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磁気流体力学

磁気流体力学(MHD)シミュレーター — ハートマン流れ

平行平板間の定常ハートマン流れを計算。固定圧力勾配で磁場を強めたときの速度低下と分布の平坦化を、数値・グラフ・再現可能な実例で比較できます。

パラメータ設定

σ・μは比較用の仮定値で、特定温度の保証された物性値ではありません。密度ρは切替時に変更されません。実材料を比較する場合は温度・組成をそろえた物性値を入力してください。

T
S/m
Pa·s
m
Pa/m
kg/m³

密度はReにだけ影響します。速度とHaは変わりません。既定の900 kg/m³も比較用の仮定です。

計算条件:定常・非圧縮・層流、無滑り平行平板、一様な横磁場、横方向電場ゼロ、低Rm近似。外部電流による電磁ポンプの駆動や、有限幅ダクトの側壁・入口・乱流は計算しません。

一時停止中はスライダーを動かすと結果が即座に更新されます。

計算結果
—
Ha [-]
—
u_max [m/s]
—
u_avg [m/s]
—
Re [-]
—
Re_m [-]
—
流量比 Q/Q₀

MHD流れ場(模式図)

この図では両分布をそれぞれの最大速度で規格化しています。粒子速度・矢印長は模式的で、m/sや力の大きさを表しません。絶対速度は計算結果、同じ速度尺度の比較は下のグラフで確認してください。

ハートマン速度(現在) 放物線(B=0ゴースト) 磁場 B ローレンツ力 J×B
速度プロファイル比較

横軸は磁場なしの最大速度Gh²/(2μ)を基準とします。現在の曲線はB・σ・μ・hで変わります。Gやρを変えても規格化した形は変わりません。G=0では速度はすべて0ですが、ここにはG→0の形を表示します。

理論・主要公式

hは全隙間2hの半分、μは粘性係数(Pa·s)です。動粘性係数はν=μ/ρ(m²/s)です。G≥0、横方向電場E=0とします。

Ha = B h √(σ/μ)
u(y) = G h²/(μ Ha²) × [1 − cosh(Ha y/h)/cosh(Ha)]
ū = G h²/(μ Ha²) × [1 − tanh(Ha)/Ha]
Q/Q₀ = 3/Ha² × [1 − tanh(Ha)/Ha]

B=0の極限ではu(y)=G(h²−y²)/(2μ)、平均速度Gh²/(3μ)、Q/Q₀=1。G=0ではQとQ₀がともに0なので、表示する流量比はG→0の係数比です。

Re = ρ ū (2h)/μ, Rm = μ₀ σ ū (2h)

Re/Rmの長さは全隙間2h。Rm≪1を仮定します。層流はモデルの前提であり、Reだけから遷移を判定しません。横方向電場・電流閉路の条件が違えば、この解析解も変わります。

磁気流体力学(MHD)とハートマン流れとは

🙋
電気が流れる液体に磁場をかけると、流れが変わるって本当ですか?このシミュレーターで何がわかるんですか?
🎓
本当だよ。ただし電流の流れ方も重要なんだ。このツールは、横方向電場をゼロとした平行平板間のハートマン流れを計算するよ。磁場なしなら速度は放物線状。圧力勾配を変えずにBを強めると、誘導電流によるローレンツ力が流れを妨げ、平均速度は下がる。一方、中心部の分布は平らになるんだ。
🙋
え、そうなんですか!「流体材料プリセット」でナトリウムを選ぶと、どうして磁場の影響がすごく出るんですか?
🎓
この比較用プリセットではσを大きく設定しているからだよ。Ha=Bh√(σ/μ)なので、B・h・μが同じならσを増やすとHaは増える。ただしプリセットは特定温度の物性表ではない。実材料について判断するときは、σ・μ・ρを同じ温度条件の資料からそろえて入力しよう。
🙋
分布が平らになるなら、流量も増えるんですか?数字と図をどう比べればよいでしょう?
🎓
増えないよ。「Ha=1の実例」では、磁場なしと同じ圧力勾配でも流量は約71.52%になる。模式図は各分布をそれぞれの最大値で規格化しているため、形だけを見て速度が維持されていると判断しないでね。平均速度とQ/Q₀を読み、下の共通尺度グラフで比べよう。電磁ポンプは外部から加えた電流で流体を駆動するもので、この制動モデルとは条件が異なるんだ。

よくある質問

固定圧力勾配・横方向電場ゼロの条件では、Haが増えると中心部の分布は平坦になりますが、最大速度と平均速度は低下します。壁では速度0です。大きいHaでは磁場に垂直な壁の近くに厚さ約h/Haのハートマン層ができます。
はい。Ha=Bh√(σ/μ)なので、σへの依存は平方根です。G・h・μとHaを同じに保てば、このモデルの速度分布はBとσの組合せによらず同じです。ただしRmはσにも依存するため、低Rm近似の妥当性は別に確認します。
磁場による導電性流体の制動と速度分布を学ぶための解析解モデルです。実際の液体金属冷却系では側壁、壁の電気伝導度、電流閉路、入口や温度の影響を追加評価します。外部電流で駆動する電磁ポンプや海水推進の性能は、このモデルから直接求められません。
表示式の解析解を浮動小数点で評価し、数値は有効数字5桁で表示します。小さいHaには極限の級数、大きいHaには双曲線関数のオーバーフローを避ける式を使います。解析解との数値照合と、実流体・実機での精度の保証は別です。

実世界での応用

液体金属冷却系の磁場影響:導電性冷却材を磁場中で流すと、電流とローレンツ力が圧力・流量関係を変えます。この固定圧力勾配モデルでは磁場を強めると流量が減ります。同じ流量を維持するには、磁場なしより大きな圧力勾配が必要です。分布の平坦化だけを「摩擦損失が減る」と解釈しないでください。

核融合炉のブランケット冷却:磁場閉じ込め方式の核融合では強い磁場を用います。液体金属冷却材を使う構想ではMHDの影響を評価する必要があります。ハートマン流れは理想化した比較の基準になりますが、これだけでブランケットの設計を完結できるものではありません。

電磁ポンプとの違い:外部から流した電流と磁場の積J×Bを推進力にするポンプと、流れによって誘導された電流がブレーキになる本モデルを区別します。電源・電極・電流閉路を指定しない本ページで、ポンプの揚程や効率を求めることはできません。

海洋・地磁気応用:導電性の海水が地磁場中を動くと、電流や磁気信号が生じることがあります。これらもMHDに関わる現象ですが、本ページの平行平板に挟まれた流れの幾何条件は、そのような系を直接表していません。

よくある誤解と注意点

固定する条件をそろえて比較してください。本モデルのQ/Q₀は、同じG・h・μで磁場をゼロにした流量Q₀との比です。流量一定の実験や、絶縁側壁・開回路など別の電気境界条件の値と直接比較できません。横方向電場がゼロでない場合は、速度の式そのものが変わります。

μは粘性係数(Pa·s)で、動粘性係数ν(m²/s)ではありません。νしか分からない場合は密度を用いてμ=ρνへ換算します。材料比較ではσ・μ・ρの温度条件と出典をそろえ、ここにあるプリセット値を物性資料の代わりに使わないでください。

この計算は理想化した学習用モデルです。実機では流路の形状、非一様な磁場、入口・出口の影響が異なる場合があります。基本的な挙動を理解した後、設計評価には実際の境界条件を取り込んだ3次元CFD–MHD連成解析などが必要になる場合があります。この結果を検証済みの実機設計としてそのまま使わないでください。

使い方ガイド

  1. まず下の「磁場なし」「Ha=1」「Ha=10」の実例を選び、同じ圧力勾配で比べます。
  2. B(0〜10 T)、σ(0.1〜10⁷ S/m)、μ(10⁻⁴〜1 Pa·s)は数値欄で入力できます。σ・μのスライダーは対数目盛です。
  3. 半高さh(0.005〜0.2 m)、G(0〜10⁵ Pa/m)、ρ(1〜20000 kg/m³)を設定します。結果は自動更新され、一時停止中も編集できます。
  4. 平均速度と流量比を読み、Rmの注意表示を確認します。共有ボタンでは入力条件を保存したURLをコピーできます。

具体的な計算例

次の条件は特定の実材料を表すのではなく、解析解を検算する比較条件です:σ=1000 S/m、μ=0.1 Pa·s、h=0.05 m(全隙間0.1 m)、G=100 Pa/m、ρ=1000 kg/m³。Bだけを変えます。

Ha=1ならQ/Q₀=3[1−tanh(1)]≈0.71522。同じ流量を保つための圧力勾配比はその逆数、約1.3982です。分布が平らになることと、圧力損失が減ることは同じではありません。

実務での注意点