線路タイプ
回路条件
計算結果
一時停止中はスライダーを動かすと結果が即座に更新されます。
定在波アニメーション(入射波+反射波)
負荷で反射した波が入射波と重なり、定在波(節と腹)を形成します。Z_L=Z₀で反射ゼロ=進行波のみ。
スミスチャート
スミスチャート — Γ点(青)とZ_in点(橙)を表示
理論・主要公式
同軸: $Z_0 = \frac{60}{\sqrt{\varepsilon_r}}\ln\frac{D}{d}$
反射係数: $\Gamma = \frac{Z_L - Z_0}{Z_L + Z_0}$
VSWR: $S = \frac{1+|\Gamma|}{1-|\Gamma|}$
入力インピーダンス: $Z_{in}= Z_0\frac{Z_L + jZ_0\tan\beta l}{Z_0 + jZ_L\tan\beta l}$
マイクロ波伝送線路計算機とは
🙋
特性インピーダンスZ₀って何ですか?ツールで「同軸」を選ぶと、内径dと外径Dを変えられるけど、これがZ₀に関係するんですか?
🎓
大まかに言うと、伝送線路の「太さ」と「形」で決まる、電圧と電流の比率だね。同軸ケーブルは、中心導体(内径d)と外側のシールド(外径D)の間を信号が走るんだ。この二つの導体の太さの比(D/d)が大きいほど、Z₀は高くなる。上のスライダーでdを小さくしてみて。Z₀が上がるのが見えるよ。実務ではテレビのアンテナ線は75Ω、無線機の接続には50Ωが多いんだ。
🙋
え、そうなんですか!じゃあ「マイクロストリップ」の線幅wや基板厚hを変えると、どうなるんですか?プリント基板の配線みたいな形ですよね。
🎓
その通り!スマホの基板の中の高周波配線はほとんどこれだ。線幅wが細いほどインダクタンスが強くなってZ₀は高くなる。逆に、基板厚hが厚いと、信号線とグランド面の間のキャパシタンスが減るから、やっぱりZ₀は高くなる。シミュレーターで「マイクロストリップ」を選んで、wを1mmから0.2mmに変えてみ。Z₀が50Ωから一気に100Ω近くまで跳ね上がるのがわかる。現場では、目標のZ₀(例えば50Ω)になるようにwとhを設計するんだ。
🙋
なるほど!でも、Z₀が合ってないと何がまずいんですか?下に表示されてるVSWRやスミスチャートが赤くなったりしますけど。
🎓
それが一番大事なところだよ。Z₀と負荷インピーダンスZLが合ってないと、信号が反射してしまう。例えば、50Ωの線路に100Ωのアンテナをつなぐと、反射係数Γが0.33になって、スミスチャート上で中心から外れた点として表示される。VSWRは1.0(理想)から離れて大きくなり、電力がうまく伝わらなくなるんだ。5Gの基地局でこれが起きると、せっかくの高出力が熱に変わって故障の原因になる。ツールで「負荷インピーダンスZL」の値を動かして、VSWRの値とスミスチャート上の点がどう動くか確かめてみよう。
よくある質問
75ΩはCATVや放送用受信系で一般的で、損失最小化に適します。100Ω以上はデジタル高速伝送や計測器内部で使われ、低消費電力やインピーダンス整合の自由度を高めます。用途に応じて選択してください。
スミスチャートの中心点がΓ=0(完全整合)です。このときVSWR=1、リターンロスは∞(理想)となります。計算機でZ₀と負荷インピーダンスを一致させると、中心にプロットされることを確認できます。
比誘電率εrが大きいと単位長あたりのキャパシタンスCが増加し、特性インピーダンスZ₀は低下します。例えばεr=4.4のFR-4基板では、同じ線幅でもεr=2.2のテフロン基板よりZ₀が低くなります。
内導体径を細く、外導体径を太くするとZ₀は増加しますが、理論上は空気誘電体で約377Ω(自由空間インピーダンス)が上限です。実用的には、機械的強度や高次モード発生の制約から、通常150Ω程度までが現実的です。
実世界での応用
5G/スマートフォン:マイクロストリップ線路はスマートフォンの高周波プリント基板(PCB)の心臓部です。アンテナとRFチップ間の配線のZ₀を50Ωに整合させることで、ミリ波帯の巨大な信号損失を防ぎ、高速通信を実現します。
衛星通信・レーダー:大電力を扱う地上局のパラボラアンテナ給電部には、低損失な同軸線路や導波管が使われます。VSWRを極力1.0に近づける設計が必須で、反射電力が増幅器を破壊するのを防ぎます。
高速デジタル回路:CPUとメモリ間の信号伝送路(ストリップラインなど)では、インピーダンス整合が信号の立ち上がり時間と反射ノイズに直結します。整合が悪いとデータエラーが発生し、クロックスピードの向上を阻害します。
計測器・ネットワークアナライザ:被測定デバイス(DUT)の特性を正確に測るため、測定器のポート自体が厳密な50Ω(または75Ω)の特性インピーダンスを持っています。校正技術の根幹を成す概念です。
よくある誤解と注意点
まず、特性インピーダンスZ₀は「抵抗値」と同じΩですが、直流抵抗とは全くの別物だという点を押さえよう。Z₀は信号の伝わりやすさを表す「波動的な」パラメータで、周波数が高くなるほど、導体の表皮効果や誘電体の分散特性の影響を受けて変化し始めるんだ。このツールの計算式は主に「十分に低い周波数」または「TEMモードが支配的な領域」での近似だから、例えばミリ波帯(30GHz以上)の精密設計では、より高度な電磁界シミュレータでの検証が必須になるよ。
次に、マイクロストリップの「比誘電率εr」の設定ミス。これは基板材料(FR-4、ロジャース社の基板など)によって決まる値で、データシートに記載されている「公称値」をそのまま使うのは危険な場合がある。特にFR-4は組成のバラつきが大きく、公称4.3~4.7の値が、実際の製造ロットでは4.0から4.8まで変動することもある。例えば、目標50Ωで設計した線幅が、実基板では47Ωや53Ωになってしまう原因だ。重要な回路では、実基板の誘電率を実測して設計にフィードバックするプロセスが欠かせない。
最後に、ツールで簡単に計算できるからといって、「Z₀さえ合っていれば全てOK」と考えるのは大きな落とし穴。実際の基板上では、曲がり角、ビア(層間接続)、分岐などで不連続性が生じ、そこで局部的な反射やモード変換が起きる。例えば、50Ωの線路が直角に曲がる部分だけ、キャパシタンス性の不連続が生じてインピーダンスが乱れる。こうした「分布定数回路としての振る舞い」全体を考慮したレイアウトが、高周波設計の真髄なんだ。