電位分布解析 — トラブルシューティングガイド
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電位分布解析 — トラブルシューティングガイド
トラブルシューティング
電位分布解析でよくある問題を教えてください。
代表的なトラブルを整理しよう。
1. 等電位線がフリンジ効果を示さない
等電位線が平行平板間で直線的になり、端効果が見えません。
原因: 解析領域が狭すぎる。
対策: 領域を電極の10倍以上に広げるか、COMSOLの無限要素を使う。
2. 浮遊導体で収束しない
電圧も接地もしない導体を置いたら発散します。
原因: 浮遊導体のFloating Potential境界条件が未設定。行列が特異になる。COMSOLでもAnsys Maxwellでも「Floating Potential」を明示的に設定すること。
3. 電界が鋭角部で発散する
メッシュを細かくするほど電界が大きくなります。
鋭角部は理論的に電界特異性を持つ($E \propto r^{-\alpha}$, $\alpha > 0$)。これは物理的に正しい挙動だ。
対策:
- 実際の電極にはフィレットがある。R0.1mm程度の丸みを追加
- 点値ではなく積分量(電荷、エネルギー)で評価
- メッシュ細分化しても収束しないのは特異点の証拠
4. 異なるツールで結果が合わない
COMSOLとFEMMで同じ問題を解いたら5%ずれます。
確認事項:
- 境界条件が同一か(特に外部境界の処理方法)
- 誘電率の設定が一致しているか
- メッシュの収束性を両方で確認したか
- 2DモデルでのUnit Depthの扱いが一致しているか(COMSOLは1m、FEMMは1m/rad等)
Coffee Break よもやま話
電位解析で収束しない——接地境界条件の設定ミスと材料定数の不整合
静電界FEM解析で「残差が収束しない」「電位が際限なく上昇する」という典型的な問題は、接地(Dirichlet)境界条件の設定漏れが原因のケースが最多だ。電界解析では必ず少なくとも1つの電位固定点(V=0のグラウンド)が必要で、これがないとポアソン方程式の解が一意に定まらず発散する。また多層誘電体の境界で誘電率の設定ミスがあると、電束密度の法線成分保存条件が満たされず界面で電界が跳び(不連続)、収束が大幅に遅化する。診断手順:①全ての材料領域に誘電率を正しく割り当てているか確認する。②Dirichlet境界条件(固定電位)が少なくとも1カ所に設定されているか確認する。③非常に細いフィレット(R<1um)をモデルに含めていないか——電界集中で数値発散のリスクがある。
トラブル解決の考え方
「解析が合わない」と思ったら
- まず深呼吸——焦って設定をランダムに変えると、問題がさらに複雑になる
- 最小再現ケースを作る——電位分布解析の問題を最も単純な形で再現する。「引き算のデバッグ」が最も効率的
- 1つだけ変えて再実行——複数の変更を同時に行うと、何が効いたか分からなくなる。科学実験と同じ「対照実験」の原則
- 物理に立ち返る——計算結果が「重力に逆らって物が浮く」ような非物理的な結果なら、入力データの根本的な間違いを疑う
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