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実験計測・構造解析

ひずみゲージ・ブリッジ計算ツール

ゲージ率・供給電圧・ブリッジ構成を選ぶだけで出力電圧と感度を即座に計算。4種のブリッジを同時比較して温度補償の効果を体感しよう。

パラメータ設定
ゲージ率 GF
供給電圧 Vs (V)
V
ポアソン比 ν
温度変化 ΔT (°C)
°C
ヤング率 E (GPa)
GPa
計算結果
1/4 Vout@1kμε (mV)
感度 (mV/V/με)
T誤差@ΔT (mV)
-
sigma@1000ue (MPa)
ひずみ ε vs 出力電圧 Vout(4構成比較)
温度変化 ΔT vs 温度誤差電圧(未補償1/4ブリッジ)
理論・主要公式
1/4ブリッジ:$V_{out}= \frac{V_s}{4}GF \cdot \varepsilon$
1/2曲げ:$V_{out}= \frac{V_s}{2}GF \cdot \varepsilon (1+\nu)$
全ブリッジ:$V_{out}= V_s \cdot GF \cdot \varepsilon (1+\nu)$
温度誤差:$\Delta V_T \approx \frac{V_s}{4}(\alpha_R - \alpha_{sub})\Delta T$

ひずみゲージ・ブリッジ計算ツールとは

🙋
ひずみゲージって、どうして電気信号で「歪み」が測れるんですか? 抵抗が変わるって聞いたけど、具体的にどう計算するんですか?
🎓
大まかに言うと、ゲージが伸び縮みすると抵抗値が微かに変化するんだ。その変化を「ホイートストンブリッジ」という回路で電圧の変化に変換して読み取る。このツールの上のスライダーで「ゲージ率(GF)」を動かしてみて。GFが大きいほど、同じ歪みでも出力電圧が大きく変わる、つまり感度が高いということだよ。
🙋
え、そうなんですか!「1/4ブリッジ」とか「全ブリッジ」って表示がありますけど、何が違うんですか? 結果のグラフが全然違いますね。
🎓
良いところに気づいたね。1/4ブリッジはゲージ1個だけ使う一番シンプルな構成。でも、温度が変わるとそれだけで誤差が出てしまうんだ。実務で多いのは、温度補償のためにダミーゲージを使う「1/2ブリッジ」や、感度を最大にする「全ブリッジ」だ。ツールで「温度変化ΔT」の値を増やしてみると、1/4ブリッジだけが大きくずれるのがわかるよ。
🙋
「1/2曲げ」って構成の感度が「1/2」より高い理由は何ですか? 式に(1+ν)って付いてますね。
🎓
これは「ポアソン効果」を利用した賢いやり方なんだ。例えば梁を曲げると、上面は圧縮(横に膨らむ)、下面は引張(横に縮む)になるよね。この横ひずみも拾うようにゲージを配置すると、縦ひずみεにポアソン比νを考慮した(1+ν)倍の信号が得られるんだ。ツールの「ポアソン比ν」を変えると、この構成の出力がどう変わるか確認してみよう。

よくある質問

主に温度補償と感度が異なります。1/4ブリッジは温度変化の影響を受けやすく感度が低いですが、4ゲージブリッジ(フルブリッジ)は温度補償が完全で感度が最も高くなります。2ゲージブリッジはその中間です。本ツールで4種を同時比較し、温度補償の効果を体感できます。
ゲージ率はひずみに対する抵抗変化の感度を表します。GFが大きいほど、同じひずみでも大きな出力電圧が得られます。例えばGF=2.0の金属箔ゲージとGF=100以上の半導体ゲージでは、出力電圧が大きく異なります。ツールで値を変えて比較してみてください。
主な原因として、リード線抵抗の影響、ゲージの貼り付け不良、温度変化によるゼロ点ドリフト、供給電圧の誤差が考えられます。また、本ツールは理想的なブリッジ回路を前提としています。実際の測定では、これらの誤差要因を考慮した校正が必要です。
4種類のブリッジ構成(1/4, 2ゲージ, 4ゲージ)を同時に表示し、同じひずみ値を入力して出力電圧を比較してください。温度変化による見かけのひずみ(疑似ひずみ)は、アクティブゲージとダミーゲージの配置で相殺されます。フルブリッジほど温度補償効果が高いことを数値で確認できます。

実世界での応用

構造物の健全性モニタリング:橋梁やビル、風力発電のブレードなどにひずみゲージを貼り付け、長期にわたる負荷や疲労によるひずみを計測します。全ブリッジ構成を用いて温度変化の影響を排除し、高精度なデータを取得します。

自動車の衝突試験と車体開発:衝突実験では、車体各部に数百点のひずみゲージを貼付し、衝撃エネルギーの伝達経路や各部品の変形挙動を詳細に計測します。曲げやねじりを測定するため、1/2曲げブリッジがよく用いられます。

航空宇宙機体の地上試験:飛行中の翼や胴体にかかる実際の空気力を模擬する地上強度試験で、機体構造のひずみ分布を測定します。極端な温度環境下でも測定できるよう、温度補償付きのブリッジ構成が必須です。

ロボットアームや精密機械の力覚センサ:ロボットの把持力や作業反力を検出する「6軸力センサ」の内部では、ひずみゲージを全ブリッジ構成で配置し、微小なひずみから3次元の力とモーメントを算出しています。

よくある誤解と注意点

まず、「ゲージ率(GF)は大きければ大きいほど良い」という誤解です。確かに感度は上がりますが、GFが高い材料は温度依存性も大きい傾向があります。例えば、半導体ひずみゲージ(GF: 100以上)は金属箔(GF: 約2.0)よりはるかに感度が高いですが、温度補償が必須で扱いが難しい。実務では「安定性」と「感度」のトレードオフを考え、金属箔が選ばれることが多いんです。

次に、供給電圧$V_s$の設定 。出力電圧は$V_s$に比例するから、大きくすれば良いと思いがちですが、ゲージに流れる電流で自己発熱(ジュール熱)が起こり、誤差や破損の原因になります。例えば、120Ωのゲージに10Vをかけると約0.83Wの熱が発生。一般的には1〜5V程度で、発熱を抑えつつ十分な信号を得る調整が必要です。

最後に、「全ブリッジは常に最適」という思い込み。感度は最高ですが、ゲージを4枚も貼る必要があり、コストと工数がかかります。また、全てのゲージが完全に同じ特性でないと、理論通りの出力になりません。梁の片持ちはりなど、貼付位置が限られる場合には、1/2曲げブリッジで十分な場合も多い。目的とコスト、実装可能性のバランスを見極めましょう。

使い方ガイド

  1. ゲージ率(GF)を入力:一般的なシリコン系ひずみゲージは1.5~2.5、金属系は2.0~2.1を設定
  2. 供給電圧(Vs)を設定:典型的な条件は5V(AC計測)または10V(DC計測)、過熱を避けるため20V以下を推奨
  3. ブリッジ構成を選択:1/4ブリッジ(単一ゲージ)、1/2ブリッジ(2軸相補配置)、フルブリッジ(4軸完全補償)から最適なタイプを指定
  4. 温度変化(ΔT)を入力:室温からの差分を℃で指定し、温度ドリフト誤差を自動計算
  5. 「計算実行」で出力電圧、感度、温度補償効果、応力値を一括算出

具体的な計算例

アルミニウム製キャンチレバー梁(E=70GPa)にひずみゲージ(GF=2.05)を貼付し、先端に100N荷重を負荷した場合を計算。梁長さ100mm、断面2次モーメント150mm⁴とすると、発生ひずみは約952μεです。1/4ブリッジ構成、Vs=10Vで計測すると出力電圧は約4.9mV、感度は0.49mV/V/μεとなります。ΔT=30℃の温度上昇時に1/2ブリッジ補償を適用すると温度誤差は約0.15mVに低減され、正確な応力値(σ≈67MPa)が得られます。

実務での注意点

  1. 鋼製部材への接着では表面粗さRa0.8μm以下にケレンし、シアノアクリレート系接着剤で貼付後30分の養生時間を確保してGF=2.10と設定
  2. 長期計測では1/2ブリッジまたはフルブリッジ構成を採用し、温度補償用ダミーゲージを近接配置してドリフト誤差を±0.5mV以内に抑制
  3. 供給電圧10V以上の場合、セルフヒーティング効果によるゲージ温度上昇(約1℃/5mW)を考慮し、データロガーの計測間隔を調整
  4. 複合材料(CFRP、GFRPなど)の非線形領域計測時には、ひずみレンジ±5000μεを超えない設定値の確認が必須