計算の前提と確かめ方
何を変えるとどうなる?
左の数値欄またはスライダーで条件を変更します。まず動力を2倍にすると、接線力と曲げ応力は2倍、接触応力は√2倍になります。材質の例示値や参照値を変えても、鋼同士の弾性係数を固定したこのモデルでは概算応力自体は変わらず、比較比が変わります。
式と単位
m・b・d は mm、P は kW、n₁ は rpm、T は N·m、力は N、応力は MPaです。9550 はトルク換算の丸め係数です。曲げは両歯車を別々に評価します。円ピッチ基準の y とモジュール基準の Y = πy を区別します。
dᵢ = m zᵢ
T = 9550 P / n₁
Fₜ = 2000 T / d₁
yᵢ = 0.154 − 0.912 / zᵢ
Yᵢ = π yᵢ
σFᵢ = Fₜ K_F / (b m Yᵢ)
u = z₂ / z₁
Z_H = √[2 / (sin20° cos20°)]
σH = Z_E Z_H √[Fₜ K_H (u+1) / (b d₁ u)]
接触は20°のピッチ点で2つの円柱曲率を用いたヘルツ線接触の近似です。Z_E = 191 √MPa(鋼同士)、K_F = K_H = 1.25 を固定しています。歯数比 u は z₂/z₁ で、1未満も入力できます。Fₙ = Fₜ/cos20°、Fᵣ = Fₜtan20°。矢印には係数を掛ける前の力を表示し、接触応力には K_H を適用します。
既定値で検算
m=3 mm、z₁=20、z₂=40、b=30 mm、P=5 kW、n₁=1500 rpm。T=31.8333 N·m、d₁=60 mm、d₂=120 mm、Fₜ=1061.1111 N、y₁=0.1084、y₂=0.1312 です。
| 量 | 計算値 |
|---|
| 駆動側の曲げ σF₁ | 43.2762 MPa |
| 被動側の曲げ σF₂ | 35.7556 MPa |
| ピッチ点の接触 σH | 500.9270 MPa |
例示の参照値200 / 550 MPaとの比は、曲げ(駆動側)4.62、曲げ(被動側)5.59、接触1.10。これは比較であり、設計の合否ではありません。
モジュールを2倍にする例
他の入力を固定して m=3→6 mm にすると、ピッチ円径が2倍になり、接線力は半分です。曲げ応力は1/4(10.8191 / 8.9389 MPa)、接触応力は1/2(250.4635 MPa)になります。歯幅を2倍にする場合は曲げが1/2、接触が1/√2となり、効果は同じではありません。
この結果では分からないこと
教育・初期比較のための簡易モデルです。切下げ・転位・歯形修整・かみ合い率による荷重分担・歯面すべり・歯幅方向の偏り・動的荷重の詳細・潤滑・摩耗・塑性・疲労寿命は計算しません。18歯未満では切下げを扱わない外挿値として警告します。実機の設計には、具体的な歯形と荷重履歴、材料・熱処理データ、適用規格による別の評価が必要です。
よくある質問
ルイス歯形係数に π が付くのはなぜですか?
y = 0.154 − 0.912/z は20°全歯たけの円ピッチ基準の近似です。円ピッチ p = πm なので、σF = FₜK_F/(bpy) = FₜK_F/(bmY)、Y = πy となります。y をそのままモジュール基準の Y として使うと応力が π 倍ずれます。
比較比が1以上なら安全ですか?
いいえ。参照応力は例示値または入力した仮定値です。比は概算応力との比較に過ぎず、寿命、実機の安全性、規格適合を判定しません。
アニメーションと計算結果は同じ条件ですか?
通常は入力条件です。荷重変化のデモを選ぶと図中の力だけが0.45〜1.55倍の範囲で変化します。結果カードと比較グラフは入力条件の値を保ちます。デモは歯のかみ合いによる実荷重の予測ではありません。
出典と計算の確認
円ピッチ基準のルイス式・20°全歯たけの係数は下記講義資料の8ページを参照しています。著者公開論文の式(4)はルイス曲げ式、式(7)はピッチ点の円柱接触モデルを示します。図は本ページの模式描画です。例示の材料参照値は、これらの資料で認定された許容応力ではありません。