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構造力学シミュレーター

柱の有効長 シミュレーター — 支持条件と座屈荷重

柱の両端支持条件ごとに有効長係数Kを変更し、有効長Le=KL、オイラー座屈荷重Pcr=π²EI/Le²、細長比λ=Le/rをリアルタイムに表示。短柱・中間柱・長柱の領域分類も可視化します。

パラメータ設定
柱長さ L
m
曲げ剛性 EI
kN·m²
有効長係数 K
両端ピン K=1.0 固定-ピン K=0.7 両端固定 K=0.5 固定-自由 K=2.0 固定-ローラ K=1.0
断面積 A
cm²

E=200 GPa(鋼)を仮定。r=√(I/A)、I=EI/E。

計算結果
有効長 Le=KL
座屈荷重 Pcr
細長比 λ=Le/r
柱分類
端部支持条件と K 値
現在の条件をハイライト
許容応力 vs 細長比
オイラー曲線 Johnson曲線 圧縮限度 現在の λ
理論・主要公式

$$L_e = K\,L,\qquad P_{cr} = \frac{\pi^2 E I}{(K L)^2}$$

$$\lambda = \frac{K L}{r},\qquad r = \sqrt{I/A}$$

$L_e$:有効長 (m)、$P_{cr}$:座屈荷重 (N)、$\lambda$:細長比、$r$:回転半径 (m)。鋼構造目安では $\lambda<20$ 短柱、$20\le\lambda<100$ 中間柱(Johnson式)、$\lambda\ge100$ 長柱(オイラー式)。

柱の有効長とは

🙋
「有効長」って何ですか? 柱の長さって普通に測ればわかりますよね?
🎓
実長は確かに測れるんだけど、「座屈に対する強さ」を考えるときは、両端の支持条件で「事実上の長さ」が変わるんだ。例えば両端固定の柱は、両端ピンの柱と比べて半分の長さの柱と同じくらい強い。だから有効長係数Kを掛けて Le=KL とするんだよ。スライダーで K=0.5 にしてみて、座屈荷重が4倍になるのが確認できるはずだ。
🙋
なるほど! K=2.0 の片持ちは逆にすごく弱くなるんですね。なんでこんなに差が出るんですか?
🎓
座屈モードの「波形の半波長」がKで決まるからだ。両端ピンなら半波1個ぶんが柱全体だけど、両端固定なら波が両端で「拘束」されて半波長が短くなる。逆に片持ちは自由端で大きく曲がれるから半波長が伸びる。座屈荷重は半波長の2乗に反比例するから、Kの2乗で効いてくるんだ。
🙋
右下のグラフの「中間柱(Johnson)」ってのは何ですか?
🎓
オイラー式は弾性座屈の式で、太短い柱に使うと現実より過大評価になるんだ。だから λ<100 くらいの中間柱には Johnson の二次曲線で補正する。さらに λ<20 だと座屈より先に降伏が起こるから、その領域は単純な圧縮限度で頭打ちにする。スライダーで L を変えると λ も変わるから、3つの領域を実感できるよ。

物理モデルと主要な数式

柱の弾性座屈はオイラー式 $P_{cr}=\pi^2EI/(KL)^2$ で表され、有効長 $L_e=KL$ により全ての支持条件が両端ピンと同等の問題に帰着できる。細長比 $\lambda=L_e/r$($r=\sqrt{I/A}$)が大きい長柱ではこの式が成立する。一方、中間柱には Johnson の放物線式 $\sigma_{cr}=\sigma_y[1-\sigma_y\lambda^2/(4\pi^2 E)]$ が用いられ、短柱では単純な圧縮降伏 $\sigma_{cr}=\sigma_y$ で押さえる。

実世界での応用

鉄骨建築:ラーメン構造の柱は柱頭・柱脚の接合詳細によって K=0.7〜1.2 程度に取る。地震時の層間変形を許す場合はさらに大きな K が用いられる。

橋梁の橋脚:橋脚は下部が基礎で固定、上部が桁の支点(ピンまたはローラ)となるため K=2.0 に近い片持ち挙動になる。風や地震荷重に対する設計は座屈との二重チェックが必要。

機械装置のロッド:油圧シリンダのピストンロッドは両端の継手構造で K=0.7〜2.0 まで大きく変わる。同じ材料・断面でも継手次第で許容ストロークが倍違うことがある。

足場・仮設構造:建設現場の単管パイプはクランプ接合で「半固定」となり、安全側に K=1.0 で評価することが多い。

よくある誤解と注意点

「固定」を理想化しすぎない:実構造で完全固定が実現することはほぼなく、ボルト接合は接触面の回転自由度を持つ。AISC設計ではこれを反映して K=0.65(理想0.5)、K=0.80(理想0.7)と少し大きめの推奨値が採用されている。

弱軸方向を見落とす:H形鋼や箱形断面は強軸と弱軸でIが大きく違う。両軸とも λ を計算し、大きい方(弱軸座屈)で設計するのが鉄則。

初期不整の影響:実構造には製造公差・据付誤差による初期たわみがあり、Pcrの90%程度で座屈が始まることもある。安全率2〜3を見込むのが標準。

よくある質問

座屈荷重は K の2乗に反比例するため、K=0.5(両端固定)は K=1.0(両端ピン)の4倍、K=2.0(片持ち)は K=1.0 の1/4の座屈荷重になります。つまり両端固定と片持ちでは同じ柱でも荷重耐力が16倍も違います。
遷移細長比 λc=π√(2E/σy) はオイラー式とJohnson式の交点で、降伏応力σyの半分に当たる細長比です。鋼(E=200GPa, σy=250MPa)では λc≈125、アルミ(E=70GPa, σy=270MPa)では λc≈71 となり、材料ごとに異なります。
回転半径r=√(I/A)が小さいと細長比λ=KL/rが大きくなり、座屈に弱くなります。同じ断面積でも中空円管や箱形断面はrが大きく、中実丸棒よりずっと座屈に強くなります。
看板の支柱、街灯、煙突、橋脚など、根元だけが固定された片持ち柱が該当します。K=2.0となり同じ実長の両端ピン柱の1/4しか座屈荷重がないため、断面を大きく取る必要があります。