青線:軌道面 ●:衛星位置(真近点角 ν) 白波線:地上軌跡
軌道速度: $v = \sqrt{\dfrac{\mu}{R_e+h}}$
$\mu = 3.986\times10^{14}$ m³/s², $R_e = 6371$ km
衛星運用エンジニア向けに、高度 h・傾斜角 i・RAAN を操作してカバレッジ半径と日食割合を試算できる運用設計版です。LEO/GEO 評価、地上局アクセス検討、電力収支の前段に。基礎概念は『軌道力学 基礎シミュレーター』、電力収支は『衛星電力バジェット』、熱設計は『衛星熱制御』を併用してください。
青線:軌道面 ●:衛星位置(真近点角 ν) 白波線:地上軌跡
通信・放送:静止軌道(GEO)を利用し、特定の地域に向けて常時同じ位置から電波を送信します。衛星テレビや国際電話の中継、GPS衛星からの信号補強などに使われています。
気象観測・地球監視:GEO衛星は広範囲の雲の動きを連続観測し、天気予報に活用されます。一方、極軌道に近いLEO衛星は地球全体をくまなく撮影し、森林火災、海氷の減少、農作物の生育状況などを監視します。
測位・ナビゲーション:GPSやみちびき(準天頂衛星システム)は、複数の衛星からの信号到達時間を使って位置を計算します。軌道の設計は、常に複数の衛星が利用者の上空に見えるように最適化されています。
科学観測・宇宙開発:ハッブル宇宙望遠鏡のような天文観測衛星は、大気の影響を受けないLEOから宇宙を観測します。また、他の惑星探査機を打ち上げる際にも、まず地球周回軌道に乗せ、そこから加速する「ホーマン遷移軌道」が計算されます。
シミュレーターを使い始めるときに、特に気をつけてほしいポイントがいくつかあるよ。まず、「軌道は完全な円」という前提だ。このツールは理解を簡単にするために円軌道で計算しているけど、実際の衛星軌道の多くは楕円だ。例えば、地球観測衛星は近地点(地球に一番近い点)と遠地点で高度が数百kmも違うことがある。円軌道の計算は第一近似としては優秀だけど、実設計では楕円軌道の要素(離心率)を必ず考慮するんだ。
次に、パラメータ同士の依存関係を見落とすこと。例えば「静止軌道(GEO)は高度約36,000kmで傾斜角0度」と覚えるけど、これは地球が完全な球で、かつ他の天体の重力(摂動)が無い理想的な場合。現実には、地球は少しつぶれた形(扁平体)なので、傾斜角0度を厳密に保とうとすると、衛星は勝手に少しずつ傾いてしまう。これを防ぐために定期的に軌道制御(スラスタ噴射)が必要なんだ。シミュレーター上でパラメータをいじる時は、「この値を変えたら、他のどの値に影響が出るかな?」と考えるクセをつけよう。
最後に、「カバレッジ半径」の解釈。ツールは幾何学的に「衛星から見える地表の範囲」を計算している。でも、通信や観測の実務では、この範囲全体が均一に使えるわけじゃない。例えば、地球の端の方(地平線ギリギリ)では電波が大気で減衰したり遅延が大きくなったりする。実用的なサービス提供エリアは、カバレッジ半径よりもかなり狭くなることを頭に入れておいてね。
高度800km、傾斜角98.2°(太陽同期軌道)、RAAN=0°のLEO衛星を想定します。軌道周期は約101分、速度は7.46km/sです。地球半径6371kmを基準とする有効カバレッジ半径は約2700kmで、地上局との可視時間は1周期当たり約10分です。年間日食割合は約72%(冬至付近で最大)となり、バッテリ容量設計時に日中発電停止期間の考慮が必須です