急激に低下する挙動として可視化されます。実機では騒音増大や部品損耗の原因となるため、推奨範囲内での運用が重要です。
化学プラントでの薬液移送、排水処理でのエアレーション、蒸気システムでの真空発生など、流体の吸引・混合・昇圧が必要な幅広いプロセスを想定しています。スライダー調整により、各用途に適した設計パラメータ(流量比・圧力比)を事前に評価できます。

実世界での応用

真空発生装置:工場や実験室で広く使われます。蒸気や圧縮空気を動力流体として用い、容器内の空気を吸い出して真空を作ります。可動部がなくメンテナンスが楽で、爆発性ガスが存在する環境でも安全に使用できます。

水処理・排水移送:下水処理場や工場の排水設備で見られます。高圧の清水(動力流体)で汚水やスラッジを巻き込み、沈殿池から次の工程へ送ります。固形物が詰まりにくい構造が特徴です。

化学プラント:腐食性や毒性のある流体を、他の流体と直接混合させずに移送・循環させるために用いられます。例えば、塩酸を水で希釈しながらタンクから移送するようなプロセスです。

船舶のビルジ水排出:船底に溜まった水(ビルジ水)を排出するのに使われます。エンジンの冷却水などを動力流体として利用し、専用のポンプを設置せずに済むため、装置の簡素化と軽量化が図れます。

よくある誤解と注意点

このシミュレーターを使い始めるとき、いくつか勘違いしやすいポイントがあるよ。まず、「動力流体の圧力さえ上げれば、すべてが解決する」と思いがちだけど、それは落とし穴だ。確かに圧力を上げるとエントレインメント比は一時的に上がるけど、混合室出口圧力(吐出圧力)が変わらないと仮定しているからね。現実のシステムでは、出口側の配管抵抗などで背圧が上がり、すぐに効率が頭打ちになる。例えば、動力流体圧力を5MPaまで上げても、出口圧力が4MPaに張り付いているなら、ほとんど流量が増えないどころか、サージング(不安定振動)の原因になることもあるんだ。

次に、流体はすべて水(同じ物性)だと無意識に考えていないか? このツールは密度や粘度が同じという前提だ。でも実務では、動力流体が蒸気で二次流体が水だったり、油と空気だったりする。物性が違うと混合時の運動量交換効率が大きく変わる。シミュレーターで「うまくいく」と思った設計も、実際に試すと全く吸引しない、なんてことはよくある話だ。

最後に、「エントレインメント比」と「効率η」を混同しないでほしい。エントレインメント比が大きくても、効率が極端に低いことがある。例えば、吸引流量は多いけど、それを押し上げるための動力流体のエネルギー消費が莫大なら、それは「非効率」なんだ。ツールでパラメータをいじる時は、この2つの指標を常にセットで見る癖をつけよう。効率が急降下するポイントが、そのシステムの実用限界だと考えるといい。

使い方ガイド

  1. 動力流体の質量流量(qm)と圧力(pm)を入力します。例えば圧縮空気の場合、qm=5kg/s、pm=0.8MPaが標準的です
  2. 吸込流体の圧力(ps)と背圧(pb)を設定します。水吸上げの場合はps=-0.05MPa(減圧側)、pb=0.1MPaが目安です
  3. シミュレーター上部のスライダーで各パラメータを調整するとリアルタイムでエントレインメント比(混合流量/動力流量)、圧縮比(出口圧力/入口圧力)、混合効率がグラフに表示されます

具体的な計算例

蒸気駆動のジェットポンプで液体窒素を吸上げる場合:動力流体(飽和蒸気)qm=12kg/s、pm=1.2MPa、吸込液体ps=-0.02MPa、背圧pb=0.5MPaを入力すると、エントレインメント比は約2.8、圧縮比は2.1となり、出口は0.84kg/sの吸込流体が加わった14.8kg/sの混合流となります。

実務での注意点