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振動解析

固有振動数計算

梁・板・弦など各種構造の固有振動数を一覧計算。境界条件と形状パラメータから最初の5モードの振動数を導出し、振動モード形状をアニメーション可視化。

構造タイプ
寸法
長さ L [m]1.00
幅 b [m]0.050
高さ h [m]0.010
材料
弾性率 E [GPa]200
密度 ρ [kg/m³]7850
ポアソン比 ν0.30
表示モード
固有振動数 [Hz]

理論式(梁)

$$f_n = \frac{(\beta_n L)^2}{2\pi L^2}\sqrt{\frac{EI}{\rho A}}$$

片持ち: β₁L=1.875, 4.694, 7.855
単純支持: β₁L=π, 2π, 3π
両端固定: β₁L=4.730, 7.853, 11.0

固有振動数計算とは

🧑‍🎓
「固有振動数」って何ですか? このシミュレーターで何がわかるんですか?
🎓
ざっくり言うと、その構造物が「勝手に揺れる時のリズム」だね。例えば、高層ビルが風でユラユラ揺れる、ギターの弦がビーンと鳴る、あの「揺れやすいリズム」が固有振動数だよ。このツールでは、梁や膜の形や材料を変えると、そのリズム(周波数)がどう変わるかがすぐにわかるんだ。上の「長さL」のスライダーを動かしてみて、一番下の「1次固有振動数」の数字がどう変わるか見てごらん。
🧑‍🎓
え、長さを2倍にしたら、振動数がめっちゃ下がりました!4分の1くらい? なんでそんなに変わるんですか?
🎓
いいところに気づいたね。梁の場合、固有振動数は長さの2乗に反比例するんだ($f_n \propto 1/L^2$)。だから長さが2倍になると、振動数は1/4になる。逆に短くするとガツンと上がる。これは、長い梁はしなやかで揺れやすく、短い梁は剛くて揺れにくいからだよ。今度は「境界条件」を「片持ち梁」から「両端固定梁」に変えてみて。同じ長さでも、固定の仕方で振動数が全然違うのがわかるよ。
🧑‍🎓
本当だ!片持ちより固定の方がずっと高い振動数になりますね。でも、この「1次」「2次」って何ですか?アニメーションで形が違いますけど。
🎓
それが「モード」ってやつだ。1次モードは一番基本的な揺れ方(真ん中が一番大きく揺れる)、2次モードは少し複雑な揺れ方(節と呼ばれる動かない点ができる)だ。それぞれに固有の振動数があるんだ。実務では、エンジンの回転数など、外力の振動数がこれらのどれかに近づくと「共振」して大変なことになる。だから設計では、材料(弾性率Eや密度ρ)を変えたり、リブを付けたりして、これらの固有振動数を操作して危険な周波数帯から外す「デチューニング」が超重要になるんだ。

物理モデルと主要な数式

梁の曲げ振動を記述する基本式は、以下のオイラー-ベルヌーイ梁の方程式です。

$$EI \frac{\partial^4 w}{\partial x^4}+ \rho A \frac{\partial^2 w}{\partial t^2}= 0$$

ここで、$w(x,t)$はたわみ量、$E$はヤング率(弾性率)、$I$は断面二次モーメント、$\rho$は密度、$A$は断面積です。この式から、時間と空間で変数分離し、境界条件(片持ち、支持、固定)を適用することで固有値問題が導かれます。

上記の方程式を解くと得られる、n次モードの固有振動数 $f_n$ の計算式が以下です。このシミュレーターの核心となる式です。

$$f_n = \frac{(\beta_n L)^2}{2\pi L^2}\sqrt{\frac{EI}{\rho A}}$$

$(\beta_n L)$は、境界条件によって決まる無次元の固有値(係数)です。例えば片持ち梁の1次モードでは1.875、単純支持梁ではπ(≈3.14)、両端固定梁では4.730となります。この係数が変わることで、同じ形状でも支持条件で振動数が大きく変化するのです。

実世界での応用

自動車・航空機の軽量化と振動対策:車体フレームや航空機の翼は、軽量化のために薄肉構造になりますが、これにより固有振動数が下がり、エンジン振動や風の渦(カルマン渦)による共振リスクが高まります。CAEで固有値解析を行い、危険なモードを事前に把握し、リブやダンパーを追加する設計が行われます。

建築物の耐震・耐風設計:高層ビルや長大橋は、地震や風による周期力を受けます。構造物の基本固有振動数(1次モード)が地盤の卓越周期や風の渦放出周期と一致しないように、形状や制振装置(ダンパー)を用いて設計します。このシミュレーターで学ぶ「長さの影響」は、建物の高さ計画に直結します。

精密機械・半導体製造装置:微細な加工を行う装置は、外部振動や内部モーターの振動が精度を狂わせます。装置本体や設置台(光学テーブル)の固有振動数を、周囲の振動源の周波数から十分に離す「デチューニング」が必須です。ここで扱う矩形膜の振動は、薄い鏡や基板の設計に応用されます。

楽器の音響設計:ギターのボディやピアノの響板、和太鼓の皮は、まさに「膜」や「板」の振動です。目的の音色(周波数特性)を得るために、形状、張力、材料密度を調整します。このツールで膜のモード形状をアニメーションで見ることは、音の「倍音」構造を視覚的に理解する助けになります。

よくある誤解と注意点

まず、「計算された固有振動数は絶対的な安全値ではない」という点を押さえておこう。このツールは理想的な形状と境界条件を仮定している。例えば「両端支持梁」は、本当にピンとローラーで完全に自由に回転できる支持を意味する。実物の構造物では、想定より拘束が強くなりがちで、計算値より実際の振動数は高くなる。逆に、ボルト締結部が緩んでいれば低くなる。CAEの結果はあくまで「目安」であり、プロトタイプでの実測検証が不可欠だ。

次に、材料定数の入力ミスは超・頻発する。特に単位系の混同に注意。ヤング率Eを「GPa」で入力すべきところを「MPa」のままにすると、結果は1000倍も違ってくる。密度ρも「kg/m³」が基本だが、CADデータからくる質量を元に計算する時は、体積の単位(mm³かm³か)を確認しよう。例えば、鋼の密度を7850 kg/m³と入力するのが正解だ。

最後に、「1次モードだけ見て満足しない」こと。外力の周波数が1次より高い場合、2次、3次モードで共振する可能性がある。例えば、回転機械では回転数×ブレード枚数の周波数(通過次数)が問題になることが多く、これは高次モードに当たる。このツールのアニメーションで、節(動かない点)がどこにできるかを確認し、そこにダンパーを設置するなどの対策を考える材料にしよう。

関連する工学分野

この固有振動数の計算は、「音響工学」と深く結びついている。例えば、矩形膜の振動解析は、スピーカーのダイアフラムや太鼓の膜の振動そのものだ。特定のモードが励起されると、それが空気の振動(音波)となって、音色や鳴りの良さを決定する。ギターの胴体(ボディ)も複雑な振動モードを持っており、その解析は楽器設計の核心だ。

また、「制御工学」における構造制御の出発点でもある。近年の精密機械や宇宙構造物では、望まない振動を能動的に打ち消す「アクティブ振動制御」が使われる。その設計の第一歩は、制御対象となる構造物の固有振動数とモード形状を正確に把握することだ。このツールで梁の基本を理解しておけば、複雑な構造のモード解析結果を読み解く基礎力がつく。

さらに「材料工学」との連携も見逃せない。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)のような複合材料は、繊維の配向方向によって異方性(方向によって剛性が異なる)を示す。このツールで等方性材料の挙動をマスターした後、より高度なCAEソフトで複合材料の梁を解析すれば、軽量化と剛性・振動特性のトレードオフを深く理解できるようになる。

発展的な学習のために

まず次のステップは、「連続体の力学」の基礎を固めることだ。このツールの背後にあるオイラー-ベルヌーイ梁理論は、せん断変形や回転慣性を無視した「初等的」なモデルだ。より太い梁や高周波の振動を扱うには、ティモシェンコ梁理論を学ぶ必要がある。その違いを体感するには、このツールで長さLを極端に短く(太い梁のように)設定し、結果を定性的に考察してみるといい。

数学的には、「偏微分方程式」と「固有値問題」が鍵となる。ツールが解いているのは、空間と時間の偏微分方程式を「変数分離法」で解き、境界条件から固有値 $(\beta_n L)$ を決定するプロセスだ。これを手計算で体験するには、片持ち梁の境界条件(固定端:たわみと傾きゼロ、自由端:曲げモーメントとせん断力ゼロ)を式に代入し、特性方程式 $\cos(\beta L)\cosh(\beta L) = -1$ を導出してみよう。この超越方程式の解が1.875, 4.694...となる。

実務に近づくためには、「減衰」の概念を取り入れることを強く推奨する。現実の構造物には必ず減衰(エネルギー散逸)があり、共振時の振幅は無限大にはならない。次の学習トピックは、このツールで求めた無減衰固有振動数とモード形状を基に、減衰を持つ系の「周波数応答解析」を学ぶことだ。これにより、共振ピークの鋭さや、振動がどのくらい早く減衰するか(Q値)を評価できるようになり、設計の実践力が一段階上がるだろう。