CAE解析の流れ — プリ処理・ソルバー・ポスト処理の3ステップ

カテゴリ: CAE入門ガイド | 2026-03-21
CAE visualization for workflow - technical simulation diagram
Workflow

全体の流れ — CAE解析は「料理」に似ている

🧑‍🎓

先生、CAEソフトを立ち上げたんですけど、何からやればいいかさっぱりわかりません。ボタンが多すぎて...

🎓

落ち着け。CAEの作業はたった3ステップしかない。料理と同じだ:

  1. プリ処理 = 下ごしらえ:野菜を切って、調味料を量る。CAEではメッシュを切って、材料と境界条件を設定する
  2. ソルバー = 煮込み:鍋に入れて火にかける。CAEでは「実行」ボタンを押してPCに計算させる
  3. ポスト処理 = 味見:できた料理を食べて評価する。CAEでは結果のコンター図を見て「これ大丈夫か?」と判断する

重要なのは、下ごしらえ(プリ処理)が全体の6〜7割の時間を占めるということ。ここが雑だと、どんなに高性能なソルバーを使っても結果はゴミになる。

🧑‍🎓

え、計算より準備の方が時間かかるんですか!

🎓

そう。ベテランのCAEエンジニアほどプリ処理に時間をかける。新人ほど「とりあえず計算回してみよう」と急ぐ。で、失敗する。

STEP 1
プリ処理
全工数の60〜70%
STEP 2
ソルバー(計算)
全工数の10〜20%
STEP 3
ポスト処理
全工数の10〜20%

STEP 1: プリ処理(Pre-processing)— 解析の成否を決める最重要工程

🧑‍🎓

じゃあプリ処理を具体的に教えてください。何をするんですか?

🎓

大きく4つの作業がある。順番に見ていこう。

1-1. CADモデルの準備・簡略化

3D CADデータをそのまま解析に使うことは稀です。解析に不要な微小フィレット、ボルト穴、面取りを除去(デフィーチャリング)して計算コストを抑えます。

🧑‍🎓

CADデータをそのまま使っちゃダメなんですか?

🎓

そのまま使うとメッシュが何百万要素にもなって計算が終わらない。例えばエンジンブロックのCADデータには小さなボルト穴が100個あったりするが、全体の変形を見たいなら半分以上は消していい。原則は「知りたい現象に影響しない形状は省く」だ。ただしこの判断には経験がいる。

1-2. メッシュ生成

連続体を有限個の要素(三角形、四面体、六面体など)に分割します。メッシュの品質が解析精度に直結します。

要素タイプ特徴適用場面
四面体(Tet)自動生成が容易、複雑形状に対応汎用的。初心者はまずこれ
六面体(Hex)高精度、少ない要素数で収束流体境界層、構造の薄板
プリズム/ウェッジ境界層メッシュに最適CFDの壁面近傍

1-3. 材料物性の定義

ヤング率、ポアソン比、密度、熱伝導率、比熱など、解析に必要な物性値を設定します。単位系の統一が極めて重要です。

1-4. 境界条件と荷重の設定

拘束条件(固定、対称面、周期境界)と荷重(力、圧力、温度、流速)を設定します。現実の物理を正しくモデル化できるかが、エンジニアの腕の見せ所です。

STEP 2: ソルバー(Solver)— コンピュータが方程式を解く

🧑‍🎓

プリ処理が終わったら、いよいよ「実行」ボタンを押すんですね。ソルバーって中で何やってるんですか?

🎓

ざっくり言うと、さっき設定したメッシュの節点ごとに「力のつり合い」や「流れの方程式」を立てて、巨大な連立方程式を解いている。10万節点なら30万×30万のマトリクスだ。エンジニアが介入する余地は少ないが、いくつか気をつけるポイントがある:

  • 収束判定基準:残差の閾値(通常 $10^{-4}$〜$10^{-6}$)
  • 時間刻み:非定常解析ではクーラン数(CFL条件)に注意
  • 並列計算設定:大規模モデルではMPIの分割数を最適化
🧑‍🎓

「収束しませんでした」ってエラーが出て計算が止まったんですけど、何がダメなんですか?

🎓

初心者あるあるだな。経験上、原因の9割はプリ処理のミスだ。メッシュの形がおかしい、境界条件が物理的に矛盾してる、材料物性の単位を間違えてる...大体このどれかだ。ソルバーのせいにする前に、まず自分の設定を疑え。詳しくはエラーの防ぎ方にまとめてある。

STEP 3: ポスト処理(Post-processing)— 結果をどう「読む」か

🧑‍🎓

無事に計算が終わりました! きれいな色の図が出てきたんですけど、これで完了ですか?

🎓

まだだ。きれいなコンター図が出ると「おお!」ってなるけど、そこからが本番。計算結果を工学的に正しく解釈するのがポスト処理だ。

主な可視化手法:

🧑‍🎓

コンター図を見て「赤いところが危ない」ってことはわかるんですが、その数値が正しいかどうかはどうやって判断するんですか?

🎓

いい質問だ。「結果がきれいに出た = 正しい」とは限らない。必ず以下を確認しろ:

  • 反力の合計は荷重と釣り合っているか?
  • 理論解や実験データと比較して妥当か?
  • メッシュを細かくしても結果が変わらないか?(メッシュ収束性)
  • エネルギーバランスは成立しているか?

設計改善の反復サイクル

CAE解析は一度きりで終わるものではありません。結果に基づいて設計を修正し、再度解析を行う反復プロセスです。

設計 → プリ処理 → ソルバー → ポスト処理 → 評価 → 設計修正 → ...

このサイクルを高速に回すことがCAEの真価。1回の「正しい答え」ではなく、「より良い設計への収束」が目的です。

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Written by NovaSolver Contributors
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