設計式
$\text{FSR}= \dfrac{c}{2nL}$$\mathcal{F}= \dfrac{\pi (R_1 R_2)^{1/4}}{1 - \sqrt{R_1 R_2}}$
$\tau_p = \dfrac{2L/c}{-\ln(\sqrt{R_1 R_2}) + L_i}$
$z_R = \dfrac{\pi w_0^2}{\lambda}$
スライダーを変えるとリアルタイムで更新 / タブで表示切替
キャビティ長・ミラー反射率・損失・波長を変えて、FSR・フィネス・Q値・光子寿命をリアルタイム計算。エアリー関数透過スペクトルとガウスビーム断面を可視化。
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自由スペクトル範囲 (FSR) は、ファブリ・ペロー共振器の隣り合う縦モード間の周波数間隔を定義します。共振器長が決まると、許容される光の周波数(モード)が離散的に決まり、その間隔がFSRです。
$$\text{FSR}= \dfrac{c}{2nL}$$$c$: 真空中の光速、 $n$: 共振器内の媒質の屈折率、 $L$: 共振器の鏡間距離(キャビティ長)。$L$が小さいほどFSRは広くなり、利用可能な周波数モードがまばらになります。
フィネス $\mathcal{F}$ は、共振器の選波特性の鋭さを表す無次元量です。FSRと透過ピークの半値全幅(線幅)の比としても定義され、ミラーの反射率と内部損失によって決まります。
$$\mathcal{F}= \dfrac{\pi (R_1 R_2)^{1/4}}{1 - \sqrt{R_1 R_2}}$$$R_1, R_2$: 両端ミラーの反射率。反射率が1に近づく($ \sqrt{R_1 R_2}\to 1 $)と分母が0に近づき、フィネスは非常に大きな値になります。これは光が共振器内を多く往復することを意味し、周波数分解能が飛躍的に向上します。
光子寿命 $\tau_p$ は、共振器内の光強度が $1/e$ に減衰するまでの時間です。ミラーからの透過損失と共振器内部の散乱・吸収損失の合計で決まります。
$$\tau_p = \dfrac{2L/c}{-\ln(\sqrt{R_1 R_2}) + L_i}$$$L_i$: 共振器内部の往復損失(小数表記)。この値が小さいほど、また反射率が高いほど、光子寿命は長くなります。レーザーのしきい値条件や、光と物質の相互作用時間を評価する上で重要なパラメータです。
波長可変レーザー:単一モードで動作させながら波長を変えるためには、FSRを広く設計して隣接モードの干渉を防ぎます。このツールでキャビティ長 $L$ を短く設定するとFSRが広がる様子を確認でき、設計の直感が養えます。
光周波数コム・光原子時計:極めて高いフィネスを持つ共振器(超低損失ミラー)を用いて、光の周波数を精密に測定・比較します。反射率 $R_1$, $R_2$ を0.9999などに近づけるとフィネスが急激に上昇することをシミュレーションで体験できます。
量子光学実験(共振器QED):単一原子と単一光子の強い結合を実現するためには、光子寿命 $\tau_p$ を長くする必要があります。内部損失 $L_i$ を極限まで下げ、反射率を最大化する設計が求められ、このツールでパラメータのトレードオフを学べます。
光通信の波長フィルタ:特定の波長チャネルだけを通し、他を遮断するフィルタとしてファブリ・ペロー共振器が使われます。フィネスを調整することで通過帯域幅を制御でき、反射率とFSRの関係をグラフで確認しながら設計方針を立てることができます。
まず、「反射率Rはパーセント表示なのか小数表示なのか」に注意だ。このツールでは、反射率0.99とは99%を意味する。つい「0.99%」と入力してしまい、計算結果が全然合わないという初歩的なミスが多い。次に、「内部損失Liの解釈」。これは「1往復あたりの強度損失率」で、0.01と入力すれば1%損失があることを意味する。ここを「透過率」と混同して、大きな値(例えば0.5)を入れると、光子寿命が異常に短く計算されてしまう。実務では、超精密なミラーでもLiは0.001(0.1%)以下を目指す世界だ。
また、「ガウシアンビームのプロファイルは理想的な場合」という点も押さえておこう。ツールが示すビーム径ω(z)は、完全な球面鏡と完全なアラインメントを仮定している。実際には、鏡の歪みやわずかなズレでビーム形状は歪む。シミュレーションで「このサイズなら収まるな」と安心して設計しても、実機では熱膨張でキャビティ長が変わり、ビームが広がって鏡の端を切ってしまう(=損失増!)という落とし穴がある。例えば、L=1cmの共振器を室温±5℃の環境で使うと、材料にもよるが長さが数μm変化し、FSRやビームウエスト位置がシフトする可能性がある。
このツールの計算ロジックは、光通信の基本素子である「波長選択フィルタ」や「光インターリーバ」の設計に直結する。例えば、DWDM(高密度波長分割多重)では、異なるチャネルの光を分離・結合するために、フィネスを精密に設計したファブリ-ペローフィルタが使われる。ツールで反射率を調整して透過ピークの鋭さ(フィネス)を変える体験は、そのままフィルタの帯域幅設計の感覚養成になる。
さらに、量子光学や量子コンピューティングの分野では、「共振器QED」が重要な概念だ。先輩が説明した「光子寿命」を極限まで長く(=高Q値)した微小共振器の中に原子や量子ドットを閉じ込め、光と物質の強い相互作用を実現する。このツールで超高反射率(R=0.9999以上)を設定し、光子寿命がどのように延びるかを見ることは、量子ビットのコヒーレンス時間を考える第一歩になる。また、メトロロジー(計測学)では、周波数コムや光原子時計の心臓部である「超安定共振器」の設計原理がここにある。熱膨張係数が極小の材料(例えばULEガラス)でLを固定し、高フィネスで極めて鋭い共振ピークを得ることで、超高精度な周波数基準を生み出すんだ。
まず次のステップは、「安定共振条件」を学ぶことだ。このツールではシンプルな平行平面(平面鏡)を仮定しているが、実際のレーザーでは凹面鏡を使い、ガウシアンビームを安定に閉じ込める。その条件は「gパラメータ」で与えられ、$$0 \le g_1 g_2 \le 1$$ となる($$g_i = 1 - \frac{L}{R_i}$$)。この式を導出し、自分で安定領域図を描いてみよう。ツールでビームプロファイルを見た感覚が、数式と結びつくはずだ。
数学的背景としては、エアリー関数の導出過程を追うのがおすすめだ。それは、部分和の無限等比級数(多重反射光の干渉)を計算することに他ならない。透過率Tの式$$T = \frac{T_{max}}{1 + F \sin^2(\delta/2)}$$ のうち、フィネス係数Fがどのように反射率Rから出てくるかを理解すれば、ツールのグラフの動きが全て腑に落ちる。最終的には、「ロスありの波動方程式」や「耦合モード理論」に進むと、光が共振器に「どのように」出入りし、減衰するのかをより根源的にモデル化できるようになる。このツールは、その壮大な世界への最高の入り口なんだ。