- 1:1, δ=0° → 対角線(プリセット「1:1 45°」でδを0に)
- 1:1, δ=90° → 円/楕円
- 1:2, δ=0° → 8の字(ローブ 2 個)
- 2:3 → 蝶型(x方向 3 ローブ・y方向 2 ローブ)
- f_x : f_y =(左右の辺に接する回数):(上下の辺に接する回数)。無理数比(例 1:√2)では図形は閉じません。スライダーは 0.01 刻みなので、整数でない値(例 3.07)にすると比・ローブ数・周期の表示は「—」になります。
2つの振動を直交させると何が見える?周波数比・位相差・減衰を操作して、オシロスコープに現れる数学的な美しさを体験しよう。
シミュレーターの中身は、2つの独立な減衰調和振動子です。軌跡点の水平方向(X)と垂直方向(Y)の位置は、サイン波と指数減衰項を組み合わせた次の式で表されます。
$$x(t) = A_x e^{-d_x t}\sin(f_x t + \varphi)$$ $$y(t) = A_y e^{-d_y t}\sin(f_y t)$$変数の意味:
$A_x, A_y$:初期振幅(揺れの大きさ)。
$f_x, f_y$:相対周波数(1.00〜8.00。単位はなく、比だけが図形を決めます)。
$d_x, d_y$:減衰係数(ハーモノグラフモードのみ。スライダー値 0〜50 が内部係数 0〜0.005 に対応)。
$\varphi$:位相差(XとYの振動の時間的なずれ)。
$t$:曲線をたどるパラメータ(無次元。減衰なしでは閉じるまでの1周期、ハーモノグラフでは $t=0$〜$40\pi$ を描画)。
得られる図形は $y(t)$ を $x(t)$ に対してプロットしたパラメトリック曲線です。周波数比 $f_x : f_y$ が有理数(例:3:2)で減衰がゼロの場合に限り、図形は閉じて周期的に繰り返します。位相差 $\varphi$ はパターンの「回転」や向きを制御します。
$$ \frac{f_x}{f_y}= \frac{m}{n}\quad \text{(安定した閉曲線の条件)} $$ここで $m$ と $n$ は整数です。1:1($m=n$)の比は楕円を、2:3の比はより複雑なループ状の図形を生み出します。減衰がある場合、図形は閉じずに内側へと螺旋を描いていきます。
アナログオシロスコープの校正:デジタルオシロスコープが普及する前、技術者は未知の周波数を測定するためにリサジュー図形を活用していました。既知の周波数を一方のチャンネルに、未知の信号をもう一方に入力し、現れる図形の形から周波数比を読み取ります。安定した円が描かれれば、両者の周波数が完全に一致しているという意味です。
機械振動解析:回転機械では、軸受の近くに直交2方向の変位センサを置き、X-Y 表示で軸心の軌跡(オービット)を描きます。軌跡の形は、不釣り合い(楕円)やミスアライメント(8の字に近い形)などの異常を見分ける手がかりになります。
レーザー光線によるライトショー:レーザーディスプレイの幻想的な模様は、直交配置されたミラーを精密に振動させて作られていることが多いです。ミラーの周波数と位相を調整することで(本シミュレーターのスライダーと同じ要領で)、単純な渦巻きから蝶のような複雑な図形まで、さまざまなパターンを生み出せます。
電気信号の位相比較:交流回路の解析では、電圧と電流の位相差を比較することが極めて重要です。X-Yプロットで両者を表示すると、リサジュー楕円が描かれます。楕円の傾きや形状から直接位相差が読み取れ、力率に関する問題の診断に役立ちます。
まず、周波数比が単純な整数比に限られると思い込まないでください。1:2や3:4のような比は確かに美しく閉じた図形を生みますが、1:√2のような無理数比では図形は決して閉じず、時間とともに描画領域全体を徐々に埋め尽くしていきます。これは「準周期運動」と呼ばれ、現実世界の非調和振動の解析で重要になります。次に、「位相差」の解釈にも注意が必要です。文献によっては y 方向の振動に位相を加える($y = B\sin(b\,t + \delta)$)定義もありますが、本ツールは x 方向の振動に φ を加える(x が y より φ だけ進む)形を採用しています。この定義の違いを意識せずに文献を読むと混乱の原因になるので、実務ではどちらの定義が使われているかを必ず確認してください。
パラメータ設定のコツとしては、「描画点数」と周波数の大きさのバランスに注目しましょう。本ツールは、図形が閉じるまでの1周期を「描画点数」で分割して描きます。5:4 や 7:8 のように周波数の大きい比では1周期の中の振動の回数が多くなるため、点数が少ないと曲線が角ばって見えます。その場合は描画点数を増やしてください。ハーモノグラフでは $t=0$〜$40\pi$ を描き、減衰を最大(内部係数 0.005)にしても終端の振幅は約 0.53 倍なので、中心の1点に縮んで見えなくなることはありません。最後に、振幅 Ax と Ay は図形の「見かけの大きさ」だけでなく「形状」にも影響します。特に減衰係数 dx と dy が非対称な場合、振幅の違いが螺旋の引き込まれ方に劇的な影響を与えます。両者を組み合わせて調整してみてください。
f_x=3、f_y=2、位相=45°、振幅=1.0、減衰=0 と設定します。3:2 の周波数比により、左右の辺に3回・上下の辺に2回接し、x方向に2つ・y方向に3つのローブ(表示「ローブ数 x / y」=2 / 3)を持つ「蝶型」のリサジュー曲線が描かれます。位相を 90°(スライダー値 157)に変えても閉曲線のまま形だけが変化します(傾いた楕円になるのは 1:1 比のときだけです)。ハーモノグラフを ON にして減衰 d_x=d_y=50(内部係数 0.005)とすると、描画区間の終端(t=40π)で振幅は exp(−0.005×40π)≈0.53 倍まで減衰し、外側の軌跡から内側へゆるやかに螺旋を描きます。これは免震ダンパーや制振装置など、現実の機械系における調和振動の減衰挙動を単純化して模したものです。