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磁気流体力学

磁気流体力学(MHD)シミュレーター — ハートマン流れ

磁場強度 B と流体電気伝導度 σ を操作してハートマン数 Ha を変化させ、速度プロファイルが放物線形からプラグ流へ変わる様子をリアルタイムで確認できます。

パラメータ設定
流体材料プリセット
磁束密度 B
T
電気伝導度 σ
動粘性係数 μ 3e-4 Pa·s
ダクト半高さ h
m
圧力勾配 -dP/dx
Pa/m
応用事例:
• 液体金属(Na)炉冷却ループ
• 電磁ポンプ(可動部なし)
• MHD発電(海水推進)
• 核融合炉ブランケット流れ
計算結果
Ha [-]
u_max [m/s]
u_avg [m/s]
Re [-]
Re_m [-]
流量比 Q/Q₀
MHD流れ場
速度
理論・主要公式

ハートマン数:

$$Ha = B \cdot h \sqrt{\frac{\sigma}{\mu}}$$

速度プロファイル:

$$u(y) = \frac{(-dP/dx)h^2}{\mu \cdot Ha^2}\left(1 - \frac{\cosh(Ha \cdot y/h)}{\cosh(Ha)}\right)$$

Ha→0: 放物線(ポアズイユ流)
Ha>>1: プラグ流

磁気流体力学(MHD)とハートマン流れとは

🙋
電気が流れる液体に磁場をかけると、流れが変わるって本当ですか?このシミュレーターで何がわかるんですか?
🎓
本当だよ。大まかに言うと、導電性流体(液体金属や海水など)の流れに磁場をかけると、電磁力が働いて流れを抑制したり形を変えたりするんだ。このツールは、平行平板ダクト内の「ハートマン流れ」を再現していて、右の「磁束密度B」のスライダーを動かすと、速度分布が放物線から平らなプラグ流へと変化する様子がアニメーションで見られるよ。
🙋
え、そうなんですか!「流体材料プリセット」でナトリウムを選ぶと、どうして磁場の影響がすごく出るんですか?
🎓
良いところに気が付いたね。ナトリウムのような液体金属は「電気伝導度σ」が非常に高いんだ。シミュレーターの式を見ると、磁場の影響の強さを表す「ハートマン数Ha」は$Ha = B h \sqrt{\sigma / \mu}$で、σが大きいほどHaも大きくなる。だから、同じ磁場Bでも、水よりナトリウムの方が圧倒的に流れが平坦化するんだ。実際にプリセットを切り替えて、速度プロファイルの違いを確かめてみて。
🙋
なるほど!じゃあ、この「プラグ流」になる現象は、実務ではどう役立つんですか?
🎓
実務では大きなメリットがあるんだ。例えば、高速増殖炉で液体ナトリウムを循環させる「電磁ポンプ」。機械的な羽根車がないからメンテナンスが楽で、磁場を制御して均一な流れ(プラグ流)を作り出せる。このシミュレーターで「圧力勾配-dP/dx」を固定したままBを大きくすると、中心部の流速はほぼ変わらずに壁面付近の流速だけが上がるよね?これが摩擦損失を減らす効果につながるんだ。現場の設計では、このツールのような計算で最適な磁場強度を決めているよ。

よくある質問

Haが大きくなるほど、ローレンツ力が強まり中央部の流速が均一化します。放物線形からプラグ流へと変化し、壁近傍の速度勾配が急峻になる様子をリアルタイムで確認できます。
はい、両方独立にスライダーで調整可能です。HaはBとσの積に比例するため、同じHaでもBとσの組み合わせを変えるとローレンツ力の寄与が異なり、速度分布に微妙な違いが現れます。
液体金属冷却材を用いる核融合炉のブランケット設計や、電磁ポンプ・電磁流量計の動作解析など、磁場中での導電性流体の流れ制御を必要とする工学分野に応用されます。
本ツールは解析解をプロットしているため、理論値と完全に一致します。ただし、実際の実験では流体の物性値の不均一や端部効果などが生じるため、定性的な傾向を理解するための参考としてご利用ください。

実世界での応用

原子炉の液体金属冷却系:高速増殖炉などでは、冷却材として液体ナトリウムが用いられます。磁場を印加したMHDポンプでこれを循環させると、機械的な可動部がなく、信頼性の高い冷却システムを構築できます。シミュレーターで再現されるプラグ流は、配管壁面での摩擦や熱応力を低減する利点があります。

核融合炉のブランケット冷却:未来のエネルギー源とされる核融合炉では、超高温プラズマを閉じ込めるために強力な磁場が使われます。この環境下で液体金属(リチウムなど)を冷却材として流すには、MHD流れの影響を精密に評価する必要があり、ハートマン流れの理論が設計の基礎となります。

電磁ポンプ・電磁流量計:化学プラントや鋳造工程で、腐食性の高い溶融金属を移送するために電磁ポンプが利用されます。また、導電性流体の流量を非接触で計測する電磁流量計の原理も、このMHDの理論に基づいています。

海洋・地磁気応用:海水は弱いながら導電性を持つため、地球磁場中を流れる海流は微弱な電流と磁場を発生させます。この現象の理解や、潜水艦の磁気探知への影響を調べる際にも、MHDの基礎的な考え方が応用されています。

よくある誤解と注意点

このシミュレーターを使い始めるとき、いくつか勘違いしやすいポイントがあるよ。まず、「磁場を強くすれば流速が上がる」と思いがちだけど、それは違う。このツールの設定では「圧力勾配」を固定しているよね?これは、ポンプで一定の押し出し圧力をかけた状態を想定しているんだ。その条件下で磁場Bを強くすると、ローレンツ力というブレーキが強くかかるから、平均流速はむしろ低下する。アニメーションで見える「プロファイルが平坦化する」のは、中心部の流速が維持されたまま壁面付近の流速が上がるからで、トータルの流量(平均流速)は減っていることに注意して。

次に、材料プリセットの選び方。電気伝導度σが全てを決めると思い込まないで。ハートマン数$Ha = B h \sqrt{\sigma / \mu}$の式を見ると、動粘性係数μも分母にあるよね。例えば、水銀はナトリウムよりσが高いけど、μも大きいので、Haへの寄与は単純比較できない。実務で新材料を評価するときは、σとμの両方を正確に測定した値を使うことが鉄則だ。

最後に、この計算は「理想化された学問モデル」だという点。実際の電磁ポンプの設計では、二次元の平行平板ではなく円管がほとんどだし、磁場も一様ではなく、入口・出口効果も無視できない。このツールで本質的な挙動を掴んだ後は、より現実に近い3次元のCFD-MHD連成解析に進む必要がある。このシミュレーターの結果をそのまま実設計に使うのは危険だよ。

使い方ガイド

  1. 磁場強度(magB)を0~2.0 Tの範囲で設定します。液体金属(例:溶融リチウム)の場合は1.5 T以上を推奨します
  2. 電気伝導度(sigma)を入力します。溶融リチウムは約10⁶ S/m、海水は約5 S/mが標準値です
  3. ダクト高さ(ductH)と圧力勾配(pressGrad)を指定してシミュレーションを実行します
  4. ハートマン数(Ha)が増加すると速度プロファイルが放物線型から矩形型に変化する様子をリアルタイムで観察できます

具体的な計算例

ナトリウム冷却高速炉の冷却材流路を想定した場合:磁場強度2.0 T、電気伝導度σ=7×10⁵ S/m、ダクト高さ0.1 m、粘度μ=3×10⁻⁴ Pa·sの条件でシミュレーション実行時、ハートマン数Ha≈18に達し、最大流速u_max=2.5 m/sから平均流速u_avg=2.4 m/sへ急速に接近します。磁気レイノルズ数Re_m=8.4となり、流量比Q/Q₀は0.96で磁場による流量抑制が約4%になります

実務での注意点