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接触疲労解析

転がり接触疲労・ピッティング強度計算機

ヘルツ接触理論で接触圧力・最大せん断応力・疲労寿命 L10 をリアルタイム計算。軸受や歯車のピッティング設計を直感的に理解できるCAEツール。

接触タイプ
形状パラメータ
半径 R₁ (mm)
mm
半径 R₂ (mm)
mm
材料(両体共通)
弾性係数 E₁ (GPa)
GPa
弾性係数 E₂ (GPa)
GPa
ポアソン比 ν
荷重
法線力 F (kN)
kN
計算結果
接触半径 a (µm)
最大接触圧力 p₀ (GPa)
最大せん断応力 τ_max (GPa)
τ_max 発生深さ (µm)
弾性接近量 δ (nm)
相対 L10 指数
接触

カラーマップ:接触圧力 p(r) と地下せん断応力場(白線:τ_max 発生深さ)

理論・主要公式

ヘルツ接触(点接触)

$$a = \left(\frac{3FR^ }{4E^ }\right)^{1/3}, \quad p_0 = \frac{3F}{2\pi a^2}$$ $$\tau_\text{max}\approx 0.31\,p_0 \quad \text{at depth}\approx 0.48\,a$$

$\frac{1}{R^ }=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}$,   $\frac{1}{E^ }=\frac{1-\nu_1^2}{E_1}+\frac{1-\nu_2^2}{E_2}$

転がり接触疲労・ピッティング強度計算機とは

🙋
このシミュレーターで計算できる「転がり接触疲労」って何ですか?軸受が壊れる原因ですか?
🎓
その通り!大まかに言うと、ボールベアリングや歯車が「転がりながら押し合う」ことで、表面のすぐ下で疲労が溜まって、小さな穴(ピッティング)がポコポコできる現象だ。例えば、自動車のホイールベアリングが「カラカラ」と異音を出すのは、これが原因のことが多いんだ。このツールでは、接触面の圧力や、疲労の元になる最大せん断応力がどこで起こるかを計算できるよ。
🙋
え、表面の下で壊れるんですか?じゃあ、左のグラフで赤く表示されている山が接触圧力で、その下の青い線がせん断応力ということですか?
🎓
鋭いね!その解釈で正解。表面の圧力はヘルツ接触で放物線状に分布する。でも、材料をずらそうとする「せん断応力」は表面直下、深さ0.48aのところで最大になる。シミュレーターで「法線力F」のスライダーをグイッと大きくしてみて。接触幅aが広がると同時に、最大せん断応力の位置(グラフの青丸)も深く移動するのがわかるだろう?これが設計で特に重要なポイントなんだ。
🙋
なるほど!で、右側に出てくる「L10寿命」って、どうやって求めてるんですか?信頼性90%の寿命ということですよね?
🎓
そう、90%が壊れない寿命だ。これは実務で非常によく使われる基準で、軸受メーカーのカタログ寿命計算の基礎になってる。計算式は、最大接触圧力$p_0$と材料の耐久限界から求めるんだ。ツールでは「弾性係数E₁, E₂」や「半径R₁, R₂」を変えると、接触状態が変わり、寿命が大きく変わるのが体感できる。硬い材料を使ったり、曲率を大きくすると寿命が伸びる理由がわかるよ。

物理モデルと主要な数式

二つの円柱(または球)が接触するときの、接触幅と最大接触圧力を求めるヘルツ接触の基本式です。等価半径$R^ $と等価弾性係数$E^ $を使って計算を簡略化します。

$$a = \left(\frac{3FR^ }{4E^ }\right)^{1/3}, \quad p_0 = \frac{3F}{2\pi a^2}$$

$a$: 接触半幅 [mm]
$p_0$: 最大接触圧力 [MPa]
$F$: 法線方向の荷重 [N]
$R^ $ : 等価半径 ($1/R^ = 1/R_1 + 1/R_2$) [mm]
$E^ $ : 等価ヤング率 ($1/E^ = (1-\nu_1^2)/E_1 + (1-\nu_2^2)/E_2$) [GPa]

転がり接触疲労の起点となる、接触面直下に発生する最大せん断応力$\tau_{max}$とその発生深度$z_{max}$を求める式です。この応力が材料の耐久限界を超えると、微小き裂が発生します。

$$\tau_\text{max}\approx 0.31\,p_0 \quad \text{at depth}\quad z_\text{max}\approx 0.48\,a$$

$\tau_{max}$: 最大せん断応力 [MPa]。圧力分布の内部で発生し、材料の降伏や疲労き裂の起点となる。
$z_{max}$: 最大せん断応力の発生深度 [mm]。表面ではなく、少し下がった位置で最大となるのがポイント。

よくある質問

L10寿命は、同じ条件下で転がり接触する部品のうち90%が疲労(ピッティング)を起こさずに到達できる総回転数です。信頼性90%の寿命指標であり、軸受や歯車の設計基準として広く使われます。
等価半径R*は、接触する二つの物体の半径R1,R2から1/R*=1/R1+1/R2で計算します。等価弾性係数E*は、各材料のヤング率Eとポアソン比νを用いて1/E*=(1-ν1²)/E1+(1-ν2²)/E2で求められます。
はい、両方に適用可能です。歯車の歯面接触や軸受の転動体-軌道面接触はヘルツ接触理論でモデル化できるため、接触圧力や最大せん断応力を計算し、ピッティング寿命評価に活用できます。
最大せん断応力は接触面直下の内部(深さ約0.5a、aは接触半幅)に発生します。この値が材料の疲労限度を超えると内部き裂が生じピッティングに至るため、材料選定や硬化層深さの設計指標として活用できます。

実世界での応用

自動車・産業機械用軸受の寿命予測:ボールベアリングやローラーベアリングの設計では、この計算で求めたL10寿命が信頼性の指標となります。荷重条件や材料を変えた時の寿命変化を迅速に評価でき、最適な軸受選定に役立ちます。

歯車の歯面強度設計:歯車が噛み合う部分は線接触に近い状態です。この計算で接触圧力とせん断応力を評価し、ピッティング(歯面の点食)が発生しないように歯形や熱処理を決定します。

レールと車輪の接触疲労解析:鉄道のレール頭部と車輪の接触部は、巨大な荷重が繰り返し作用します。接触圧力と内部せん断応力を計算することで、レールのすり減りや剥離損傷のメカニズムを理解し、保守間隔の設定に活用されます。

カムフォロワーなどの機械要素の設計:エンジンのカムシャフトとフォロワーなど、転がり接触を利用する部品全てに応用可能です。表面硬化処理の有効深さを、最大せん断応力の発生深度と比較して決定するなど、材料設計の基礎データとなります。

よくある誤解と注意点

この手の計算で最初にハマるポイントをいくつか挙げておくよ。まず、「接触幅aが大きければ大きいほど安全」という誤解。確かに接触圧力p0は下がるけど、最大せん断応力τ_maxの発生深度z_maxも深くなるんだ。例えば、表面硬化処理をした歯車の場合、硬化層の深さがこのz_maxより浅いと、一番応力が高い場所が軟らかい芯材部分になってしまい、かえって早期破損の原因になる。ツールでFを大きくしてz_maxの動きを確認してみると、この関係がよくわかるはずだ。

次に、材料パラメータの入力ミス。特にポアソン比νは0.3前後で適当に入れがちだけど、これが等価ヤング率E*を計算する式 $1/E^* = (1-\nu_1^2)/E_1 + (1-\nu_2^2)/E_2$ に入っている。νを0.25と0.33で変えただけでも、E*は数%変わり、寿命L10にはさらに大きな影響が出る。実務では材料証明書の値を必ず確認しよう。

最後に、この計算は「理想的な状態」の基礎値であることを忘れないで。実際の軸受や歯車には、潤滑油の影響、表面粗さ、残留応力、組み付け誤差など、計算に入っていない要素が山ほどある。例えば、ツールで計算した寿命が10,000時間でも、潤滑不良があればその1/10以下になることも珍しくない。このシミュレーション結果は「比較のためのベンチマーク」と捉え、安全率をしっかり見込んだ設計を心がけよう。

使い方ガイド

  1. ヘルツ接触理論に基づいて、2つの転がり要素(軸受玉、歯車歯面など)の曲率半径R1、R2をmmで入力します
  2. 接触幅Lcontactをmm、材料のヤング率E1、E2をGPaで設定し、負荷荷重を決定します
  3. 計算実行により接触半径a、最大接触圧力p₀、最大せん断応力τ_max、ピッティング深さを自動算出し、L10寿命指数で耐久性を評価します

具体的な計算例

深溝玉軸受6205の設計例:玉曲率半径R1=4.5mm、内輪曲率半径R2=5.2mm、接触幅L=8mm、材料SUJ2(E=210GPa)、動荷重3kNを負荷。ヘルツ式より接触半径a≈0.42mm、最大接触圧力p₀≈1.58GPa、最大せん断応力τ_max≈0.55GPaが表面下0.48mm深さで発生。弾性接近量δ≈2.8μm、L10指数1.8を得て、設計仕様と照合し100万回転での初期剥離リスクを判定します

実務での注意点

  1. ピッティング発生の臨界条件:硬化処理鋼(HRC58-65)で最大接触圧力が1.6GPaを超える場合、スポーリング寿命が急速に低下するため、幾何形状を見直し曲率を大きくします
  2. 潤滑膜厚さ(λ≈1.0以上が理想)との相互作用:EHL計算と並用し、λ<1の境界潤滑域では添加剤効果を考慮してください
  3. 表面粗さ影響:Ra>0.4μmの場合、接触圧力が局所的に30%上昇するため、研削・ラップ仕上げで表面品質を確保し、計算値に補正係数を適用します