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静止摩擦力って、「最大静止摩擦力以下の力で釣り合う」と言いますけど、なんで「以下」なんですか?最大静止摩擦力ちょうどじゃないのですか?
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いい気づきだね。例えば水平面で10Nの物体を3Nで押しても動かない場合、摩擦力はちょうど3Nで釣り合う。最大静止摩擦力が5Nあったとしても、実際の摩擦力は3Nだ。摩擦力は「外力に応じて自動調整する」性質がある。最大値に達したとき(限界を超えたとき)に滑り始めるんだよ。
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なるほど!じゃあシミュレーターで傾斜角を少しずつ上げると、ある角度でいきなり「滑り」に変わりますよね。その境目が臨界角ですか?
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そう。臨界角θ_c = arctan(μs) だ。μs=0.5なら θ_c = arctan(0.5) ≈ 26.6°。これを「摩擦角」とも呼ぶ。θが26.6°未満なら静止、超えると一気に滑り始める。シミュレーターでμs=0.5にして傾斜角を26〜28°あたりで変えると状態が切り替わるのが確認できるよ。
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「力 vs 角度」グラフを見ると、角度が大きくなるにつれて垂直抗力が下がっていますね。なんで?重くなるほど垂直抗力が大きいと思ってたんですが…
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垂直抗力は N = mgcosθ だから、θが大きいほど cosθ が小さくなって N も減る。これは斜面が急になるほど「面を押しつける成分」が減るから直感的にも正しい。θ=90°(垂直壁)では N=0 になる。逆に重力の斜面方向成分 mgsinθ は増えていく。この2つの力の大小関係が静止か滑りかを決めているんだ。
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動摩擦係数を静止摩擦係数より大きく設定できますか?現実ではどうなりますか?
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現実ではほぼ μk ≤ μs です。もし μk > μs なら「一度滑り始めると逆に摩擦が増す」ことになり、物体は滑ったり止まったりを繰り返す不安定な挙動になる。スティック-スリップ現象(バイオリンの弦が振動する原理)に似た振動が起きることもある。このシミュレーターでは設定できますが、物理的には μk < μs が正常です。
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CAEの有限要素解析で摩擦を入れる場合、どのくらい難しいんですか?
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接触解析は非線形解析のなかでも特に難しい部類だ。接触状態(固着か滑りか)が荷重ステップごとに変わるため、反復計算(ニュートン法)が収束しにくい。Ansysでは「Augmented Lagrangian法」、Abaqusでは「Penalty法」がデフォルトで使われる。実務では収束させるためにサブステップを細かく切ったり、初期接触状態を正しく設定したりする必要があって、経験が必要なんだよ。