集熱面積・日射量・入口水温・環境温度を調整して、HWB式による瞬時集熱量・日積算量・200Lタンク昇温量・効率曲線をリアルタイム計算。
住宅用給湯システムの設計:世帯人数や地域の日射量から必要な集熱面積を決定します。シミュレーターで冬の条件(日射量は低め、外気温は低め)を設定し、十分な温湯が得られるかを確認するのが典型的な使い方です。
農業用・業務用温水需要への適用:養殖場の水温維持やホテルの給湯など、大量の低温温水が必要な場合に効果的です。集熱面積を大きく設定し、得られる日積算熱量(MJ/日)が需要を満たせるかシミュレーションします。
集熱器の性能比較と選定:メーカーカタログの性能値(F_Rτα, F_RU_L)をシミュレーターに入力し、自社の使用条件(想定する入口水温、地域の気象)でどれだけ効率が違うかを定量的に比較できます。
システムの安全確認(スタグネーション温度の算定):循環ポンプが停止した時、集熱器が到達する最高温度(スタグネーション温度)を見積もります。これがコレクターや配管の耐熱温度を超えないか確認し、過熱防止策を講じるために重要です。
まず、「日射量」の入力値は、実際の設置面での値だという点を見落としがちだ。シミュレーターに入力する「面内日射量」は、水平面の日射量とは違う。例えば、屋根に傾斜角30度で設置した場合、真夏の南向きでは水平面より1.2倍程度多い値になることもある。逆に冬の朝夕では逆転することも。実設計では、気象データベースから傾斜面日射量を算出するのが正しい手順だ。
次に、「瞬時集熱量」の値は、あくまで「ある一瞬」の話だという点。例えば、日射量1000W/m²、効率50%で計算された500W/m²の熱は、その条件が1時間続けば0.5kWhの熱エネルギーに相当する。日積算量はこの「一瞬」の計算を一日分積分した結果だ。だから、朝から晩まで同じ条件が続くわけではないので、時間ごとの日射量・気温データを使った逐次計算がより現実的だ。
最後に、シミュレーターの「効率」は集熱器単体の性能であり、システム全体の給湯効率ではない点に注意しよう。例えば、集熱器で80℃のお湯を作れても、配管の熱損失が大きくてタンクに届く時は60℃、ということはよくある。また、タンクが満タンで集熱が止まる「ストッピングロス」も全体効率を下げる。このツールはあくまでコアとなる集熱性能を評価するもので、システム設計にはポンプ動力や制御ロジックなど他の要素も考慮が必要だ。
南西日本で集熱面積6m²、日射量700W/m²、入口水温20°C、FR=0.75、UL=6W/m²Kの平板集熱器の場合、瞬時集熱量Q=(0.75×700×6)-(6×6×(20-25))=3150+180=3330W≒3.3kWと計算されます。冬季の晴天8時間積算では26kWh/日となり、200Lタンク(比熱4.2kJ/kg°C)の昇温は31°Cに達します。停滞温度は日射量と外気温から85°C程度と推定されます