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電気化学・エネルギー

バッテリーSOC・充放電シミュレーター

容量・内部抵抗・Cレートを設定して、等価回路モデルによる放電曲線(電圧 vs SOC)をリアルタイム可視化。Li-ion / LFP / NiMH の 3種に対応し、劣化サイクルと高レート放電の影響を体験できます。

電池種類

パラメータ

公称電圧 V_nom (V)
実効エネルギー (Wh)
放電時間 (h)
放電電流 I (A)
電圧降下 ΔV (V)
実効容量 Q (Ah)

SOC(0〜100%)に対する端子電圧の放電曲線。実線 = 等価回路モデル(OCV − I×R_int)。

C レート(0.5C / 1C / 2C / 3C)を比較した放電曲線。高レートほど電圧降下大・実効容量小。

充放電サイクル数に対する容量残存率の推定曲線(指数モデル)。現在の劣化係数を● で表示。

バッテリーのSOCと充放電 — 会話で理解する

🧑‍🎓
SOCって「充電残量」のことですよね?スマホのバッテリー残量みたいな。でも実際にどうやって計算するんですか?
🎓
そう、State of Charge(充電状態)だ。一番シンプルな方法は「クーロンカウンティング」で、SOC(t) = SOC₀ - ∫I dt / Q₀ と流れた電荷量を積算するだけ。ただし内部抵抗での損失や経年劣化で実際の容量 Q₀ が変わるから、電圧から OCV(開回路電圧)を参照してSOCを補正する「カルマンフィルタ法」も実用では使われる。
🧑‍🎓
放電すると電圧が下がりますよね。あれは内部抵抗が原因ですか?
🎓
それが主な原因だ。端子電圧 Vt = OCV(SOC) − I × R_int という等価回路モデルで表せる。OCV はSOCに応じて変化する「理想電圧」で、電流 I を流すと内部抵抗 R_int での電圧降下 I×R_int が引かれた値が端子に出てくる。充電時は逆符号になって OCV + I×R_int になる。
🧑‍🎓
「Cレート」って何ですか?「3C放電」とはどういう状態ですか?
🎓
1C は「満充電容量を1時間で放電する電流」だ。容量50Ahのバッテリーなら1C = 50A。3C放電なら150Aで、約20分で空になる計算。ただし高レートだと電圧降下が大きくなって、早めにカットオフ電圧(例:2.5V)に達してしまうから、実際に取り出せる容量は定格より少なくなる。これをペウカート効果という。
🧑‍🎓
Li-ionとLFPの放電曲線の形が全然違いますよね。LFPがフラットになる理由は?
🎓
電気化学的な相転移の違いだ。LFP(リン酸鉄リチウム)は LiFePO₄ と FePO₄ の2相共存領域が広く、その間は電位がほぼ固定される。Li-ion(NMC)はリチウム濃度が連続的に変化するので電圧も緩やかに変化する。LFPのフラット特性はSOC推定をOCVからやりにくくする難点にもなっているんだ。
🧑‍🎓
EVや工場のバッテリー管理システム(BMS)ではどんな計算をしているんですか?
🎓
主に ① SOC推定(クーロンカウンティング + 電圧補正)、② SOH(State of Health、健全度:現在容量/初期容量)、③ セル間のバランシング制御、④ 温度管理(熱生成 = I²×R_int)、⑤ 過充電・過放電・過電流の保護 だ。EV用BMSは毎100ms周期でこれらを計算していて、カルマンフィルタや機械学習でSOC精度を ±1〜2% に保つのが目標とされている。
🧑‍🎓
バッテリーの寿命はどうやって決まるんですか?何回充電したら終わりになるんですか?
🎓
一般的に「容量が初期の80%以下になったとき(EOL)」を寿命終了とする。Li-ion(NMC)は500〜1000サイクル、LFPは2000〜4000サイクルが目安だ。劣化はモデル式で Q(N) = Q₀ × exp(-k×N) のように近似されることが多い。実際の劣化は温度・DOD(放電深度)・充電レートに強く依存して、高温・深放電・急速充電が劣化を加速させる。

理論メモ — 等価回路モデルと SOC 推定

最もシンプルなリントモデル(R_int モデル):

\[V_t = \text{OCV}(\text{SOC}) - I \cdot R_{int}\]

SOC のクーロンカウンティング(電流積分法):

\[\text{SOC}(t) = \text{SOC}_0 - \frac{\eta}{Q_0}\int_0^t I(\tau)\,d\tau\]

ここで \(\eta\) はクーロン効率(充放電効率)、\(Q_0\) は定格容量。熱生成:

\[P_{heat} = I^2 R_{int} + I\cdot T \frac{\partial \text{OCV}}{\partial T}\]

劣化モデル(指数近似):\(Q(N) = Q_0 \cdot \exp(-k_\text{deg} \cdot N)\)(N = サイクル数)。

よくある質問

SOC(State of Charge)は現在の充電残量(0〜100%)、SOH(State of Health)は現在の最大容量 / 初期容量の比率(新品時100%、寿命時80%以下)です。SOCは充放電ごとに変化しますが、SOHは長期的にゆっくり劣化します。BMS設計では SOC 精度(±2%以内)と SOH 推定(±5%以内)の両方が要求されます。
主な方法は: ① DCIR(DC内部抵抗): 電流パルスを与えて電圧降下から R = ΔV/ΔI を計算。② EIS(電気化学インピーダンス分光法): 交流信号を印加して周波数依存のインピーダンスを測定(Nyquistプロット)。DIRは簡易で実時間計測に向くが、EISは界面抵抗や拡散抵抗を詳細に分離できます。
高電流での充電はリチウムイオンが負極(グラファイト)に均一に挿入できず、表面にリチウム金属が析出(リチウムプレーティング)するリスクがあります。このリチウムデンドライトが内部短絡や容量劣化(SEI成長)を引き起こします。また内部抵抗での発熱(I²R)が増えて温度上昇し、電解液分解が加速します。
航続距離 = 実効エネルギー(Wh) / 電費(Wh/km)。実効エネルギーは SOC 100%→20%(バッファ残し)の利用可能エネルギー。電費は車速・空気抵抗(v³依存)・転がり抵抗・補機電力・気温(低温で内部抵抗増大)に依存します。一般に市街地より高速走行で電費が悪化(空気抵抗大)します。
液体電解質を固体電解質(酸化物系 Li₂La₃Zr₂O₁₂ 等、硫化物系 Li₆PS₅Cl 等)に置換したものです。利点: 不燃・高電圧対応・薄型化。課題: 固体界面での抵抗が大きく、大電流放電時の性能が液体系に劣る。製造コスト高。現状は車載用で2027〜2030年頃の量産を各社が目指しています。内部抵抗モデルの観点では R_int が液体系の5〜10倍程度と見込まれています。
バッテリーパックの熱管理設計では、電気化学モデル(P2Dモデル or 等価回路モデル)から発熱量 Q_gen = I²R + その他 を計算し、熱伝導CFD(Fluent/OpenFOAM等)で温度分布を解析します。この電熱連成解析により、冷却プレートの配置最適化・ホットスポット低減・冬季性能予測を行います。Abaqus/Ansys Mechanical でも熱構造解析が可能です。