渦形成シミュレーター 戻る
流体解析

渦形成シミュレーター

クリック/ドラッグで流体を撹拌して渦構造を生成。ランキン渦モデルによる速度場計算と粒子トレーサー可視化。カルマン渦列・渦対プリセット搭載。

操作パネル

🖱 ドラッグ: 正回転渦 | 右クリック+ドラッグ: 逆回転渦

表示オプション

遅い速い

プリセット

アクション

理論メモ

計算結果
活動渦数
0
総循環 Γ
0.0
粒子数
0
FPS
0
色付け
速度
シミュレーション
ドラッグして渦を生成
理論・主要公式

$$\omega = \nabla \times \mathbf{u} = \frac{\partial v}{\partial x} - \frac{\partial u}{\partial y}$$

渦度(2次元)[1/s]:速度場の回転成分

$$\frac{D\omega}{Dt} = \nu \nabla^2 \omega$$

2次元渦度方程式(非圧縮粘性流):$\nu$ 動粘性係数 [m²/s](延伸項は2Dで消滅)

$St = \frac{fD}{U} \approx 0.2 \quad (10^3 \lt Re \lt 10^5)$

ストローハル数:カルマン渦列の放出周波数 $f$ [Hz]、$D$ 柱径 [m]、$U$ 流速 [m/s]

渦形成シミュレーターとは

🙋
このシミュレーターで、マウスでぐるぐるかき混ぜると渦ができるけど、これって現実の水や空気の動きと同じ仕組みなんですか?
🎓
大まかに言うと、その通りだよ。このツールは「渦法」という、流体を小さな渦の粒(渦要素)の集まりとして計算する方法を使っているんだ。マウスで引く軌道が渦度(うずど)という「回転の強さ」を与えて、それが周りの流体を巻き込んでいく様子を再現している。実務のCAEでも、乱流の大きな構造を解析する時に似た手法が使われることがあるね。
🙋
「粘性」ってパラメータを変えると渦の広がり方が変わるみたいだけど、あれは何を表してるんですか?
🎓
粘性は、流体の「ねばつき」や「摩擦」の度合いだと思って。値が大きい(減衰率が高い)と、渦のエネルギーがすぐに周りに拡散して消えていく。逆に小さいと、きれいな渦が長く保たれる。上のスライダーで粘性をゼロに近づけてかき混ぜてみると、渦がほとんど減衰せずに複雑に絡み合うのがわかるよ。これは、水より空気の方が粘性が低いことにも対応しているんだ。
🙋
プリセットの「カルマン渦列」って、円柱の後ろにできる交互の渦ですよね。これが実際に問題になるって本当ですか?
🎓
本当だよ。これが「渦励振(Vortex Induced Vibration)」という現象の原因になる。例えば、橋のケーブルや煙突、海底パイプラインに風や海流が当たると、この交互に剥離する渦が構造物に周期的な力を加える。シミュレーターで「渦核半径ε」を変えてみると、渦の大きさや間隔が変わって、発生する力の周期も変わるのが体感できる。CAEでは、この振動による疲労破壊を予測するために詳細に解析するんだ。

よくある質問

渦核半径εはランキン渦モデルの渦核の大きさを決めるパラメータです。εを小さくすると渦の中心付近の速度勾配が急峻になり、より強いせん断流が発生します。逆に大きくすると渦全体が滑らかで拡散した流れになります。
カルマン渦列は円柱後流などで見られる交互に放出される渦列を再現し、流れの振動や抗力変動の理解に適しています。渦対は2つの渦が互いに回転しながら移動する様子を可視化し、渦同士の相互作用や誘導速度の原理を学べます。
素早く長くドラッグするほど強い循環(渦の強さ)を持つ渦が生成されます。また、複数の渦を近接して配置すると、互いに干渉して複雑な流れパターンが生まれます。渦核半径を小さめに設定すると、より明瞭な渦構造が観察できます。
ランキン渦モデルでは、渦核内で粒子が剛体回転(等角速度)、渦核外で速度が距離に反比例して減衰します。粒子の軌跡が渦中心に近いほど速く回り、遠ざかるほど遅くなることを目視で確認してください。また、循環Γが大きいほど回転速度が増すことも検証できます。

実世界での応用

構造物の風・水流による振動解析:前述のカルマン渦列は、橋梁、高層ビル、煙突、海洋構造物などに周期的な横風力を発生させます。CAEを用いた流体構造連成解析(FSI)により、この「渦励振」が引き起こす振動や疲労寿命を予測し、設計段階で対策を講じます。

航空機・自動車の空力設計:翼端から発生する翼端渦は、後続機に影響を与え、誘導抵抗の原因となります。また、車体後方の渦構造は空気抵抗に直結します。CAEシミュレーションで渦の発生・発達を可視化し、燃費向上や安定性向上のための形状最適化に活用されます。

乱流の大規模構造解析:渦法は、数値拡散が少なく粒子を追跡する特性から、大気の流れ、河川の乱流、燃焼室内の混合過程など、大規模で複雑な渦構造の時間発展を捉えるのに適しています。実現象の本質的なメカニズムを理解するための研究ツールとしても重要です。

混拌・化学プロセス設計:化学プラントの反応槽やタンク内で、撹拌機によって生成される渦は、流体の混合効率や熱伝達を決定します。CAEを用いて流れ場を可視化・最適化することで、均一な混合を達成し、反効率向上やエネルギー消費の低減を図ります。

よくある誤解と注意点

このツールで遊び始めるときに、いくつか気をつけてほしいポイントがあるよ。まず、「マウスで速く動かせば強い渦ができる」と思いがちだけど、実はそう単純じゃない。このシミュレーターは「循環Γ」という渦の強さをマウスの軌跡に沿って付与している。つまり、動かす「速さ」よりも、動かした「軌跡が囲む面積」が大きく影響するんだ。ゆっくりでも大きく円を描くほうが、小刻みに速く動くよりも強い渦ができることがある。これは実務でも、境界条件の設定で「速度」と「渦度」を混同しないように、という注意に繋がるね。

次に、パラメータ「粘性」と「渦核半径ε」の関係だ。両方とも渦の広がり方に関わるから、同じような効果に見えるけど、物理的な意味は全く違う。「粘性」は流体そのものの性質で、渦のエネルギーが熱に散逸していく(減衰する)過程を表す。一方、「渦核半径ε」は計算モデル上のパラメータで、渦の中心部の構造をどのくらいの大きさで滑らかに表現するかを決めるもの。例えばεを極端に小さく(0.01など)して粘性もゼロにすると、渦が非常に鋭く、ほとんど減衰しないため、数値的不安定(渦が暴発的に強くなる)が起きやすくなる。実務のCFDでも、モデル化のためのパラメータと物性値は区別して理解することが特に重要だ。

最後に、これは「2次元」のシミュレーションだという根本的な制限を忘れないで。画面は平らだよね。現実の流れは3次元なので、ここで美しく見える渦の糸も、実際には渦管として複雑に伸びたり絡まったりする。このツールでカルマン渦列を再現しても、実際の円柱後流では3次元的な乱れ(スパン方向の変動)がすぐに発生する。2次元計算は現象の本質を掴むには最高だが、定量的な値を求める実務解析では常に3次元効果を考慮する必要がある、というのが大きな落とし穴なんだ。

使い方ガイド

  1. 粘性係数(viscosity)を設定します。水の場合1.0×10⁻³Pa・s、機械油の場合0.1Pa・s程度を入力し、流体の粘度特性を反映させます
  2. 粒子数(pcount)を50~5000の範囲で選択します。撹拌槽内の粒子トレーサー密度が増加し、渦構造の可視化精度が向上します
  3. 時間ステップdt(0.001~0.1秒)と計算精度eps(1.0×10⁻⁴~1.0×10⁻⁶)を調整してからシミュレーション開始ボタンをクリックします

具体的な計算例

撹拌槽径D=1m、回転速度N=300rpmの場合、ランキン渦モデルで中心コア半径r_c≈0.15mが算出されます。粘性係数1.0×10⁻³Pa・s、粒子数3000個、dt=0.01秒の設定でシミュレーション実行時、外部領域での接線速度v_θ=2.5m/s、渦度ζ=0となります。粒子軌跡はカルマン渦列を形成し、周期は約0.8秒です。

実務での注意点

  1. 非ニュートン流体の撹拌(トマトケチャップ、接着剤)ではPower Law指数nを0.5~0.8に設定し、粘性係数補正が必要です
  2. レイノルズ数Re=ρND²/μが1000を超える場合、乱流域判定により計算精度epsを1.0×10⁻⁶以下に縮小してください
  3. 粒子数が10000を超える場合、計算時間が指数関数的に増加するため、バッチ処理モードの使用を推奨します