理論・主要公式
$$\tau = \mu \frac{du}{dy}$$
ニュートンの粘性法則:せん断応力 $\tau$(Pa)は速度勾配 $du/dy$(1/s)と粘度 $\mu$(Pa·s)の積。
$$Re = \frac{\rho v D}{\mu} = \frac{v D}{\nu}$$
レイノルズ数:$\nu = \mu/\rho$ は動粘度(m²/s)。円管では $Re \gt 4000$ で乱流遷移。
$$\nu = \frac{\mu}{\rho}$$
動粘度(m²/s):動的粘度 $\mu$(Pa·s)を密度 $\rho$(kg/m³)で割った値。
粘性・レオロジーシミュレーターとは
🙋
「レオロジー」って何ですか?ニュートン流体と非ニュートン流体って、どう違うんですか?
🎓
大まかに言うと、物質の「流れやすさ」の科学だね。ニュートン流体は、かき混ぜる力(せん断応力)と流れる速さ(せん断速度)がいつも比例する、素直な流体だ。例えば水やサラダ油がそうだよ。非ニュートン流体はこの関係が比例しない、ちょっと変わった流体なんだ。このシミュレーターの「流体選択」で「ニュートン」を選ぶと、グラフが一直線になるのが確認できるよ。
🎓
たくさんあるよ!例えば、ケチャップは力を加えないと出てこないけど、一度出始めるとサラサラ流れる(ビンガム流体)。片栗粉の水溶液は、強くかき混ぜると固まる(ずり濃化流体)。上の「モデル選択」で「ビンガム」や「ハーシェル・バルクレー」を選んで、せん断速度のスライダーを動かすと、粘度がどう変わるかアニメーションで見られる。操作してみると実感がわくね。
🙋
CAEの現場では、こういうデータってどう使うんですか?
🎓
実務では、材料メーカーから提供された粘度データを、CFDソフトに入力するためのモデル式(べき乗則など)にフィッティングする作業が多いんだ。このツールで「べき乗則」を選び、指数nやKの値を変えてみてくれ。グラフの形がどう変わるか確認できるだろ?それがまさにフィッティングの感覚だ。レイノルズ数の計算機能は、その流れが層流か乱流かの目安を確認するのに使うよ。
よくある質問
左側のモデル選択で「ニュートン流体」を選ぶと、粘度がせん断速度によらず一定の直線になります。一方、「べき乗則」や「ビンガム体」を選ぶと、粘度曲線が変化し、速度プロファイルも放物線やプラグ流に変わるので、その違いをリアルタイムで視覚的に比較できます。
「温度補正」タブで基準温度と現在温度を入力すると、アレニウス型の式(粘度∝exp(Ea/RT))に基づいて粘度が自動調整されます。これにより、実プロセスでの温度変動が流動特性に与える影響を簡単に推定できます。
平行平板間(ギャップ固定)の定常せん断流れを想定しています。上板が一定速度で移動し、下板は固定。各モデルの構成則から解析的に求めた速度分布をプロットしており、ずり速度や応力分布も同時に確認できます。
流路の形状に応じて設定してください。例えば、パイプ流なら直径、平板間流れならギャップ幅を入力します。この値と流速・密度・粘度からレイノルズ数が自動計算され、層流/乱流の目安(Re<2000程度)をリアルタイムで確認できます。
実世界での応用
食品・化粧品工業:マヨネーズ、ケチャップ、歯磨き粉などの製品設計では、容器からの出やすさや塗布時の感触が重要です。ビンガムモデルやハーシェル・バルクレーモデルを用いて、降伏応力(流れ始めるのに必要な最小応力)を評価・制御します。
高分子・プラスチック加工:プラスチックを金型に射出成形する際、溶融樹脂は強いせん断を受けるため、その粘度変化(ずり流動化)を正確に把握する必要があります。べき乗則モデルはこのような高分子溶融体の流動解析の基礎データとして広く用いられています。
塗料・インク開発:塗料は、刷毛やローラーで塗る時は低粘度で広がりやすく(ずり流動化)、塗布後は高い粘度で垂れないことが求められます。このような「チキソトロピー」性の評価にレオロジー測定とモデル化が不可欠です。
CFD(数値流体力学)シミュレーション:血液、泥水、セメントスラリーなどの非ニュートン流体の流れを予測するため、本ツールで確認できるようなレオロジーモデルとそのパラメータが、OpenFOAMや商用CFDソフトへの入力データとして使用されます。レイノルズ数の計算は流れの状態を予測する第一歩です。
よくある誤解と注意点
このツールを使い始めるとき、いくつかつまずきやすいポイントがあるから気をつけてね。まず一つ目は、「べき乗則の指数nだけで流体の性質が全部わかる」と思ってしまうこと。確かにn<1ならずり流動化だけど、それはあくまで「せん断速度が増えると粘度が下がる傾向がある」というだけ。実際の材料、例えば高分子溶融体は、せん断速度が極端に低い領域や高い領域ではべき乗則から外れることが多いんだ。ツールでn=0.3とn=0.8を比べてみて? 傾向は似てるけど、粘度の低下の仕方は大きく異なるだろ? 実務では、測定した全データポイントにフィットする単一のモデルは稀で、領域ごとにモデルを切り替えることもあるんだ。
二つ目はレイノルズ数の解釈。ツールではパイプ流れを想定して計算してるけど、この値は「目安」でしかない。例えば、レイノルズ数が2300を超えたからといって、必ず乱流になるわけじゃない。流路の形状や入口条件で大きく変わるからね。あくまでCFDのメッシュ分割や解析手法を選ぶための初期判断材料として使おう。
最後に、「ビンガム流体=ケチャップ」と短絡的に結びつけないこと。確かにケチャップは降伏応力を持つけど、時間依存性(チキソトロピー)も強い。ツールのビンガンモデルは「一度流れ始めたらニュートン流体のように振る舞う」超理想化されたモデルだ。実物はもっと複雑で、かき混ぜてから時間が経つとまた固まってくる。ツールで学ぶのは「降伏応力」という概念の入り口。実際の製品設計では、もっと複雑なモデルが必要になることを頭の片隅に入れておいて。