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解析ツール

流体粘性・粘度計算ツール

ニュートン流体と非ニュートン流体(べき乗則・ビンガム塑性体)の粘度・せん断応力・Reynolds数をリアルタイム計算。温度依存性グラフと流体種別比較も。

流体選択

動粘係数 μ1.00 mPa·s
密度 ρ
kg/m³
流速 U
m/s
特性長 L
m
べき乗指数 n
計算結果
動粘度 ν
1.00e-6
m²/s
Reynolds数 Re
49,900
流れの状態
乱流
τ @γ̇=100 s⁻¹
0.100
Pa
流れ
理論・主要公式
$\tau = \mu \dot{\gamma}$(ニュートン流体)
$\tau = K\dot{\gamma}^n$(べき乗則モデル)
$Re = \frac{\rho U L}{\mu} = \frac{UL}{\nu}$

💬 解説ダイアログ

🙋
ケチャップって、最初は出てこなくて叩くと急に流れるじゃないですか。あれも非ニュートン流体ですか?
🎓
そう、ケチャップはせん断速度が上がると(叩くと)見かけ粘度が下がる「擬塑性流体」だ。べき乗則モデルでn<1の場合に相当する。蜂蜜はほぼニュートン流体で、せん断速度に関係なく粘度が一定だ。
🙋
CAEでNavier-Stokes方程式を解くとき、水はμが定数だから楽ですよね。血液みたいな非ニュートン流体は難しいんですか?
🎓
そう。水のように粘度一定なら「定常非圧縮ニュートン流体」として標準的なCFDが使える。血液は低せん断域でCarreau-Yasudaモデル、高せん断域で約3.5 mPa·sとほぼ定値になる。このような非ニュートン粘度モデルはOpenFOAMやFluent等で実装されている。
🙋
Reynolds数が2300を超えると乱流になると習いましたが、その意味は?
🎓
Re=ρUL/μは「慣性力/粘性力」の比だ。Reが大きいほど流体の「ぶつかり合い」が粘性の「ブレーキ」に勝って不安定になる。Re<2300で層流(整然)、2300〜4000が遷移、>4000で乱流。乱流は熱伝達・混合が良くなる一方、流動抵抗が大幅に増える。

よくある質問

Q. 1センチポアズ(cP)とは何ですか?
A. cP(センチポアズ)は粘度の旧単位で、1 cP = 1 mPa·s = 0.001 Pa·s です。水20°Cが約1 cPなので「水の粘度を1とした相対値」に近い感覚で使えます。エンジンオイルは数十〜数百 cP、蜂蜜は2,000〜10,000 cPです。
Q. 粘度計の種類は何がありますか?
A. 毛細管粘度計(ウベローデ型)、落球粘度計、回転粘度計(Brookfield等)、振動粘度計など。回転粘度計(レオメーター)は非ニュートン流体の流動曲線測定に使われます。CAE材料データ作成にはせん断速度範囲を変えた回転レオメーター測定が標準です。
Q. 射出成形・押出成形でなぜ粘度が重要ですか?
A. ポリマーメルトは擬塑性流体で、金型・押出ダイス内の流速分布・圧力損失の計算に温度・せん断速度依存の粘度モデル(Cross-WLF等)が必要です。CAE(Moldflow・Cadmould等)での充填解析ではこの粘度データが最重要材料物性です。
Q. y+(ワイプラス)と粘度の関係は?
A. y+=ρu_τy/μ(u_τ:摩擦速度、y:壁面からの距離)は壁近傍メッシュの無次元距離で、乱流壁関数の適用条件(y+>30)やLES/DNS(y+≈1)に使われます。粘度μが大きいと同じメッシュでy+が小さくなるため、高粘度流体では粘性底層を解像しやすくなります。

流体粘性・粘度計算ツールとは

本ツールは、流体の粘性挙動を支配する物理モデルに基づき、せん断応力と粘度を算出する。ニュートン流体では、せん断応力 \(\tau\) は粘度 \(\mu\) と速度勾配(せん断速度 \(\dot{\gamma}\))の積 \(\tau = \mu \dot{\gamma}\) で表され、粘度は一定である。非ニュートン流体のうち、べき乗則モデルでは \(\tau = K \dot{\gamma}^n\) と定義され、\(n<1\) で擬塑性(ずり流動化)、\(n>1\) でダイラタント(ずり粘性化)を示す。また、ビンガム塑性体は降伏応力 \(\tau_y\) を持ち、\(\tau > \tau_y\) のとき \(\tau = \tau_y + \mu_p \dot{\gamma}\) で流動する。これらの関係から見かけ粘度 \(\eta = \tau / \dot{\gamma}\) を求め、レイノルズ数 \(\mathrm{Re} = \rho v L / \eta\) をリアルタイムに計算する。温度依存性はアレニウス型の粘度変化を実装し、流体種別の比較グラフにより、せん断速度に対する応力と粘度の差異を可視化する。

実世界での応用

産業での実際の使用例
自動車業界では、エンジンオイルやトランスミッションフルードの粘度設計に本ツールが活用されています。特に低温始動時のオイル流動性や、高温高せん断下でのビンガム塑性挙動をリアルタイムに評価し、燃費向上や摩耗低減に貢献。食品業界では、ケチャップやヨーグルトなどの非ニュートン流体(べき乗則)のポンプ輸送や充填工程の最適化に利用され、製品品質と生産効率を両立しています。

研究・教育での活用
大学の化学工学科や機械工学科では、学生が本ツールを用いて粘度の温度依存性やせん断速度の影響を視覚的に理解。実験データと比較しながら、ニュートン流体と非ニュートン流体の違いを学ぶ教材として活用されています。また、レオロジー研究では、新素材の粘性特性を即座にシミュレーションし、実験計画の効率化に寄与しています。

CAE解析との連携や実務での位置付け
本ツールは、CAEソフト(例:ANSYS FluentやOpenFOAM)の前処理段階で、材料物性値を迅速に算出する役割を担います。設計者が流体の粘度やレイノルズ数を事前に把握することで、解析の収束性向上やメッシュ設計の適正化が可能。実務では、配管設計や撹拌槽のスケールアップ検討において、実験とシミュレーションの橋渡しツールとして定着しています。

よくある誤解と注意点

「ニュートン流体の粘度は常に一定」と思いがちですが、実際は温度や圧力によって変化します。本ツールの温度依存性グラフはこの点を可視化しており、実務では「常温でのデータを高温条件にそのまま適用しない」よう注意が必要です。また、「非ニュートン流体のべき乗則パラメータは一度決めれば万能」と誤解されがちですが、せん断速度範囲によってn値(べき指数)が変化するため、対象プロセスの速度域に合わせたパラメータ設定が不可欠です。さらに、「Reynolds数が低ければ必ず層流」と思われがちですが、非ニュートン流体では見かけ粘度が流速によって変わるため、遷移レイノルズ数がニュートン流体の2,000とは異なる場合があります。特にビンガム塑性体では降伏応力未満で流動しない領域が存在し、実質的な「流れていない」状態を誤って粘度計算に含めないよう注意してください。

粘性係数の実用データ一覧(20°C基準)

流体密度 ρ (kg/m³)動粘性係数 μ (Pa·s)動粘度 ν (m²/s)流体分類
空気1.21.81×10⁻⁵1.51×10⁻⁵ニュートン流体
水(20°C)9981.00×10⁻³1.00×10⁻⁶ニュートン流体
水(60°C)9834.67×10⁻⁴4.75×10⁻⁷ニュートン流体
エタノール7891.20×10⁻³1.52×10⁻⁶ニュートン流体
エンジンオイル(SAE 10W-40)8701.00×10⁻¹1.15×10⁻⁴ニュートン流体
グリセリン12601.491.18×10⁻³ニュートン流体
蜂蜜14002〜10〜7×10⁻³ニュートン流体
血液(全血)10603〜4×10⁻³〜3.5×10⁻⁶非ニュートン(擬塑性)
ペンキ(水性)12000.5〜5非ニュートン(チキソトロピー)
コーンスターチ水溶液1050(変動大)非ニュートン(ダイラタント)

※ 非ニュートン流体の値は参考値。せん断速度・温度・濃度により大きく変動する。

レイノルズ数の物理的意味と臨界値

Re 範囲流れの状態代表例
Re < 2300層流(Laminar)毛細血管内血流・小径管の水流
2300 ≤ Re ≤ 4000遷移域(Transitional)一般的な工業配管の中速流
Re > 4000乱流(Turbulent)給水管・エアコンダクト・外部流れ
Re > 10⁶完全発達乱流航空機翼・大型船舶の外部流れ

※ 円管内の臨界レイノルズ数 Re_cr ≈ 2300(ハーゲン・ポアズイユ則の適用上限)

べき乗則流体の工業応用

材料・流体指数 nK (Pa·sⁿ)用途
希薄高分子溶液0.5〜0.80.1〜1化粧品・シャンプー
血液0.7〜0.80.004医療シミュレーション
カルボポールゲル0.6〜0.71〜10製薬・塗料
コーンスターチ懸濁液1.2〜2.010〜100食品加工
泥・粘土スラリー0.3〜0.51〜50土木・掘削泥水

※ n < 1: 擬塑性(剪断薄化)/ n = 1: ニュートン流体 / n > 1: ダイラタント(剪断増粘)