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統計・確率論

確率分布シミュレーター

正規・ポアソン・二項など9種の分布のPDFとCDFをリアルタイム表示。パラメータスライダーで形状変化を確認し、モンテカルロサンプリングで理論と実験の一致を体験できます。

分布選択

プリセット

区間確率 P(a ≤ X ≤ b)

a = b =
計算結果
平均 (μ)
—
分散 (σ²)
—
歪度
—
超過尖度
—
P(a≤X≤b)
—
PDF(確率密度関数)と CDF(累積分布関数)
モンテカルロ ヒストグラム vs 理論 PDF
理論・主要公式

$$f(x;\mu,\sigma) = \frac{1}{\sigma\sqrt{2\pi}}\exp\left(-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}\right)$$

正規分布 PDF:\(\mu\) 平均、\(\sigma\) 標準偏差。68-95-99.7則が成立

$$f(x;\lambda) = \lambda e^{-\lambda x}, \quad f(x;a,b) = \frac{\Gamma(a+b)}{\Gamma(a)\Gamma(b)}x^{a-1}(1-x)^{b-1}$$

指数分布(左)とベータ分布(右):信頼区間・ベイズ統計に利用

確率分布シミュレーターとは

🙋
PDFとCDFって、グラフを見てもいまいち違いが分かりません。どう使い分けるんですか?
🎓
大まかに言うと、PDFは「確率の密度」、CDFは「確率の累積」だね。例えば、製品の寿命が指数分布に従うとき、PDFは「ちょうど100時間で故障する確率密度」、CDFは「100時間以内に故障する確率」を表すんだ。上のセレクトボックスで「指数分布」を選ぶと、同じグラフに PDF(左軸)と CDF(右軸)が重ねて描かれる。PDF が高いところほど CDF の傾きが急になる、という関係が一目瞭然だよ。
🙋
え、確率密度って確率じゃないんですか?「N=2000 サンプル生成」のボタンを押すと、ヒストグラムとPDFの線が重なるのはなぜ?
🎓
良いところに気づいたね。PDFの値そのものは確率じゃなくて「密度」。ヒストグラムの棒の面積が確率になるんだ。モンテカルロサンプリングでN=2000個の乱数を生成すると、そのヒストグラムの形が、理論的なPDFの形に近づく。これが「大数の法則」の目に見える形なんだ。正規分布で平均μのスライダーを動かしてからサンプリングすると、ヒストグラム全体が動くのが確認できるよ。
🙋
分布によって形が全然違いますね。計算結果の歪度や超過尖度の値も分布ごとに違いますが、これはどういう現象を表しているんですか?
🎓
実務では、例えば金融リスクの分析で株価リターンの分布を調べると、正規分布より「裾が重い」(尖度が正)ことが多いんだ。それは暴落や暴騰が理論より頻繁に起きることを意味する。シミュレーターで「t分布」を選び、自由度 ν を小さくしてみて。ν=5 では超過尖度が 6、ν が 4 以下では尖度が定義できず「未定義」と表示される。正規分布より両端が盛り上がる、つまりリスクの高い事象が起こりやすい分布になるのがわかるよね。

物理モデルと主要な数式

確率分布の根幹をなす確率密度関数(PDF)は、連続確率変数$X$がある値$x$の近傍に存在する相対的な可能性を表します。確率そのものではなく、積分することで確率が得られます。

$$ f_X(x) = \frac{d}{dx}F_X(x) $$

ここで、$f_X(x)$は確率密度関数、$F_X(x)$は後述の累積分布関数(CDF)です。$f_X(x) \ge 0$であり、全区間での積分は1になります:$\int_{-\infty}^{\infty}f_X(x) dx = 1$。

累積分布関数(CDF)は、確率変数$X$が特定の値$x$以下を取る確率を直接与えます。全ての確率分布の基本となる関数です。

$$ F_X(x) = P(X \le x) = \int_{-\infty}^{x} f_X(t) dt $$

$F_X(x)$は$x$について単調非減少で、$0$から$1$の値を取ります。このツールでCDFのグラフが常に右肩上がりで0から1に収束するのは、この性質によるものです。

よくある質問

このツールは自動更新です。スライダーや数値欄を変えると、グラフと計算結果(平均・分散・歪度・超過尖度・区間確率)が即座に更新されます。更新されないのはモンテカルロのヒストグラムで、これは「N=2000 サンプル生成」ボタンを押したときだけ描き直されます。また区間確率は a < b のときだけ計算されます。
乱数による統計的ばらつきです。サンプル数は N=2000 で固定で、ボタンを押すたびに新しい乱数で生成し直すため、ヒストグラムの形は毎回少し変わります。相対的なばらつきは 1/√N のオーダー(N=2000 で約 2%)で、度数の少ない裾のビンほど大きくばらつきます。何度か押して、理論 PDF の周りで揺れることを確かめてください。
PDF(確率密度関数)は山の高さがその値の相対的な出やすさを示します。CDF(累積分布関数)は曲線の値がその値以下になる確率を表します。例えばCDFが0.8の点は、80%の確率でその値以下になることを意味します。
中心極限定理によるものです。nが大きくなると二項分布の形状が左右対称の釣鐘型に近づき、平均np、分散np(1-p)の正規分布で近似できます。スライダーでnを5から50に変えるとその様子を確認できます。

実世界での応用

品質管理・信頼性工学:製品の寿命や故障間隔は指数分布やガンマ分布(実務ではワイブル分布もよく使われます)でモデル化されます。CDFを用いて「保証期間内に故障する確率」を計算し、保証方針を決定します。

金融工学・リスク管理:株価リターンの分布は正規分布では説明できない「裾の重さ」を持つため、t分布や一般化双曲型分布が用いられます。VaR(バリュー・アット・リスク)はCDFの裾の部分からリスク額を算定します。

保険数理:発生頻度が低いが発生すると巨額の損害をもたらす事故(地震、津波)の発生回数はポアソン分布、一回あたりの損害額は対数正規分布やパレート分布でモデル化され、保険料の算出に使われます。

機械学習・ベイズ統計:未知のパラメータの事前分布として、確率は[0,1]の範囲なのでベータ分布が、正の値なのでガンマ分布が頻繁に用いられます。マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)は、ここで体験するモンテカルロサンプリングの発展形です。

よくある誤解と注意点

まず、「PDFの高さは確率そのものではない」という点を押さえよう。例えば、平均0、標準偏差0.5の正規分布のPDFは、x=0で約0.8という高い値を持つ。これは「0が一番出やすい」という意味だが、「X=0となる確率が0.8」というわけではない。連続分布では一点の確率は0だからね。確率を知りたければ、区間を指定してPDFの下の面積を考える必要がある。ツールで「正規分布」を選び、σ を 0.5 にして区間確率に a=0、b=0.5 を入れてみて。P(0≤X≤0.5)≈0.341 と表示される。この値が、確率変数がその区間に入る確率、つまり PDF の下の面積なんだ。

次に、分布のパラメータ設定で尺度を混同しないこと。二項分布の試行回数nと成功確率p、ポアソン分布の平均発生回数λは、現実のデータに合わせて単位をきちんと考える必要がある。例えば、「1時間当たり平均3回到着する客」をポアソン分布でモデル化する場合、分析したい時間枠が30分ならλ=1.5に設定しなければならない。ツールでλを3から1.5に変えると、分布の山の位置が左に移動するのが確認できるよ。この設定ミスは、予測結果を大きく歪めるので要注意だ。

最後に、モンテカルロサンプリングの「N」の値は大きければ良いわけではないという実務的な落とし穴。確かにN=2000よりN=10000の方が理論的なPDFに近いヒストグラムになるが、計算コストと精度のトレードオフを考えよう。特に、まれにしか起きない「テールリスク」を評価したい場合、単純にNを増やすよりも、重点サンプリングなどの高度な手法が必要になる。ツールで「t分布」を選んで自由度を 3 にし、「N=2000 サンプル生成」ボタンを何度も押して確認してみて。ヒストグラムの両端(裾)の形が実行毎に大きくばらつくはずだ。これが、稀な事象のシミュレーションが難しい理由の一端なんだ。

使い方ガイド

  1. セレクトボックスで分布を選びます(正規・ポアソン・二項・指数・カイ二乗・ベータ・ガンマ・一様・t の9種類)。選んだ分布のパラメータのスライダーと数値欄が下に現れます(例:正規分布なら μ=−5〜5、σ=0.1〜5)
  2. パラメータを動かすと、PDF(左軸)と CDF(右軸)のグラフ、平均・分散・歪度・超過尖度が即座に更新されます。区間確率 P(a ≤ X ≤ b) は a、b の欄に境界を入れると計算されます(a < b のとき)
  3. 「N=2000 サンプル生成」ボタンを押すと、その分布から 2000 個の乱数を生成し、ヒストグラムを理論 PDF と重ねて表示します。プリセット(標準正規・Poisson λ=5・B(10,0.5))でよく使う設定に戻せます

具体的な計算例

ポアソン分布を選び λ=5 とすると(プリセット「Poisson λ=5」)、平均 5・分散 5・歪度 0.447・超過尖度 0.200 が表示されます。1時間に平均 5 件の問い合わせが来る窓口で、1時間の件数が 3〜7 件に収まる確率は、区間に a=3、b=7 を入れて P(3≤X≤7)=0.7420 と読めます。正規分布で製品重量(平均 500 g、標準偏差 2 g)を扱うときは標準化 z=(x−500)/2 を使います。496 g 以下は z≤−2 なので、μ=0・σ=1 のまま a=−6、b=−2 を入れると P≈0.0227、つまり不良率約 2.3%(正確には 2.28%)が得られます(490 g 以下は z≤−5 で約 3×10⁻⁷ と無視できる大きさです)。

実務での注意点